桑原三郎のレビュー一覧

  • 日本児童文学名作集 下

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    ネタバレ

    読みたかった作家が何人もいた。長いお話だと容易に手が出せないけれど、本作は児童文学を集めた名作集ということもあり、とても読みやすかった。色々な作家への入り口を作ってもらえてうれしい。
    作品のはじめに各作者の紹介文が入ってるのも個人的にはありがたい。このへんは岩波書店さまさま。
     菊池寛、有島武郎、室生犀星、島崎藤村、宇野浩二、内田百閒、椋鳩十、こんなふうに並べて書いてみて、改めてこの一冊を読めたことの収穫が大きかったのをひしひしと感じる。
     一作、とても好きだったものを挙げるとしたら、椋鳩十の「月の輪グマ」。作中の子グマがとても可愛らしく、また読み終わった後に通りすがる切なさが心地よい。

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    2022年09月13日
  • 日本児童文学名作集 下

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    児童文学とはいえ、格調高く深読みすればするほどはまっていく。当時の地域や時代なども伺えて民俗学的にもおもしろい。
    芥川龍之介『蜘蛛の糸』、菊池寛『三人兄弟』、小島政二郎『笛』、有島武郎『一房の葡萄』、江口渙『木の葉の小判』、秋田雨雀『三人の百姓』、室生犀星『寂しき魚』、島崎藤村『幸福』、佐藤春夫『蝗の大旅行』、宇野浩二『でたらめ経』、豊島与志雄『手品師』、浜田広介『ある島のきつね』、宮沢賢治『水仙月の四日』『オツベルと象』、千葉省三『鷹の巣とり』、内田百閒『影法師』、坪田譲治『魔法』、水上滝太郎『大人の眼と子供の眼』、壷井栄『がきのめし』、椋鳩十『月の輪グマ』、新美南吉『牛をつないだ椿の木』

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    2016年12月13日
  • 日本児童文学名作集 上

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    若い頃に既読済みながら、資料として取り寄せたが、読み出すとまた違う読み方ができて非常に楽しめた。作者略歴、挿絵もありテキストとしても秀逸。
    福沢諭吉『イソップ物語抄』、呉文聡『八ツ山羊』、『不思議の新衣装』(『女学雑誌』「子供のはなし」欄、執筆者は不明だが巌本善治の可能性大)、若松賤子『忘れ形見』、巌谷小波『こがね丸』『三角と四角』、幸田露伴『印度の古語』、石井研堂『少年魯敏遜』、押川春波『万国幽霊怪話抄』、国木田独歩『画の悲み』、竹久夢二『春坊』、小川未明『赤い船』『野薔薇』、吉屋信子『鈴蘭』(『花物語』)、鈴木三重吉『ぽっぽのお手紙』『デイモンとピシアス』、小泉八雲(内藤史朗訳)『ちんちん小袴』

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    2016年12月13日
  • 日本児童文学名作集 下

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    有名作品がたくさん掲載されていて、一部しか読んだことなかったのとかタイトルしか知らんかったのとかきちんと読むことができた。
    坪田譲治ってもっと暗いイメージやったんやけどかわいかった。
    室生犀星もっと読みたい。
    内田百閒は挿絵も含めてよかった。

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    2014年11月28日
  • 日本児童文学名作集 上

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    子どもを対象に書かれた明治~大正期の作品。

    教訓を平易に伝えるものや、幻想的な読み物など様々。
    わくわくする展開、想像の余地を与える書き方など、読み応え有る作品ばかり。

    作者紹介もありがたい。

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    2011年12月09日
  • 日本児童文学名作集 下

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    大正〜昭和期の文豪・作家による児童文学アンソロジー。芥川龍之介の蜘蛛の糸は、やっぱり読みやすかった。芥川龍之介は句読点の打ち方が常識的なので読みやすい。人柄はアレだけど……

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    2025年08月12日
  • 日本児童文学名作集 下

