ハーラン・コーベンのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
亡くなった男が容疑者? どんどん吸い込まれるサスペンスフルな探偵小説 #エージェントは二度推理する
■あらすじ
スポーツ・エージェントであり弁護士のマイロンのもとに、FBI捜査官がやってくる。ある殺人事件の容疑者が、マイロンがかつてクライアントだった元NBA選手グレグとのこと。しかし彼は数年前に失踪、そして海外で死亡したはず。
マイロンは同僚で富豪のウィンとともに手がかりを追うのだが―― 伝説のスポーツ・エージェント、マイロン・ボライターシリーズの最新作。
■きっと読みたくなるレビュー
おもろい! 海外ミステリーを読んだって感じがする作品ですね。
謎に満ちた殺人事件、死んだはずの男が容疑者、高圧的なFBI、情が絡んだ男女の関係… まるで海外ドラマを観てるようで、物語にどんどん吸い込まれちゃうんです。
本作はかつてマイロンが選手生命を絶たれる怪我を負う原因となり、数年前に亡くなったはずのライバル、グレグ・ダウニングに殺人容疑がかかる。彼はマイロンのかつてのクライアントでもあり、恋敵でもあった。
グレグは生きているのか? なぜ嫌疑がかかっているのか? マイロンは盟友である大富豪ウィンの力を借り、調査に乗り出すという筋立て。
ドストレートな私立探偵小説、読み進めるほどに謎を深ぼっていくのですが、同時に登場人物たちの横顔が見えてくる。最たるはマイロンの家族に関する課題… いや、もはや人生最大の過ちともいえることなんですが、この物語の最初から最後まで付きまとうことになる。
マイロンだけでなく、妻テリーズをはじめ、様々なキャラクターの人間模様が描かれるんすよ。相方ウィンも相当な個性の持ち主で、特にマイロンとの厚い信頼や小粋なやり取りが好きすぎる。
ほんと暑苦しいほどの愛情表現や、やたら芝居がかったセリフが洒落てんのよ。読んでると物語の世界に入りたくなってくるんだよね。
物語の後半に入る頃、とある重要な事実が判明。これからどうやることやらと、どんどん状況が緊迫してくる。予想通り(というか予想以上)に、マイロンが事件に関わることになり、サスペンスフルな展開になるんです。いやー、終盤の犯人のくだりあたりからはマジ目が離せませんね。がっつり海外ドラマを楽しませていただきました。
ちなみに私の場合、本シリーズは読んでなかったのですが、特に問題なく楽しめました。シリーズ未読の方もぜひ、手に取ってみてください。
■ぜっさん推しポイント
マイロンが過去の失敗にケジメをつける、自分の意見を突き通すシーンがあるんだけど、これが超絶クールなんすよ。必死に生きてると、いつの間にか自分のことしか見えなくなっちゃうんだよ。愛情は自分に対してではなく、隣にいる大事な人に与えるもの。私も胸を張って、愛を叫びたいと思いました。 -
Posted by ブクログ
盟友ウィン所有のニューヨークの高層ビル内で事業を再開したマイロンのもとに、突然FBI捜査官がやってきた。元スーパーモデルの女性が、何者かによって殺害されたのだ。捜査官によると容疑者は、マイロンのNBA選手時代のライバルであり、私生活における因縁の相手であり、のちにマイロンのクライアントとなった男グレグだという。しかしグレグは5年前に失踪し、その2年後に東南アジアで死んだはずだった。
グレグは生きているのか? マイロンは、ウィンや元同僚のエスペランサの力を借りながら、真相を探ろうとするが……。
あの弁護士がちょっとだけ登場。シリーズ24年ぶりの邦訳。この間の空白も、ぜひ埋めていただきたい。 -
Posted by ブクログ
人には出来ることと出来ないことがある
出来ないことを努力して出来るようになることは素晴らしいことだ
そうやって人は成長していくのだ
あるいはそれが生きるということなのかもしれない
だがしかし
どうしても出来ないことというのはある
残念ながらある
向き不向きというものがある
努力では覆すことができない才能というものもある
残念ながらある
どうしても乗り越えられない壁に出会ったとき
無理に超えようせず
迂回して別の道を進むことも必要だ
あるいは壁の向こう側に行くことをあきらめ
引き返したっていい
人生にはそういった壁が存在する
例えばハーラン・コーベンをどうしてもハーラン・ベーコンと読んでしまうといったような
はい、ハーラン・ベーコン(おい)初読でございますよ!
