ブノワ・ペータースのレビュー一覧

  • 闇の国々II
    1巻とは違って悪夢的な牢獄に囚われたような不気味さ。どっちにしても面白いですが。物語を語るための必然なのはわかるけど、コミック形式から離れた文字表現はちょっと不満。同じように必然にせよ『古文書官』で物語世界『闇の国々』をメッチャ持ち上げてるのも居心地悪くは感じた。とかまあ不満はあるけど他に類を見ない...続きを読む
  • 闇の国々
    とても空想的でいて写実とディテールで地に足がついた、夢とは違う現実から数歩ずれた世界の楽しさ。銅版画的なタッチ、メディアを横断する手法も魅力的。結末はどれも謎めかせつつも捨て鉢でなく後味も良い。
  • 闇の国々
    ああ~とてもとても面白かった。
    一篇をぐいいいーと集中して読み、
    一日以上間を取って次に進む、
    だってすぐ次に移ってはもったいないから
    物語に入り込んでた至福の時間の記憶を長引かせたいから
    というように読みました。
    深く大きく造り込まれた設定、
    驚きと美しさを伴ったメタ的な手法、
    建築物への
    趣向、...続きを読む
  • 闇の国々
    ・一個の小宇宙。そんな印象を受ける、マンガを越えているマンガ。ヒトコマヒトコマの描き込みが恐ろしいほど細密。

    ・ストーリーは、いかにもフランス気質っていうか、不条理で哲学的でSF的…いく通りにも読み解くことができそうな、象徴的な話。

    ・架空の町々と歴史、そこに住む人々。現実世界との実験的手法で描...続きを読む
  • 闇の国々II
    カフカ的な世界になってきた。
    闇の国々というタイトルは、光が入らないという意味での闇ではなく、人生の暗闇のような、光の当たらない人生、手探りで進むしかない世界をさしているのかもしれない。
    そして、不可解な世界から人々は抜け出していく。

    ある種の冥土巡りなのかもしれない。
    この不可思議な世界を支える...続きを読む
  • 闇の国々
    見事な構築。
    冒頭に地図があり、そこにある国々でおこる物語が掲載されている。
    1巻の時点では、それぞれの話はまだつながっていない。

    読者は壮大なイマジネーションの中をさまようことになる。
    巨大な建造物、奇想天外なストーリー。
    スクイテンは昔、リトル・ニモを描いていたと記憶しているが、当時から建物を...続きを読む
  • 闇の国々
    400ページの重厚なバンド・デシネ。闇の国々といわれる別世界で起こる色んな御話。
    1巻は白黒漫画かと思っていたがカラーのページもあった。あとがきで知ったがこの日本版はフランス本国の1巻から順番に掲載しているわけではないようだ。
    この巻には3つの話が載っていた。
    最初の狂騒のユルビカンドでスクイテンの...続きを読む
  • 闇の国々IV
    「闇の国々」の邦訳もついに4巻。これで本国で出版された正編はすべて翻訳されて一応の完結。いくつかの番外編は未訳のまま残されてはいるけれど、正編全てを訳しきったのはかなり画期的なことだと思う。1冊平均4000円4巻そろえて16000円というのはコミックとしては非常識なほど高額なわけだが、それでもちゃん...続きを読む
  • 闇の国々
    フランス語圏の漫画、BD(バンド・デシネ)の大作。「闇の国々」と呼ばれる国を舞台とする連作である。本書出版の時点では、本編が12作、番外編が12作出ており、本書ではうち本編3作が収録されている。
    日本語訳としては、本書に加えて『闇の国々II』と『闇の国々III』は刊行済であり、『闇の国々IV』は20...続きを読む
  • 闇の国々III
    第2集からわずか半年で第3集がでたのは驚き。文化庁メディア芸術祭で大賞とったし、ユリイカで特集したしで、着々と支持を広げている印象。
    第3集は中編ふたつと、新聞記事に模した短編ひとつ。いままでの第1集第2集に比べて、格段に読みやすくなった。これまでは行間の読み方から、テンポの取り方から、日本の漫画と...続きを読む
  • 闇の国々
    例えば、指輪物語のことへ思いは漂ってゆく。その物語は完全な空想の物語である筈なのにどこかしら言い伝えられた話であるよう雰囲気がある。伝説的な物語(あるいは神話もその一つに含めてよいと自分は思うけれど)の不思議さと現実から切り離された浮遊感の混じり合った雰囲気は、逆説的ではあるけれど、物語が地続きの世...続きを読む
  • 闇の国々
    400ページの大型本。絵もストーリーも深く緻密で中々読み進めない…orz 装丁を含む本そのものが世界を持っていて、まるで映画を本の形で読んでいるような錯覚に陥る。そういう体験自体が面白い。
  • 闇の国々III
    不条理というのだろうか。物語が難解だ。
    世界観がしっかりできているのがすばらしい。
    とくに建築物。むしろ建築物が主役のようなコミックだ。
    建築物が主役というと弐瓶勉の初期作品を想起する。
    しかし、シュイッテンの作品は、弐瓶勉のような闇の世界ではなく、陽光もある。そう、弐瓶勉のほうが闇の国々なのだ。
    ...続きを読む
  • 闇の国々
    絵の質感がとても良い(個人的好み)。
    ただし日本の漫画の絵柄・コマ割りとは方向性が当然異なるので、読みづらさを感じるのは確かです。
  • 闇の国々II
    第2巻がついに出た。ページ数は減ったけど、今度はフルカラー。第1巻がわりとバラエティに富んだ内容が多かったが、第2巻は比較的地味な内容。地味ではあるけれど、こちらのほうがより<闇の国々>の世界観をよく描出している。それはこの闇の国々という作品群がある種の都市論であるという事。たとえば第2巻に収録され...続きを読む