土屋信行のレビュー一覧

  • 災害列島の作法~女川町の奇跡 防潮堤のない復興まちづくり~

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    東京都でのインフラ整備やまちづくりの経験・知見をもとに、三陸・女川町での震災復興にアドバイザーとして関わり、土木的なことのみならず生業の復活を優先したこと(漁業関連施設)、避難を定着させるべく幸男の祭りを行うこととしたこと、まちづくり住民カルテとして区画整理に関する一人一人の希望を繰り返し聴取したこと――等、
    数々の重要なアイディアが示されており、区画整理等の都市計画関係の技術・ノウハウとくみ合わせてフル活用されている様子も含め、感銘を受けた。

    2019年東日本台風の各地で「土のう積み」が行われていなかったことへの指摘・警鐘もそのとおり。首長さんに認識していただかないとな。

    また、女川町の

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    2024年06月08日
  • 水害列島

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     自然災害の中の水害について述べた本書。

     直近の関東・東北圏の水害を思いながら読むと、更に理解が進む。

     特に、「地震洪水」については目を引く。

     海抜ゼロメートルが広がる大都市郡では、本来は一過性のものである洪水が一過性ではなくなる。

     バケツの底に水が溜まるようなものなのだろう。

     その損害は計り知れない。

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    2019年10月27日
  • 首都水没

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    タイトルが少し刺激的ぽくてあれだけれど、
    内容は、
    首都圏大規模水害のリスク(江戸期の河道付け替えも踏まえて...)、
    気候変動(適応策の重要性)、
    東京東部のゼロメートル地帯の高潮や"地震洪水"リスク、
    山の手のゲリラ豪雨リスクとXRAIN、
    さらには、過去の大水害から学ぶこと(まちづくりにもいかすこと)の重要性、
    といった、バランスがとれている網羅的な内容で、かつひとつひとつの事項の記述がわかりやすいし適切。

    「東京」を切り口にして、水害とか川とかについての基本を学ぶ入門書として、とてもよいのでは、と思った。
    (若手職員むけ勉強会で、参考図書リストに加えた。)

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    2016年08月11日
  • 災害列島の作法~女川町の奇跡 防潮堤のない復興まちづくり~

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    ネタバレ

    全体の国富が増えていく中では土地区画整理は成り立ったが国富が減るとしてどうやって進めるんだろう。利益が出ない前提での痛み分けのやり方の作法って過去にないんだろうか。

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    2024年02月02日
  • 首都水没

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    茨城栃木の水害の恐ろしさを目の当たりにしてタイムリーな本を見つけた。自分が住んでいるところは荒川放水路の左岸にあたる川口市である。街には浸水したときの水位がテープで電柱に記してあり中には5メールのところもある。過去には水害で大きな被害を被ったこともあったようで、市民には身近な災害である。この本を読んで、首都圏というのは関東平野を囲む高い山々に降った雨雪が一気に集まる場所であるということに改めて気付かされた。そのため地味は豊かで産業が発達する反面洪水にさらされる運命にあり、古くから河川の付け替えや開削といった治水が行われてきた。利根川や荒川の流路変更は大事業であったことを知った。そして自分に身近

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    2015年09月25日
  • 首都水没

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    ネタバレ

    「人が住んでいいない場所では、台風が襲来しても、火山が爆発しても、地震が起きても、それは災害ではなく自然現象でしかありません。人が住んでいるからこそ、災害なのです。」
    「台風が日本を襲ってくるのではなく、日本が台風の通り道にいるのです。」
    「日本を攻撃するのに大量の軍隊も核兵器も必要ありません。無人攻撃機1機で足りてしまうかもしれません。ゼロメートル地帯の堤防をわずか1か所決壊させるだけで、日本は機能を失うのです。」
    これらの言葉を肝に銘じて生活していこうと思った。今まで災害に遭わなかったことは、幸運でしかないのだ。
    それにしても、昔の東京の水害の話は知らなかったことだらけで、小中高と東京の学

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    2014年12月19日
  • 水害列島

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    大雨による水害は水が引くけど、地震で堤防が決壊して氾濫洪水になると水が引かない。どうしてそんな土地に大勢が住んでいるのかと疑問が浮かぶが、その答えは高度成長期の工場だった。工場用水として地下水を使いすぎて地盤沈下し、ゼロメートル地帯や、もっと低い地帯が生まれた。都市の成長の結果、水害リスクが上がった。
    海岸線が年々1メートルずつ近づいてきた、という証言が恐ろしい。

    ハザードマップ、避難計画を作る過程が面白い。
    住民数と高い建物の数から、単純に割り算をして避難可能人数を出し、避難場所が全然足りないと分かる。子連れや介助付きで実際に避難経路を歩いてみて、1kmの移動に1時間かかると分かる。数字が

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    2020年08月27日
  • 首都水没

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     先日の西日本豪雨のこともあり、積本していた水害関係の新書三冊を連続して読んだ。
     三冊ともに共通しているのは、江戸時代の利根川東遷事業が首都圏の水害リスクを高めたと主張している。

     本書は東京の水害の歴史から、もともと東京が水害に弱いことを指摘し、スーパー堤防やダムによる治水を主張する。
     

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    2018年07月18日
  • 首都水没

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    歩道橋はまるで滝のよう。マンホールからは噴水のように
    水が吹き上がり、住宅街の路地にはにわかに川が出現する。
    近年のゲリラ豪雨や台風の際に見られる都市での洪水の
    風景だ。

    東京は雪に弱いと言われるけれど、それは雪が消えたら
    自然と解消する。だが、水害はどうだ?水浸しになった
    家屋は再建するのに時間がかかる。堤防が決壊でもすれば、
    修復作業には多くの労力と時間を要するだろう。

    本書は東京都の職員として主にまちづくりの仕事に携わって
    来た著者が、江戸時代からの水害を引きながら、自然災害に
    対する首都機能の脆さを指摘している。

    歴史をさかのぼって河川の付け替えや放水路の開削がどの
    ように行われ

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    2017年08月20日
  • 首都水没

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    ○元東京都職員の土屋氏の作品。
    ○土木建築や防災を専門とする著者による、東京都における水害リスクを、過去の歴史や他国の状況などを踏まえ、警鐘を鳴らす作品。
    ○河川についての構造や防災対策、地形がもたらす影響など、具体的な説明でリスクが分かりやすい。
    ○これだけ人が集中する東京が、これほどのリスクにさらされているということが意外であり、心構えが必要であると認識した。

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    2015年02月02日
  • 首都水没

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    自然災害リスクが高い都市ランキングで東京・横浜地区が世界1位となったらしい。低地への人口集中と水害にたいする備えの甘さがリスクを高めている理由のようだ。

    本書の中では東京都の話がほとんどであり、残念ながら横浜の話はでてこない。歴史、先人達の意見を尊重することが災害たいsくには重要とのことなので、横浜周辺において過去の災害を知らせるような石碑があったら着目してみることにする。

    また、自然災害は行政区分とは無関係に発生するということも肝に銘じておきたい。
    地震や台風が多い日本に住んでいるのだから、その発生メカニズムだけではなく、防災対策についてももっと普段から論じても良いと思う。

    地震発生時

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    2014年09月22日