大森兄弟のレビュー一覧
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ネタバレ螺旋シリーズ6冊目。
原始編!
ところどころ謎のワードが出てきて、おそらく海だな、おそらく太陽だなみたいなのがわかってきて楽しいが、それとは別に普通にネズミとかどんぐりとか、現代と同じ用語が出てくるので、どうせなら全部変えろよと思いながらもそれやったら単に全部新しい言語で書けという無茶振りになるし難しいな…
海族には死と生の概念がなく、というか隠されていて、山族は死と生どころか武器などの文化もある。
そして起きまくる地震のせいで彼らが出会い、そして破滅していく。
まあ、海族はいつまでも死の島を隠せる気がしないし、山族は放っといても相打ちやいけにえで滅びそうだし、どっちにせよ滅んでたのでは -
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ネタバレ螺旋プロジェクトの第1弾。
固有名がなじみのないカタカナで、また古代を表現するために知らない単語で表現しているので最初はメチャ苦戦しました。第2章が終わる頃には慣れましたけど、進んでは戻り、進んでは戻りを繰り返しました。
死の概念がないイソベリと生贄という犠牲を払って生きるヤマノベ。現代の感覚ではどっちもどっちな感じがしますが、この物語を神話、と捉えると、まぁこういう世界観もアリかな、と思いました。
ハイタイステルベの家系、カリガイ・オトガイはマダラコが言うように、イソベリの生贄として生きることを強いられていた。イソベリの掟のようなものを守るために。カリガイは辛かっただろうな、と思いまし -
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ネタバレ螺旋プロジェクトの原始時代編。
自分が読んだ順では、昭和後期~平成~近未来の2冊に次いで3冊目。前の2冊は今の自分のいる時代と地続きのお話として読める。でも他の物語を読み終えてみると(まだ全4冊だけだが)、伊坂さんが目指した、「火の鳥」のような時代を超えた一連の作品になっているのが分かる。「火の鳥」は何度も読んだなあ。クマソの話、不死になった宇宙飛行士の話、仏像彫りの話・・・
さて、この「ウナノハテノガタ」。よく書けたなあ、が感想。背景設定、キャラクター、シナリオ、構成、演出、情景描写、言語(音)使い・・・どれも非常にレベルが高い。実写化、アニメ化には向かない描写が多いが、逆にこの時代っぽい -
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ネタバレ「ウナノハテノガタ」
「海の果ての潟」かと思って読んでみたが、「海の果ての方」だった。
オトガイはイソベリの少年。
イソベリには死の概念がない。
動かなくなったら、息をしなくなったら、イソベリは島へと運ばれる。
そこでイソベリはイソベリ魚となり、ケガは治り、昔々にイソベリ魚になった人たちとウナでずっと幸せに暮らす。
たった一人、島へ運んでくれるハイタイステルベはオトガイの父、カリガイ。
イソベリは、食べたい分だけシオダマリで魚や貝やタコを取って食べる。
争いごとのない世界。
そこへ、森の奥から見慣れぬ獣のようなヤマノベのマダラコがやってくる。
ヤマノベは、武器を取って戦うことを知っている -
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螺旋プロジェクトではなかったなら、伊坂幸太郎氏の企画でなかったなら、間違いなく読むことはなかったであろう作品。
そのうえで、だからこそなのか、今までに味わったことのない不思議な読後感で、時間がたった今でも鮮明に記憶に残っている。
太古の人々の、言葉が発達していない世界観の中で紡がれるものがたりは、前半は正直読みにくかったのだけれど、しだいにその独特な文体にも慣れていき、後半には気が付けば癖になっていた。
螺旋プロジェクトの全作品をちゃんと読んでみようって思わせてくれたのは間違いなくこの本のおかげです。
自分の好みで手に取ったわけではない(企画として手に取っただけの)作品だからこそ、新た -
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螺旋プロジェクトの最初から読んでみたいと思い、大森兄弟さんの本を初めて手に取った。
原始時代について描かれた小説を初めて読んだが、これを書くのは大変なご苦労だったろうと容易に想像できた。というのもある程度の史実がベースになく、物も固有名詞もなく、全くのゼロベースから創造なさっての作品作りだと、素人でも容易に感じられたからである。
そういう意味でひらがなやカタカナが多く、読みづらいスタートではあったが、内容には考えさせられ、惹きこまれ最後まで一気に読まずにはいられなかった。
最後の場面に登場した方々には、その後も生き抜いて欲しい。
最初によく意味も分からず、伊坂幸太郎さんと朝井リョウさんの作品を -
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やっと螺旋プロジェクト完読ー!
