藤井純一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
バイエルン始まり、大阪経由、北海道で花開く。
一言でまとめるとこういうことだろうか。
日本のスポーツ界でプロ野球とJリーグの社長を社長を務めた唯一の男、藤井純一。
斉藤佑樹を引き当てた男、「持っている」社長としての方が有名かもしれない。
2012年に最初の読んだ一冊がこれで良かった。
こういう人物が増えれば日本のスポーツ界の未来が明るくなると思えた。
藤井純一氏の特筆すべきところは、ひょっとするとスポーツの門外漢だった事もしれない。
本人曰く、
「球技はもともと苦手で、サッカーに関しても野球に関しても、知識はほとんどなかった」
ただし逆境に燃える優秀なビジネスマンだった。
そしてここがポイントかもしれないが、営業と宣伝両方を経験したビジネスマンだった。
つまり算盤勘定もできつつ、チームの認知と興味を広げるノウハウを同時に併せ持つマネージメントができる人物だった事が伺える。
セレッソとファイターズの共通項は、日本ハムが出資していること。
藤井氏は日本ハム出身のサラリーマンだった。
ヤンマーのサッカー部とカプコン(後に撤退)、日本ハムの3社が集まって誕生したセレッソ大阪はまもなく赤字まみれの状況だった。
当時の会長は後のJリーグ会長の鬼武氏。
ここからが面白い。
ノウハウを得るためにバイエルン・ミューヘンとアドバイザリー契約を結び、クラブ経営のノウハウを全面的に習う。
このアドバイザリー契約を結ぶ経緯がおもしろい。
現会長のウリ・ヘーネスの実家がハムの会社を経営している関係から日本ハムが紹介してくれたとのこと。
運命とはおもしろいものだ。
藤井氏は1ヶ月以上ドイツに渡り、クラブ経営を全面的に学ぶ。
組織図、マーチャンダイジング、選手の獲得・評価と後のファイターズ経営に役立つことをここで身につけていく。
そこからは自転車で20分以内のエリア戦略のもと、サポーターと地域の商店街などを巻き込んでセレッソを黒字経営へと導く。
強化と育成の道筋も人事等を通してつけていった。
ここで彼のスポーツ界の挑戦の第1章が幕を閉じる。
次の彼のチャレンジは多額の赤字を出していたファイターズ。
北海道に移った球団での課題は、20分以内の狭い地域のエリア戦略ではなく、北海道全体の広域な戦略。
「セレッソ以上のぬるま湯」と表現した当時の球団経営を彼はまた変えていく。
組織図、マーチャンダイジングのあり方、コスト削減、ファンサービス、地域密着。
広域のファンに向けてメディア戦略も抜かりない。
北海道のテレビ局にうまく放映権を売り、そして各局番組で取り上げてもらえるよう交渉した。
そして球場に来てもらって楽しめるよう様々な工夫をこらした。
715チケット、オヤジナイト、屋台、物産展、乙女の祭典、選手の抱き枕販売。
その他オリジナルのアイス販売等もある。
そしてもう一点ファイターズの地域密着に大きかった要因がある。
選手と監督である。
札幌ドームを満員にするとファンサービスの意識が高った新庄を筆頭に、稲葉、森本などファンとの交流を積極的に行った大人なオープンな集団だった。
そしてファンサービスの大切をアメリカ時代から理解しているヒルマン監督の協力。
彼らの存在なくして北海道に根を下ろすのは難しかっただろう。
さらにバイエルン流の選手獲得・評価の方法を野球用にカスタマイズし、安定して上位争いに絡む球団にすると共に経営状態も大きく改善された。
6年間在籍し、黒字転換のみならず黒字体質に球団を変えたところで、藤井氏は次の挑戦へと移った。
現在は近畿大学教授としてスポーツビジネス・マーケティング・コミュニケーションを教えながら、次の優秀なスポーツビジネスマンの育成に励んでいる。
現在日本のスポーツ界は、企業スポーツの衰退を受けて様々な形態で生き残り、発展途上の未知を模索している過程である。
bjリーグ、個人アスリートのスポンサー、その他ラグビー、バレーなども積極性の有無はあれど様々な試みをしている。
プロ野球でさえ球団経営は大きな課題だ。
しかし経営者の育成に関しては、あまり話を聞かない。
チームが危機に陥ると次の会社がスポンサーに名を挙げて経営者が変わって終わるのが関の山。
うまくいけばその会社の優秀なスタッフが良かったという話で、スポーツ界に名経営者が生まれた話ではない。
この現状を打破すべく、もう一歩話を進めて、これらからはスポーツチームの経営をいかにするか?
