谷口功一のレビュー一覧

  • 日本の水商売 法哲学者、夜の街を歩く

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    コミュニティの一つのかたちとして、夜の街(スナック)に焦点を当てた本。筆者は法哲学者であり、難解な内容なのかと身構えたが、全然そんなことなく、非常に読みやすい本であった。
    コロナでコテンパンにされても、立ち上がって頑張る人たちが数多くいること、感染症予防のため、夜の街を焦土にしてしまった諸々の規制について、それが正しい形だったのか、振り返る必要があると強く感じた。

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    2023年05月06日
  • ゾンビ襲来:国際政治理論で、その日に備える

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    ネタバレ

    国際関係理論の入門として最適な一冊。主要理論の概要を抑えており、平易で読みやすい印象。さらに、ゾンビ・アウトブレイクに対して、各理論がどのような処方箋を提示するかを示している。個人的には、ゾンビに関する記述について、やや理解しにくい部分があったものの、全体的には楽しみながら読むことができた。
    個人的に印象深かったのは、ウォルツが『人間・国家・戦争』で提示した三つのイメージを意識して書かれていること。他の概説書を見ても、いわゆる第三イメージからの主要理論のみをカバーしているものが多いため、第一・第二イメージからの見方もおさえることができる。
    現在のコロナ禍に照らし合わせて読むこともできる。非伝統

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    2021年10月19日
  • 日本の夜の公共圏:スナック研究序説

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    スナックの歴史、法的位置づけ、立地に関する統計分析などをまとめた一冊。序説ならではの「いいとこ取り」のような気もするが、かなり面白い。
    人口当たりのスナック件数の上位は宮崎県、青森県、沖縄県、長崎県、高知県となりパブやバーが都市部に多いのと対称的である。なお、最下位は奈良県である。
    歴史的には「カフェー」を源流としつつ、法的規制をかいくぐるための変容を経て現在の姿になったという。どうもネガティブ・リストに基づいて定義づけられるようだ。
     
    「荷風が通ったこのカフェー・タイガーでは、女給の人気投票があった。ビール一本を買うと投票券一枚がくるというどこかで聞いたことのあるようなシステムである。菊池

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    2018年12月30日
  • 日本の夜の公共圏:スナック研究序説

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    スナックはどんなまちに行ってもあるという観点から関心を持った。スナックについて研究を行ったまとめ。
    スナックの法規制について調べることで、いかにスナックの創業を行うかなどがわかる。
    コミュニケーションの訓練をする場としてのスナック。
    スナックは、以下のことと負の相関関係を持つ。他の市区町村への通勤者数。自治体の実質収支比率や財政力指数。公共施設の数。
    もののあわれ論などとからめてスナックについて語っており、学生の頃に読んでいても理解できなかったと思う。

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    2017年10月23日
  • ゾンビ襲来:国際政治理論で、その日に備える

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    国際関係諸理論はゾンビ禍という超常現象にどのように向き合うか。大の学者が真面目に考察。こういう固くないテーマを用いての結論は、学生諸君は脳みそ喰われる前に脳みそ使え!ってことで、でも本人も楽しんでることがうかがえて面白かった。
    リアリズムやリベラリズムなどの理論はどういうスタンスで対応するか、ということとか、入門にはぴったり。殊更ゾンビ好きじゃなくても楽しめると思います。現に自分は最高に楽しめました。こういう知的な妄想をさせてくれる本がもっとあればいいのに。

    これは行政学の分野になると思うんだけど、標準作業手続(SOP)の弊害の議論は個人的に興味を持った。行政学も学びなおさねば。
    国際関係論

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    2016年06月24日
  • ゾンビ襲来:国際政治理論で、その日に備える

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    ただただすごい本です。ゾンビ襲来を経済学と国際関係論で考察した内容。米国人と英国人のゾンビ感染者に対する取扱いの違いや「走るゾンビ」と「走らないゾンビ」のゾンビ拡散の因果的な影響の下りなんて唸らされました。ゾンビのゲーム理論による考察もゾンビに限らず社会的な非公共財の出現に対する考察に応用できそうですし、かなり本格的な中身。長くなりましたが、この本を肴に誰かと語らいたくなるくらいの内容。最近のゾンビ映画、なかでもゾンビランド、ショーンオブザデッド、28週後そしてロメロの一連の作品を観ている方ならチョーオススメです!

