笹山裕子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
2023年、ノーベル生理学・医学賞を受賞。しかし、その話はひとことも出てこない。それもそのはず、本書執筆時にはまだノーベル賞を手にしていないからだ。
1955年、ハンガリーの田舎町の肉屋に生まれる。中学で生物学に魅了され、ゼゲド大学生物学科に進学。見るもの聞くものすべてが新鮮、科学の世界は彼女のまえに開かれていた。しかし、研究の道に邁進するも、30歳の誕生日に生物学研究所を解雇。ここまでが前半。
後半の舞台はアメリカ。研究者として歩み続けるために、夫と娘を連れ、ポスドク研究員としてアメリカに渡る。ペンシルベニア大学には24年在職、しかしPIにはなれなかった。無数に申請書を書き続けたが、研究助成 -
Posted by ブクログ
自分なら人生を諦めてしまいそうな場面でも、生きること、愛することを諦めなかったストーリーに感動した。フィクションであるということから、まだまだ描ききれない心情や場面などもあるとは思うが、生活を詳細にイメージすることができた。恥ずかしいことに、これまでユダヤ人、アウシュビッツという名前しか知らず、何が起こっていたかに関心を持ったことがなかった。非人道的なことが行われていたと教科書で知った程度で、そこには温度がなく、キーワードとしてわたしの記憶に残っていただけだった。他の書籍もぜひ読んでみたいと思ったし、宗教というものについても知識をつけたいと思った。DE&Iや多様性という"キー
-
Posted by ブクログ
生きているすべての人に読んでほしい。
現代に生きる私たちは、ナチス・ドイツが1933年〜1945年まで続き本作の主人公が収容されたアウシュヴィッツは1942年〜1945年までと、始まりから終わりまでを知っている。
本作の主人公は、いつこの日々が終わるのか、解放され自由になるかはたまた5分後には死ぬか、なにもかも分からないまま、アウシュヴィッツでの日々を克明に語る。
結果として、運が良かったとしか思えないような状況をいくつもかいくぐり生き抜いて、現代にこの記録を残している。
髪を剃られ、服を剥ぎ取られ、名前を奪われ数字で呼ばれ、生きるか死ぬか殺されるか、まるで“偶然“が生死を分けるかのよう -
Posted by ブクログ
どの本でもそうかもしれなけれど、特に自伝は学ぶことが多く、著者の人生をたった数時間で振り返ることができ、その人の経験値を読書という形で自分の財産にすることができる。
今回の自伝ももれなく学ぶことが多すぎて、本の要所に付箋が散りばめられた。
自分も生命科学の基礎研究をしていたけれど、カタリンほどの信念や行動力がなければブレイクスルーを起こすのは至難であるだろうなとあらためて実感した。
パンデミック禍でワクチンにより救われた命は、ワクチン開発に至るまでに様々な発見をしてきた名もなき研究者たちに思いを馳せることはないかもしれないが、我々は彼らのおかげで様々な恩恵を享受できていることを忘れてはいけ -
Posted by ブクログ
第二次世界大戦のアウシュビッツでの出来事が描かれている。スロヴァキア人のラリはユダヤ人という理由でナチスドイツに連行されアウシュビッツに収容される。そこで連行されたユダヤ人に番号を入れるタトゥー係になり、役職を生かして外部の人間と繋がり食料や金品で収容所内で密かに活動する。収容所で同じユダヤ人のギタと出会い2人は恋に落ちる。ナチスの敗北と共に2人は収容所から逃げ出し外で再び出会う。
ナチスの行ったユダヤ人の虐殺が鮮明に描かれておりとても怖かった。あのような環境でラリとギタが3年も生き続けたのはほんとにすごいことなんだと思う。人が無意味に殺されていくなんて恐ろしすぎるし、今後こんなこと絶対あって