時代を逆行して読みはじめた螺旋プロジェクト、結果それで良かったかも。
まだ、ものに名前がつけられる前の古代の話ということで、読みにくくて、この物語から読みはじめていたら挫折していたかも。
二つの種族が交わる最初というわけではなく、すでに対立を経験し、疲れた海族が流れ着いたさきで長い年月を経たあとの物語。
どちらの種族が悪い、良いという問題ではなく、生き方、文化、言葉の違いにより起こる、現代にも通じる根深い問題がそこにはあります。
けれど、最後は海も山もみんなで大きな舟に乗り、みんなでひとつになって乗り越えようとする、微かな希望が見える。そして次の時代に( -
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言葉の定義がない時代。
繰り返される族同士の争い。
離れて暮らし、あの世に生贄を捧げる族と、死の概念を捨て去った族。
混じり合うと、争うしかなくなる。これは宿命なのか。これが後世にどうつながっていくのか。
「螺旋プロジェクト」というシリーズを知って、時代順に読んでみようというスタートの一冊。
固有名詞がない原始時代を描く難しさ(同時に読む難しさも)を感じながらも、後半はハマって一気読み。
これはシリーズ全部いくしかない…
死を知ることは幸せか、そうじゃなのか。
知らないから投げ出せるのか、
知っているから臆病になるのか。
考えさせられる一冊。
シリーズが楽しみだ -
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螺旋プロジェクト 4作品目
初の大森兄弟さんの作品
最初はハイタイステルベ、オオキボシ、ウナなどなど。色んな言葉が出てきて戸惑いながら読んでました。読み進めていくと、だんだんと慣れて原始時代に入っていけた感じです。
言葉や食べ物ももちろん違う、人が亡くなるということ、亡くなった後の対応、イソベリとヤマノベで違う。現代は文化の違いとして認識できるが、他の者を見たことない側から見ると、きっと恐怖に感じるんだろう。今の時代にも自分とは異なるものを排除しようとすることはなくならない。でも、中にはヤキマやマダラコのようなお互いを知ろうとする柔軟なものもいる。
最初は原始時代の物語に不安があったけど、楽 -
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ネタバレ螺旋プロジェクト(私の中で)2冊目。
まず、なんだかすごいものを読んだなぁという感想。
記号のような言葉も、読み進めていくと文脈から意味を持つ単語に変わる過程が、言葉の生まれた過程そのもののようでまずそこに感動した。よく書いたなこれっていう。
死について対照的なイソベリとヤマノベ。
死の概念というのは隠されると、怪我を恐れない大胆な行動になるのか?本能は作用しないのか?とか人間の姿じゃなくなる(イソベリ魚になる)のは悲しくないのか?など、疑問は少々ありながらも、それを超える世界観。生々しいありありとした描写が良い。
死(死後)について誰も分からないのは現代もこの時代も変わらないという人間 -
Posted by ブクログ
大森兄弟の作品。
実の兄弟による小説家コンビとのことだが、今回の『螺旋』プロジェクトで目にするまで作者さんの事は知らなかった。
『螺旋』の全ての始まり、原始を担当する。
読み始めて直ぐ、その設定に取り込まれた。
どこか辿々しい語り口、固有名詞ではなくブンブン等の形容を用いた呼び名…。
それらは全て、人間がこの世の主導権を握っていると勘違いする前、もっと大自然や生きとし生けるものを敬っていた時代設定だからこその、作者の仕掛けた技法だ。
現代と共通の固有名詞が生まれる以前の原始が舞台なので、作者は創意工夫を凝らしたんだろうな。
そしてなんとなく、
ハイタイステルベ=廃体捨てる部(←語り部、 -
Posted by ブクログ
ネタバレ少年が悪意に触れることで自己を確立する、逆説的成長譚。
「おまえも覚えておくといい、世間には、信じられないくらい意地悪な人間がいるんだよ。」
本書の冒頭で主人公に対して、父親が伝えた印象的な言葉である。
主人公は中学生で、少年から青年への過渡期にある。
少年期の意地悪は、悪意のない純粋無垢なものであることも多い。しかし、青年期へと足を踏み入れた10代半ばにもなると、意地悪は明確な悪意を孕んだものへと変化していく。
主人公もまた、鬱陶しい友人のサダの意地悪さにあてられるにつれ、徐々に悪意のある意地悪さを発露していく。
さて、犬は主人公の延長線上にある無意識的な存在として描かれている。そう