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    2013年01月21日
  • ゾンビ襲来:国際政治理論で、その日に備える

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    ゾンビが襲来したら国家(ないし国際社会)はいかに対応するかという問いについて、国際政治の理論によって解答を導いている本。ゾンビを国際社会や国家にとっての脅威と考えればいいだろう。この問いについてリアリズム、リベラリズム、コンストラクティビズムといった主要な国際政治理論のみならず、官僚政治や国内アクター、さらに個人に関する理論によっても解答が示されている。しかもかなり幅広い理論をカバーしている。
    本書の優れたところは後半部のゾンビ研究事始にある対談形式で示されている国際政治理論の解説である。本編を一読しただけだとなかなか難しいが、この解説では国際政治の理論についての解説が簡潔に述べられており、こ

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    2012年11月22日
  • ゾンビ襲来:国際政治理論で、その日に備える

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    読書会にて。
    ゾンビ菌(があるとしよう)感染者が日本で出たらを創造した。彼らを殺処分することは出来ない。何故なら彼らはれっきとした人間で、単なる感染症患者に過ぎないからだ。
    もし何かのきっかけで一網打尽にし、感染を食い止めどこかに隔離することが出来れば、ワクチンの生成を進め事態は収束に向かうかもしれない。

    などなど様々な意見が飛び交い、頭を使ったよい読書会だった。今まででベスト。

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    2020年02月16日
  • ゾンビ襲来:国際政治理論で、その日に備える

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    ゾンビをモチーフに国際政治学のエッセンスをわかりやすく解説してくれるのかと思いきや、筆者も訳者もガチでゾンビ好きだったw何この分厚い訳者解説www
    いや、国際政治学の解説書としてもわかりやすくて良かったですよ!

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    2018年11月03日
  • ゾンビ襲来:国際政治理論で、その日に備える

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    大真面目にふざけた逸品。

    ゲーム理論でしばしば用いられる「繰り返しゲーム」では協調が起こりやすい。またケインズが論じるように「結局のところ我々はみな死ぬのである」。ここから「死なないゾンビは団結し、人間はバラバラに孤立する危機」に直面する。笑えるが笑えない!映画でも人間は必ず仲間割れ・抜け駆けなどのチームワークの危機から何人か死ぬし、ゾンビはひたすら集団で襲い掛かってくる(ゾンビの共食いはないらしい)

    小説「ワールド・ウォー・ゼット」では、統合参謀本部の議長が軍事的な効率を最大化させるために「資源/殺傷数比率」なる指標を開発する。これが現場での創意工夫を生み出し「信じられないくらいにコスト

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    2016年06月01日
  • ゾンビ襲来:国際政治理論で、その日に備える

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    とにかく想像もしなかった本。

    まさか、国際政治理論とゾンビが結び付くなんて考えもしなかった。

    でも、ゾンビが襲来するという、想定外なことを、学問的に考えることって大事なんだろうと、読み終わってみると感じた。

    そして、なにごとも、想定しておくことは、決して無駄にはならないように思った。

    にしても、ゾンビというとてもありえない物体?!と遭遇する、もしくは、襲来を受けることをまじめにとらえるってなかなかできないことだけど。

    結局、おもしろかった。
    ぜひ、たくさんの人に読んでほしい。

    ただ、論文っぽい訳(もしかしたら、原文も論文なんだろうが)が、慣れるまでは読み進めにくかった。、

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    2013年10月07日
  • ゾンビ襲来:国際政治理論で、その日に備える

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    ゾンビが発生した場合、国家はどのように対処するか、国際政治理論の様々な立場からシミュレートして説明してくれる本。ゾンビとか突拍子もないと思うが、著者も言うように、どの理論をどの場面で適用するかはもはやアートの領域だから、空想だろうと具体的に考えることが重要。全て説明できる理論があれば別だが、そんな便利なものはあり得ない。

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    2013年05月03日
  • 日本の夜の公共圏:スナック研究序説

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     いつも聴いているpodcastの番組に著者の谷口功一さんがゲスト出演していて、「日本の水商売ー法哲学者、夜の街を歩く」という近著の紹介をされたのですが、その際、本書についても触れられました。
     こちらの方が先行して世に出た著作で、「サントリー文化財団」が助成金を出した際に話題になった法学・政治学・行政学などの専門家・教授陣による多角的な考察とのことで興味を持ちました。
     各執筆者が自身の専門領域を基点に自由に論考を拡げているので、様々な切り口からの思いも寄らぬ気づきが得られました。なかなか面白い試みの著作ですね。

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    2023年10月13日
  • 日本の水商売 法哲学者、夜の街を歩く

