「エンジニアリング組織論への招待: 不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング」 広木大地 ★★★★☆
前半は非常に面白かった。後半はすこしキツかったかな。
「アジャイル VS ウォーターホール」という図式自体が違うということは、目から鱗が落ちる思いだった。
アジャイルは方法論ではなく、状態な
...続きを読むのだ、その状態を作るのが「経験主義」や「仮説思考」。まずやってみて、わからないことを減らすこと。
チームリーダーの諸君に読んでいただきたい一冊。
#引用
・わたしたちは「わからない」もの(「未来」と「他人」)に向き合うことを避けてしまうという習性がある。
・「わからない」ということは、それだけで自分自身を脅かす可能性を考えてしまう(「不安」)。そのようなものに、人は本能的に「攻撃」か「逃避」を選択してしまう。
・エンジニアリングという行為は、何かを「実現」することです。実現のために、不確実性の高い状態から、不確実性の低い状態に効率よく移行していく過程に行うすべてのことです。不確実性を下げるということは、つまり、「情報を生み出すこと}にほかならない。
・「怒り」に変わる感情の、その原初的な思いは、気づ付けられたことによる「悲しみ」であって、それを伝えない限り、どんな理屈をこねて、正当化しようとしても相手の行動を変えることはできない。
・経験主義は、わからないを行動に変換し、一歩でも正解にたどり着くための思考の補助線なのです。
・経験主義は、自分のコントロールできるものを通じて、観測できるものを改善する発送です。
・仮説思考は、限られた情報の中から、大胆にモデルを推論し、そのモデルの確からしさを発見するための行動を促す思考様式です。
・コードレビューにおいては、「なぜ、そのようにしたのか?」ということを問いながら、できれば、その人自身が指摘のポイントに気がついてもらうことを促せるのがベストです。時間がなければ「自分はこっちのほうが、こういう理由でよいと思うけど、どう思う?」のように修正案をつけて、相手に考えさせるのが大切。
・人から与えられた説得による知識を「他者説得」、自分自身で気がついたことを「自己説得」といいます。メンタリングでは他者説得よりも自己説得を重視し、その獲得を促します。
・「考える」は行動で、「悩む」は状態なのです。「行動てきていないとき」は「悩み」を聞き出し、気づきを促して「考える」に変えていく必要があります。
・ポジティブな話を聞くときは早く細かくうずき、ネガティブな話や感情への共感を示すときは、ゆっくり深くうなずく。
・「共感」は「相手がそのような気持ちになった理由を理解する」ことです。
・「同感」は「自分が相手と同じ気持ちになること」でうす。
・傾聴において示すべきことは、「共感」であって「同感」ではない。
・能力は習慣の積分、習慣は行動の積分。習慣が能力に変われば、成果につながり、成果は自身となって次の行動を強化してくれます。
・アジャイルは”俊敏な”という形容詞であって、名詞ではない。「Do agile」ではなく「Be agile」。アジャイルは”する”ではなく”なる”。状態のこと。
・「アジャイルな」状態とは ・情報の非対称性が小さい
・認知の歪みが少ない
・チームより小さい限定合理性が働かない
・対人リスクをとれていて心理的安全性が高い
・課題・不安に向かい合い不確実性の削除が効率よくできている
・チーム全体のゴール認識レベルが高い
・アジャイルソフトウェア開発宣言は「顧客との協調」「個人との対話」「動くソフトウェア」「変化への適応」を重視すべき
・不確実なことを減らすには、一番不確実なことから確かめていくこと。そうすれば、早く失敗するので、一番早く問題解決できます。
・システムを設計する組織は、その構造をそっくりまねた構造の設計を生み出してしまう。
・組織階層の深さや地理的に離れた複数人が関わるコード、離職者の数、関わっている開発者の人数など、コミュニケーションコストが一般的に多くかかるであろう環境ほど、バグが多くなる傾向が発見された。