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     大正・昭和期の日本の児童文学選集。「赤い鳥」に掲載された芥川竜之介「蜘蛛の糸」(1918)から新美南吉「牛をつないだ椿の木」(1943)までの21編を収める。「赤い鳥」には、お伽噺から脱し、鈴木三重吉の審美眼によって選ばれた数々の童話が掲載された。とても流行したようで、この選集にも8編が収録されている。とはいえ、宮沢賢治を選ばないのは今から見るとちょっと偏ってると思うし、トムやハックを野卑なものとして排斥するなんて、三重吉と私は絶対気が合わないな…。
    芥川竜之介「蜘蛛の糸」(1918)「赤い鳥」掲載時の鈴木三重吉が手を入れたバージョンを収録。青空文庫が元の版なのかな、読み比べてみたが、改行や語尾(でした、です)などに手を入れているようだ。久しぶりに読んだが気持ちいいくらい切れ味がある。
    菊池寛「三人兄弟」(1919)。こちらも「赤い鳥」。菊池寛っぽい。3兄弟の中では二郎次がいちばん気の毒か。
    小島政二郎「笛」(1919)。「赤い鳥」。
    有島武郎「一房の葡萄」(1920)。「赤い鳥」。この話がいちばん好き。主人公の僕の気持ちがすごく良くわかる。いじめられるところとか身につまされるし、翌日、学校に行きたくない気持ちもすごくわかって胸が痛い。良い先生で本当に良かったし、僕自身もがんばって乗り越えて本当に良かった。
    江口渙「木の葉の小判」(1920)。「赤い鳥」。
    秋田雨雀「三人の百姓」(1920)。すごく良い。褒美なんかより育てた子供の愛おしいこと。
    室生犀星「寂しき魚」(1920)。「赤い鳥」。井伏鱒二「山椒魚」の世界観。
    島崎藤村「幸福」(1921)。寓話。
    佐藤春夫「蝗の大旅行」(1921)。
    宇野浩二「でたらめ経」(1925)。
    豊島与志雄「手品師」(1923)。「赤い鳥」。異国の香りがする面白くて怖い話。
    浜田広介「ある島のきつね」(1924)。
    宮沢賢治「水仙月の四日」(1924)。寒さの表現の美しくも厳しいこと。3番目に好き。幕切れも鮮やか。
    宮沢賢治「オッベルと象」(1926)。タイトルは知っていたが初めて読んだ。こんな話だったのかと衝撃。これは大正プロレタリアートの匂い。
    千葉省三「鷹の巣とり」(1928)。現代にも通じそうなやんちゃな男の子たちの冒険物語。甘えの三ちゃんがいいね。
    内田百閒「影法師」(1929)。
    坪田譲治「魔法」(1935)。「赤い鳥」。お兄ちゃんと弟のスケッチ。良くわかる。
    水上滝太郎「大人の眼と子供の眼」(1923→1936)。
    壺井栄「がきのめし」(1941)。これは4番目に好き。少女たちの体験がリアリティを持って描かれる。
    椋鳩十「月の輪グマ」(1942)。熊は恐ろしいので、絶対に母熊を怒らせてはいけない。少し危うい。椋鳩十が動物たちに対するスタンスをもう少し他の本で読む必要がある。
    新美南吉「牛をつないだ椿の木」(1943)。2番目に好き。新美南吉は瞳がとても綺麗なひとだったのではないだろうか。主人公の海蔵さんを嫌いになれる人がいるとはとても思えない。もちろん、道徳の香りもするけれども、でも本当に心が洗われ、自分自身を反省する。

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    2024年08月03日
  • 日本児童文学名作集 上