人材をどれだけ育成するかに焦点を当てなければならない時期に差し迫っていると言えるだろう。
藤井氏は日ハムの計らいでたまたまバイエルンと出会う事ができた。
もっともっと海外からビジネスを学ぶ時期ではないだろうか?
長谷部、長友、本田と選手が海外に渡っているが、これからはビジネスマンも海を渡る時代ではないだろうか?
そしてそのノウハウを持ち帰り、日本が世界に打って出れるようなチーム作りに励んでもらいたい。
藤井氏の教え子の活躍が期待される。 -
Posted by ブクログ
意外や意外、かなり詳しく日ハムファイターズの経営戦略、そして、球団経営の仕組みが紹介されています。
ベンチマークのひとつとして参考に。
さて、本日(16年6月19日)のさんまのまんまのゲストは、中畑清。彼が、ソフトバンクホークス(そして孫さん)は、別格と表現してました。強さもしかり、その強さを支える球団マネジメントしかりなんでしょう。
(備忘)
・ビジョンの設定
・グループ間異動
・事業主契約の切り替え
・権限明確化(全権、口出ししない)
・クレド
・プレミアムチケット(無料チケットの縮小)
・ファン層を画一化しない工夫
・スポンサー収入、スポンサーケア(スポンサー企業同士の仲介、同行営業、バーター取引はしない)
・チケットの電子化
・ポイント -
Posted by ブクログ
元C大阪社長、元日本ハム球団社長という、日本のメジャーなスポーツ団体の社長を務めた藤井氏が、スポーツビジネスの観点から、どのような努力をしたかをまとめている本。
日本ハムファイターズが本拠地移転やいかに北海道での営業をしてきたかの事例が多いが、元々はサッカーのバイエルン・ミュンヘンの視察で見たアイディアを生かしていたり、いろいろな形でスポーツ・ビジネスをビジネスとして成功させるための工夫をしている。
内容は、スポーツビジネスとは何か、試合収入、放映権収入、スポンサー収入、マーチャンダイジング収入、IT戦略、地域密着についての7章であり非常に論理的にまとまっていると思う。
スポーツビジネスとは何かという本や経営戦略の本などに出ていることがもちろん多いが、教科書的なお題目をどのように具体化、現実化してきたかを見るには非常によい学びになったと思う。おすすめの1冊だと思う。 -
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「スポーツビジネスとは、他のビジネスと何ら変わりがない」という、セレッソ大阪を立ち上げ、北海道日本ハムファイターズを率いてきた筆者の気づきが、この本の背骨です。しかし、「他のビジネスも、スポーツビジネスから学ぶことはいっぱいある」という感想を持ちました。すごいシンプルで実践的なスポーツビジネスの教科書ですが、自分にとっては今のビジネスの教科書でした。チームとフロントが一体化すること、スタッフが縦割りにならないこと、顧客との絆を強めること、スポンサーと長い関係を築くこと、地域社会と共生すること…出来そうで出来ないことを自前で実現していく様子に勇気がもらえます。これは、ブランドコミュニティの生成そのものだと思いました。
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小笠原、岡島、糸井、ダル、稀哲、どんなに選手が抜けても強い秘密は?
