「螺旋」プロジェクトの2冊目。一気に古代に飛んでみた。年跨ぎで読んで今年の1冊目。
山の民(ヤマノベ)のマダラコが生贄の儀式から逃れて山を下り、海の民(イソベリ)の集落に辿り着くところから始まる物語。
カタカナで聞きなれない単語が多い文章は読みづらかったが、これは最初のほうの話を読むうちに慣れた
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寧ろ付かず離れずのところでそれらしい言葉を作り出す苦労が思われる。この時代を担当するのは大変ね。
言葉も食べるものも風習も異なる二つの民。異文化が衝突するところで何か起こるというスリリングな設定に思えたが、面白くなる前に終わってしまったという感はあり。
ただ、だからと言って面白くなかったわけではなく、この見知らぬ想像上の種族の思わぬ特徴や属性だったり、小さな衝突がどう転がっていくのかなど、作者が作ったワールドに結構興を惹かれながら読み進めることは出来た。
『死を知らぬ海の民、死を弔う山の民』という二つの死生観やウェレカセリの壁画の意味(オトガイとマダラコがこれを読み解き辿っていく場面には興奮した)など、これらを突き詰めていけるともっとこの物語に対する理解(本当の面白さ)が深まったのではないかと思うのだが、私の頭では難しかったのだった。