姫田多佳子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
コンピュータは思考するか?
人間の脳と何が違うのか。
人間はどう感覚し、どう思考しているのか?
実に興味深い。
文章も平易、というか、ピンとくる、というかわかりやすい、というか、
頭に入ってくる。
自分は脳の働きに興味があるんだなあ、と思う。
しかし、、
情報量が豊富すぎて、結論、というか、著者が何を言おうとしているのかが、
本全体としては入ってこなかった。
これは斜め読みの欠点と、結局は私の理解不足。
ただ思うのは、
コンピュータが思考のまねごとをする、というのであれば、
人間も同じ部分があるような気がする。
ただ人間は生き物だから、理屈にない感覚、肌感覚、肉体的感覚で、
衝動的に思い -
Posted by ブクログ
考えることの重大性を様々な角度から検討している。前2作とも関連するが必須ではない。
問題意識の一つに人工知能の万能性への懐疑がある。人間性、生きることを取り戻す試みだ。思考とチューリングマシン(あたかも思考しているように思える)は位相が違う。
また、より大きな文脈としては、社会構築主義と科学至上主義への反駁がある。わかりやすく言うと、この世は有意味であると言う主張だ。
プラトン、アリストテレス、カント、ウィトゲンシュタイン、フーコー、ボードリヤール、サール、ブランダム、クワインなどが縦横に引用される。本書で最も重要なのはフッサールだろう。また、SF的な映画、小説の引用も豊富だ。
リルケ -
Posted by ブクログ
気鋭の哲学者であるマルクス・ガブリエル氏の三部作最終章。三部作のなかでは(文章が平易であるという点において)最も分かり易いものの、相変わらず内容はさっぱり理解できず。ただ、知的刺激は大いに受けた。
前々作は「世界」、前作は「私」、本作は「考える」がテーマ。唯物論的神経中心主義を論駁した前作に対し、思想ならびにその表象化モデルである思考とはそもそも何かを再定義していく。著者は「考える」ことを「考覚」と言い、生物として元来備わっているものではなく、人間が生み出した「(人工知能ならぬ)人工知性」という捉え方がユニーク。
著者が語る「考える」ということが持つダブルミーニングつまり感覚器官と表象手段は、 -
Posted by ブクログ
いま最も有名な哲学者といっても過言ではないマルクス・ガブリエル氏の一般向け哲学書三部作の第2弾。1作目同様、内容はほぼ理解できなかったが、著者の深い造詣と考察に触れているだけで知的好奇心が刺激される。
昨今のニューロネットワークのAI花盛りの時代にあって、「AGIの登場がまもなく」というまさに今、著者は「神経(ニューロ)中心主義」に異議を唱え、「私」≠脳というテーゼを以って、我々の精神の深淵や本質に対する論理展開を図る。自由意志の存在は第三章や量子力学的パラレルワールドからすると制約条件の結果という気もするが、志向的意識と現象的意識という観点を経ると「現象的」は人間の精神の複雑さを示しているよ -
Posted by ブクログ
ハウトゥー本の中でも脳がどうこうとか発達心理学っぽい理屈とか色々つけてくれるので好き。俺理屈っぽいからそういう根拠づけというか権威づけみたいのしてもらえると嬉しくなっちゃう。
後半気が抜けたのが根拠づけがあまりなされなくなるのが残念。普通のハウトゥー本みたいになる。脳とか心理に関する未知の概念に一々引っ掛からなくてよくなるのでむしろ読みやすくなるのだけど。
普通に使えそうなライフハックが多々描かれている一方で、それは希望的すぎやしない?と少し疑問になるようなライフハックも散見された。まあ所詮ハウトゥー本だから使えるところを使っていく程度の腹積りでいればいいんだけど。
読んでよかった、自分の育児 -
-
Posted by ブクログ
マルクス・ガブリエルの「一般向け」哲学書の3部作の2作目。
「新しい実在論」というのが流行っているらしいのだが、どこが新しいのかは実はわからない。社会構成主義や価値相対主義を批判していて、日常のいわゆる「現実」をしっかり「現実」として位置付けるということになっているみたいだけど、本当にそうなのかな?
いろいろな「現実」を統合する「世界」は存在しないとしているので、いろいろな側面での「現実」が「実在」することになる。
これは、もしかすると、価値相対主義が嫌いな人には、さまざまな現実が、社会的に構成されるというほうが、まだよかったんじゃないとか、思ったりする。
さて、「「私」は脳ではない」