球団の特色を「育成型」と定めたことによります。選手の特性をあぶり出し、強み、才能を発見するプログラムを作成し(2億円を投下!)それに従って選手を伸ばす。
元1軍の選手が2軍に吹きだまることもない。監督も選手の強みがわかっているから同じ起用法をとる。だから監督が変わっても球団の強さが変わらない。
ブログやFacebookで何度か書きましたが、大谷君、日ハムを選んで大正解だったと思います。その前の菅野も本当は日ハムに来るべきだったでしょう。原監督も永遠に監督でいるわけでもなく…
おカネをかけて選手を取るのではなく自前で育成していく。それが結局低コスト経営につながる。
では売上の方は?というと細かく日ハムの営業の様子を書いています。チケットを売るのは値引きだけが能ではない。逆に高くてもゆっくり見たい、という層もいる。ただしい客層に正しい価格のものを売ることで売り上げは伸びる。
スポーツ球団経営の神髄ここにあり。 -
Posted by ブクログ
ネタバレハンカチ王子・斎藤佑樹をドラフトのくじで引き当てたことで有名になった元ファイターズ球団社長の藤井純一氏が自らの球団経営についてまとめた本。
この藤井氏、ファイターズの球団社長になる前にはJリーグのセレッソ大阪の球団社長も務めた人物でセレッソ、ファイターズでの球団経営の話は非常に興味深いものでした。
ファイターズが常に優勝争いができるチームになったのは藤井氏の功績が大きいのだと思いました。特に選手評価のシステムを作るにあたって、セレッソ社長時代に視察に行ったブンデスリーガのバイエルン・ミュンヘンの手法を取り入れたというところが興味深かったです。
そんな藤井氏も元々は親会社の日本ハムからの出向者。事なかれ主義で過ごす人物が多い中で、藤井氏はスポーツビジネスはもちろん野球やサッカーも素人にもかかわらずファイターズを地域密着の優勝を争えるチームに育てたというのは親会社からの出向者としては大変な成果だと思います。こういう人が球団フロントにもっと増えれば日本のプロ野球はもっと良くなるだろうと思います。
最後に藤井氏が本書内に書いた内容で、自分自身の仕事、人生にも参考になるなと思った言葉を記します。
「知らないことなら調べればいい。分からないことは聞けばいい。相手が専門家だからといって憶する必要はない。」
「要は、いかに興味を持つかである。興味さえ持てば学ぼうと言う気持ちが起きるし、学びさえすれば、これまで見えなかった新しい世界がくっきり見えてくる。」
スポーツに興味がある人はもちろん、ビジネスマンにもお勧めの1冊です。 -
Posted by ブクログ
ネタバレチェック項目14箇所。”ビジョン”がスタッフの間で共有されると、スタッフの力が結集され、まるで一点突破するような力強さが、組織にもたらされます。あとで「何で手伝ってくれたの」と聞くと「私営業部にいましたから、営業がいかに大変かを知っているからです」との答えでした、このとき、私は配置転換すると、同僚の気持ちを理解でき、助け合う組織をつくり出すことができると思いました。ある球団は、選手の登用やトレード、コーチ陣の任命すべてを一人の監督が行っていたようです、その監督は「勝つことが最大のファンサービスだ」と公言していたようですが、では勝てないときはどうするのでしょうか、そのチーム運営方針には疑問を感じます。できる限り無料チケットを減らすというのは、スポーツビジネスを成り立たせる上で、重要な要素だと思うのです。スポーツビジネスで大切なのは、一字的なブームによる収入増ではなく、安定的、継続的な収入なのです。球場で試合を見るのは、ファンのすることです、スタッフは、ファンの方に満足してもらうために裏方に徹するべきです。ファイターズファンの55%は女性ですから、彼女たちに試合を楽しんでもらうことが大切です、また、女性が多く来ているだけで球場は華やぎますし、それを目当て(?)に男性も多く集まります。スポーツチームは、画一的なファン層ばかり取り込むことを考えるのではなく、ときには短気的な売上を無視してでも、新たなファン層拡大を図らねばならないのです。興味のない人に対して、いくら大量にチケットをまいても来ないものは来ないのです、それよりも、一番大切にすべきはコアなファンだと思います。現在のファイターズでは、無料券の比率を3%以下に抑えていますが、これをゼロにするつもりはありません、無料券の配布を一つのマーケティング戦略としてとらえ、どこに配ればどのくらいの反応があるのか、それらの基礎データを収集し、効率的にリピート客を獲得できる領域をつねに開拓していくことができるからです。テレビやラジオの放送により、より多くの人が協議の面白さ、迫力に圧倒され、「テレビだけでは不十分だ。実際に観戦に行きたい」という好循環につながっているからです。在籍する地区のスポーツチームのスポンサーになることで、地域社会に貢献することを目的の一つとしています、地元スポーツチームを応援する企業のことを、地域の人々が「この会社はすばらしい。自分たちの仲間だ」と認識してくれるという副次効果も期待できます。もともと大阪本社の日本ハムが東京でプロ野球球団をもった目的は、東京での商品の販売シェア奪回と知名度アップを目指してのことでした、球団買収から30年経った当時、その目的はある程度達成できていると判断されたのだと思います。究極の地域密着とは、地域になくてはならない存在になることです、勝つチームを目指すのではなく、愛されるチームづくりを目指してください、そうすれば、自然と地域密着できるチームが完成すると思います。