前野直彬のレビュー一覧
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漢文を理解するための、訓読法を解説した書である。
仕組みをしるための書、漢文を読むためには、言語だけにひたすら試行錯誤するしかない
それは古代中国語の原文を、いきなり日本語として理解するための方法であった。
著書は、中国語の秀でた方のようであるが、もともと中国語を知らなければ、もともとの白文に訓読法を用いることはできない。
今も昔も訓読法を用いることは難しいことであると述べています、古典の訓読法はこれまでの経験といっています。
その方法が統一されたのは、ようやく、明治維新の時であったとのべているのがおかしい。
気になったのは、以下です。
■漢文とは
・漢文とは本来中国語であるものを、日本 -
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漢文とは何かを、丁寧に解説したものが本書である。
現在が、アメリカから英語で制度や技術を参照としているのに対して、明治以前は、超大国であった中国から、文化や技術を学んできた。
当然当時の中国語で書かれているわけであり、その中国語を解読するための方法論が漢文であった。
ただ、その内容は、漢文の読み方のみならず、中国の歴史、詩、小説、思想、日本の漢文学史にも及ぶ、650頁にも及ぶ大作なのである。
気になったことは、次の通りです。
・漢文のテキストは、原文、書き下し文、(現代文)、語釈、通釈、解説の形となっている。
・漢文を理解するためには、まず、漢字を理解する必要がある。漢字には、①象形、② -
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面白かった。構成は大きく言って、漢文と解説の二本立てである。解説は明晰で分かりやすいから、漢文学の理解が進むけれども、知識の披瀝に過ぎない面があり、ずっと読んでいると退屈する。その点、漢文の方は才気煥発な名文だから、読んでいて愉快である。しかも、漢文は中国の文化の華を集めており、非常に楽しい。ただ、ここまで広範にカバーしてあると、私の方でも受けつけない内容があり、老子や韓非子はそれに当たる。文学は古文や唐詩が好きだし、歴史は紀伝体が好きである。思想はやはり儒教で、兵法も好きである。逆に言えば、四六駢儷文や古詩は馴染みがない。それにしても、これだけ網羅的なのは著者の力量に脱帽である。
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「漢文入門」というタイトルですが、受験参考書のように訓読法の基礎を解説している本ではなく、日本文化の中の「漢文訓読法」の特質と歴史について解説している本です。
日本におけるいわゆる「漢文」が、中国の伝統文化における文語文とは異なるものだということは、高島俊男の啓蒙的な著述によってわたくしのような門外漢でもどことなく理解したようなつもりになっているのですが、本書はその歴史を簡潔にたどり、「漢文」の形成されるプロセスをわかりやすく説明しています。
この国の人びとが、中国文化をどのように咀嚼してみずからのものにしようとしてきたのかを知ることのできる本だと思います。