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    明治、大正期の日本の児童文学選集。文語体に漢字も難しく、自分の子ども時代は絶対に読もうとしなかったと思うが、巌谷小波の「こがね丸」などは当時の子どもたちに熱心に読まれていたらしい。全体の印象として、明治期は書物を青少年の教育の近代化に使おうと、教訓的な話を積極的に取り入れた感があり、「赤い鳥」が出てくる頃は、自分の芸術の表現として「童話」という型を使ったのかなという印象を受ける。自分はすでに子どもではないので、大人の視点からの感想になってしまうので、児童がどう思ったかは児童たちに聞かないとわからないが、西洋の物語のローカライズなど工夫を凝らしており味わい深い。
    福沢諭吉が紹介したイソップ物語は教訓的。
    呉文聡(生涯を統計事業に捧げた官僚)「八ツ山羊」(1887)はグリムの「狼と7匹の子山羊」ですね。弘文社刊行の多色刷り仕掛け絵本というすごく豪華な本で、縦書きの地の文が限りなく日本ぽいが、挿絵に書かれた建物や衣装は外国風で、仕掛けもほどこしてある。子ヤギたちがたいへん可愛らしい。
    「不思議の新衣装」。「女学雑誌」の「子供のはなし」欄に掲載されたアンデルセン「裸の王様」。母親が子供に読み聞かせるとのことだが、冒頭と末尾は語り口調なものの、途中は文語調で難しくなかったのだろうか。
    若松賤子「忘れ形見」(1890)。英国の女性の詩人A.A.プロクター(1825-1864)の詩”The Sailor Boy”の翻案。14歳の少年の一人称で綴られる自分の来歴の物語。彼は大人になったとき、あれが母親だったと理解するのだろうか。そのときどのように感じるのだろうか。
    巌谷小波「こがね丸」(1891)。かの有名な本作。読むまでまったく知らなかったが、犬の敵討ちだった!いわゆる動物を擬人化した世界だが、飼い主もちらっと出てくるし、動物そのままの状態と擬人化の状態がこなれていないというかちょっと違和感があり、そこが斬新で面白い。精神的にはどの動物も報恩忠義あるい悪逆非道のニンゲンである。歌舞伎なんかで人気のありそうな物語を動物が演じていて、ときどき動物としての仕種本性が現れてしまう感じ…といったらいいのだろうか。主人公の黄金丸が親を失って牝牛の牡丹とその夫である雄牛の文角に育てられる。牛の群れの中で育った黄金丸は強くなるんですね、ここ面白い。両親の死の真相を知った黄金丸は野犬となって仇討ちに旅立つ、道中出会った猟犬の鷲郎がいい相棒でね、気っぷもいいし、一度戦った後に盟友になるっていうのが少年漫画みたい。これ本当に児童向けなのかなと思ったのが鼠の阿駒、猫に懸想され襲われかかるところを黄金丸に救われ、かいがいしく黄金丸の世話を焼く。敵の狐聴水を罠にかけるためには鉱物の鼠の天ぷらを…という黄金丸と鷲郎の話を聞いて自害してその身を捧げる…うーんすごい。設定がなかなかに面白い、妙ちくりんな傑作でした。
    巌谷小波「三角と四角」(1894)。形の知育本、なのかな、四角を羨んだ三角が角を切り落としたら八角になってしまったという…シュールだけど今の知育本にも通じるかもしれない。
    幸田露伴「印度の古話」(1893)。2編のうち後半の年寄りを大切にしようという話は、途中の謎解き難問が面白く、良く出来ている。
    石井研堂「少年魯敏遜」(1900)。大島に行こうと単身船を出した少年が暴風雨に遭い、海上を漂流、艱難辛苦の末、孤島に上陸し一人で暮らし、半年後にようやく房総の故郷に戻ってくる話。漂流中の飢えと渇き、鱶の群れの描写がなかなかすさまじく、また孤島についてからも苦労と工夫の連続で、子供はちょっと怯えてしまうのではないか、すくなくとも冒険の旅に出ようとは思わないんじゃないかと思うくらいリアリティがある…。
    押川春浪「万国幽霊怪話」(1902)。「橙の花束」は現世に心を残した女の幽霊が成仏する話。設定が美しく夢のようでロマンチックである。ほかいくつか掌編あり。
    国木田独歩「画の悲み」(1902)。美しく切ない少年の友情の物語。絵の才能ではどうしても志村に勝てない主人公の心の動きがとても丁寧に描写されている。二人共もすごく絵が好きで、そのために一生懸命に取り組んで、だから最初は反発するが、あるとき二人の間に友情が芽生えると、そのあとはずっとずっと仲良くなる。大人になって道が分かれ、久しぶりに志村の消息を知ったときの悲しみが胸に刺さる。
    竹久夢二「春坊」(1906)。なんでもかんでも泣いてばかり泣き虫の春坊の描写が上手い。
    小川未明「赤い船」(1910)。こちらはあまりピンとこなかったが「野薔薇」(1920)最後、若者が老人に会いに来るところのなんともいえない寂寥感。
    吉屋信子「鈴蘭」(1916)。幽霊物語かと思ったがとても美しくロマンチックな少女物語。
    鈴木三重吉「ぽっぽのお手帳」(1918)。鳩?の視点から描くすずちゃんの生まれる前と生まれた後の家庭のスケッチ。「デイモンとピシアス」(1920)。太宰治「走れメロス」と同じお話。シンプルな筆致で描かれる。
    小泉八雲「ちんちん小袴」。日本の話がアメリカで紹介された例とのこと。無精な姫君が寝ていると、ちいさな侍たちに脅されるが、この正体は片付けずに畳に隠していた爪楊枝たちだった、というのがすごく面白い!

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    2024年07月14日
  • 日本児童文学名作集 上

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    巌谷小波、幸田露伴、押川春波、小川未明、鈴木三重吉、小泉八雲、他が執筆した、明治~大正時期頃の児童文学モノを集めたもの。

    面白かったのは、巌谷小波『こがね丸』。馬琴調の伝奇仇討ち物なのですが、子供向けなので登場人物が全部動物になっており、話のテンポと物語の展開が、歌舞伎の舞台を見ているようで。
    それと、教科書で読んだことがある小川未明の「野薔薇」。子供の頃は授業受けを意識して読んでしまうため、ハイハイ教訓モノね-、ぐらいの気持ちで読んでいましたが、この年齢になって読むと、この短さの中でこれだけのモノを描ききってるということに驚き、凄い作品だなあと改めて思いました。

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    2017年12月28日
  • 日本児童文学名作集 下

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    書かれた当時の社会と作品を同時にみることで、深い味わいがうまれることもあるんだと気付く一冊だった。一番最後の新美南吉の作品が胸に響いた。さきに下巻に手を出してしまったけれど、上巻も読みたい。

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    2012年11月18日
  • 日本児童文学名作集 下

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    大正〜昭和期の児童文学作品。

    幻想的・詩的なもの、子ども達の生活を活き活きと描いたものなど、読んでいて惹きつけられる。

    正直であれ、優しくあれ、という願いが込められた作品は、どの時代にも共通して見られる。
    上巻で取り上げられた作品群よりも、人の心の暗い面を描くものが多くなっている印象。

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    2011年12月10日