さすがの全米ベストセラー作家のベーコン、プロットが巧み
いやーこれがこう繋がるのかーと度々
面白かった
面白かったんだけど、主人公の元女性兵士マヤがどうしても好きになれない
たぶん友だちになれない
なんていうか、傲慢?なのよね
なんでも自分で出来ると思っている
なわけ無いだろ!と思う
これだから女って奴は!って思う
言いたくないけど、言っちゃう
自信家の女は扱いづらいから友だちになれない(はい女性蔑視発言ね)
友だちになれそうにない人が主人公だとやっぱりちょっと隣を歩きたくなくなってしまう
これもひとつの壁なのかもしれない
それでも終わらせ方がものすごいわい好みだった
このエンディングを書く人だったら、ものすごい相性のいい作品とも出会えそうな気がする
もちょっと何か読んでみたいです
ベーコン -
Posted by ブクログ
比較的最近コーベン・ファンとなったぼくとしては、まだ数作の読み残し過去作品が残っている状況にやきもき。シリーズ作品が中途で未訳となって以来、すっかりスタイルを変えたシリアス系ミステリの単発作品が続くコーベンだが、中にはお馴染みキャラクターを語り継いだセミ・シリーズ作品や、コーベンワールド地続きと言えるような単発作品も見受けることができる。しかし、本書はそんな単発作品の中でも他のシリーズ・キャラクターは一切登場しないというかなり一作完成度に拘った作者の拘りが感じられる。
主人公が、単独でしかも女性、というだけでも珍しいかなと思えるし、全体構成がサスペンス重視というようになっていて、多層構造の時間軸がヒロインを取り巻く仕掛けだらけのびっくり箱構造というのが、ぼくの本書に対する印象である。謎や仕掛けやミステリーとしての楽しみ、ということに拘る読者であれば、この作品は作者の中でも最大級にトリッキーな作品と言えるかもしれない。
ヒロインの周囲に何人も事件や事故の死者が出ているという、まずもって偶然ではあり得ないような状況そのものが本書の特徴であり、その謎解きそのものが最後まで読者を引っ張る作品であるように思う。ヒロインに密接な関係のある夫と姉が、それぞれ銃殺され死んでいるという状況。さらに他の謎めいた死者たちが順を追って登場する。
何よりも夫の死すら疑わしくなる状況がスタート後すぐに登場する。死んだはずの夫が隠しカメラに映っていたのだ。ヒロインの目の前で暴漢によって銃殺されたはずの夫が。
以上の一見解けそうにない状況がヒロインを正常ではない状況に追い込んでゆくのだが、それでも異常の側に踏み込まずあくまで冷徹に真実を探ろうとするヒロインは、実は中東で度重なる戦闘経験を積んだ歴連の兵士なのである。彼女の経験したいくつもの理不尽な死と暴力の世界。サバイバルに長けた特殊能力の数々。クールさ。冷徹な知性。そうした彼女自身が捜索マシンであり武器であるというところが本書の特別な軸となってストーリーを引っ張ってゆくのだ。さすがコーベン・ワールド全快のエンタメ魂、と喝采を送りたい作品なのである。
後半はページを繰る手が止まらなくなり、一気に真相に向かって雪崩れる。夫の属していた貴族一族(ついボライター・シリーズのウィルを想起する)という権力というパワーの裏に控える闇の奥へと、読者はヒロインとともに導かれてゆく。沢山の家族や親子の姿が活き活きと暮らす中で、独り真実に向けて闘うヒロインの姿が頼もしい力作アクションである。
ちなみにネットフリックスでドラマ化(12回完結)されているようなので、メディアを変えた二度目の楽しみを求めてみようかと思っている。 -
Posted by ブクログ
ネタバレクラスのいじめられっ娘ナオミが姿を消した。クラスメイトのマシュウは敏腕弁護士の祖母ヘスターに行方を捜してほしいと相談する、ヘスターは幼少の頃森で保護された経験を持つワイルドに協力を仰ぎナオミの捜索を開始する。
いじめ、貧富の差、ネグレクト、児童虐待。日本にも転がっているクソのような社会問題を扱いつつ、物語はそれらの危険性を啓蒙するだけではなく、とんでもない方向に転がりだす。そうだったコーベンはこういうミステリーを書く作家だった。
シリーズ物にするつもりなのか、ワイルドとその周囲の積み残し疑問は結構あるし、上記の社会問題もまぁまぁサラっとおいてきぼりしている感もあって、「人道上も物語の展開もこれでエエのか?」と思える節の数々に☆ー1としたが、読んでいる間の充実感はさすがである。 -
Posted by ブクログ
幼い頃に独り森で育った過去を持つ天才調査員ワイルド。コスタリカでの新生活を終えてアメリカに帰国した彼は、DNA鑑定サイトを使い生みの親を捜していた。亡き親友の母・豪腕弁護士ヘスターの協力を得て、父親と思われる男を捜し出したものの、母親が誰なのか、なぜ自分が森に捨てられたのかはわからないままだった。そんななかで母方の血縁者と思しき男PBからの4か月前のメールに気づいたワイルドは、彼と連絡を取ろうとする。PBはリアリティ番組のスターだったが、あることが原因で大炎上し、行方がわからなくなっていた。PBの周辺調査を進めるワイルドだが、やがて思わぬ事件に巻き込まれてしまう…。
「森から来た少年」の続編。抜群のリーダビリティ。日本でももっと評価されていい作家だと思う。刊行を続ける小学館文庫に感謝!