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    大学で法哲学の教鞭を取る著者による全国各地のスナックを巡るエッセイ集。

    著者をはじめ、様々な分野の研究者によってまとめられたスナックの多面的な論考、『日本の夜の公共圏 スナック研究序説』は大変素晴らしく、ロバート・パットナムが説く”社会関係資本/Social Capital”を生み出す日本特有の場としてスナックを位置付けていたのが記憶に新しい。

    その出版から8年、その間のコロナ禍によって特に街場のスナックは合理的・科学的な裏付けもないままに感染の温床と名指しされ続けてきた。本書の最終章では、法哲学の研究者としての著者の面目躍如というべきか、この問題に関する論理的な追求がなされており、これは

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    2023年05月13日
  • 日本の夜の公共圏:スナック研究序説

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    ・日本のカフェの歴史と純喫茶の違いに関する言及が面白い。フランスのいわゆる文化カフェと、日本のカフェって全く別物。初期の日本のカフェは、もともとかなり安い給料だったそうで、チップをいかにもらうかが要だったと。そのために風俗としての側面が強かったらしい。風呂場のあるカフェまであったというから驚き……だけど時代背景とともに書かれていて妙に納得。純喫茶に対し、カフェは特殊喫茶、という位置付けだったそうな。

    ・スナックの原型はカフェ(特殊喫茶)。カフェに対する取り締まりが厳しくなり、そこからスナックが広がっていった。

    ・スナックがお酒を飲むための場所ではなく、コミュニティとして機能しているという点

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    2020年03月03日
  • 日本の夜の公共圏:スナック研究序説

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    あまりお酒を飲まないし、飲み会のようなお付き合いとも縁が薄いのでスナックにはおそらく1度しか行ったことがありません。
    自分の生活とは縁遠いスナックですが、最近興味を持ったところにこの本を知り、一読。
    スナックの歴史から、開業の仕方まで様々論じられており、面白かったです。

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    2019年07月07日
  • ゾンビ襲来:国際政治理論で、その日に備える

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    ネタバレ

    まえがき
    第1章 アンデッドへの・・・イントロダクション
    第2章 これまでのゾンビ研究
    第3章 ゾンビを定義する
    第4章 食屍鬼についての本筋から外れた議論
    第5章 リビング・デッドのレアルポリティーク(現実政治)
    第6章 リベラルな世界秩序の下でアンデッドを規制する
    第7章 ネオコント死者たちの悪の枢軸
    第8章 ゾンビの社会的構築性
    第9章 国内政治・・・すべてのゾンビ政治はローカルか?
    第10章 官僚政治・・・ゾンビにまつわる”押し合いへし合い”
    第11章 人間だもの・・・アンデッドに対する心理学的反応
    第12章 結論・・・ってゆうか、そう思うでしょ?
    謝辞
    ゾンビ研究事始
    参考文献

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    2018年10月09日
  • 日本の夜の公共圏:スナック研究序説

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    僕はお酒を飲めませんので、あまり行ったことはないですが、スナックは好きです。昔会社の先輩に連れられて行ったスナックのポテトサラダが美味しかったのです。この本では、公共性と書いてありますが、スナックの良さは覆面性だと思います。スナックで客同士や店員と客の交流も深まるようですが、基本的には、相手の素性が分からないところが良いのでは、と思います。だからこそ自分(その人)も、色々と雄弁に語れるのではないでしょうか。

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    2018年01月13日
  • ゾンビ襲来:国際政治理論で、その日に備える

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    タイトルの通り、国際政治理論でどのようにゾンビに対応するかということをまじめに書いた話。
    理論についてもう少し詳しければ、もっと楽しめたかもしれませんが、逆にこれをとっかかりに調べてみても面白いかもしれませんね。
    実質半分が本題で、残りの半分が訳者解説と注釈。
    分量的にちょっとお高い気がしますな。(^^;

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    2015年06月27日
  • ゾンビ襲来:国際政治理論で、その日に備える

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    エンタメ的な本かと思いきや、まじめに国際政治的観点からゾンビが発生した場合にどう対処するかの論文(?)。国際政治論がよくわかっていないので腑に落ちない。ただ、ゾンビが発生した場合、国際機関や各国の安全保障当局は機関間の「押し合いへし合い」などで適切な対処ができないという結論が興味深い。ゾンビを身近な災厄(原発とか)にしても十分に当てはまる。とはいえ、ゾンビに対する備えと言われると・・・。取り敢えずは、本書で絶賛している「ワールドウォーZ」の映画を見てみようかと。

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    2015年01月24日