小塚一宏のレビュー一覧
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534ページある分厚い本である。本の厚さに躊躇している人がいたとしたら、そんな心配は無用である。まるで、小説を読んでいるかのごとく、語り手のリズムに引き込まれて、時間を忘れて読みふけってしまった(私はそうだった)。物語は、2006年9月22日アメリカのユタ州で発生した交通事故から始まる。1980年代から世の中に徐々に浸透していった文明の利器である携帯電話が社会にどんな影響をもたらすものかを科学的な検証、事故の統計、事故の当事者へのインタビュー、事故当時の時代の空気感(当時の常識的な考え方)等様々な視点から多角的に追体験していくことになる。
とはいえ、学術的な書きっぷりではなく、当事者はなぜその -
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2006年にアメリカで実際に起きた交通事故をもとに書かれたルポルタージュ。
運転中の携帯でのメッセージのやりとりの最中に事故を起こしたことをきっかけに、アメリカで運転中の携帯操作を禁止しようという流れを生んだ。
まるで、ドラマのように完成された事実だ。
特に事故を起こした彼の心の移り変わりは、胸が痛くなる。どのように移り変わるかは、ぜひ読んでほしい。
日本でも運転中の通話およびメールは禁止されている。
そして歩きスマホの危険性を訴え始めている。
どれほど危険なのだろうか? ほんの少しの間、画面に視線を落とすだけじゃないか、私もそう思っていた。
けれども、この本は示す。
画 -
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運転中に携帯電話でメールをやり取りすることの危険性を主題とし、2006年、Utahで実際に起きた事故を中心に、実験データから法整備の問題まで、広く描かれる。
事故を起こした人物が、当初のメール否認から、裁判での研究者の証言から自分のしたことの意味を理解し、行為の危険性を周知するため伝道の如く活動するようになる変化が劇的。
携帯電話による通話の事故率が酩酊 (血中アルコール濃度 0.08%) と同程度、メールの場合はその1.5倍というデータがあった (2008法廷証言)。
通話に限ったとして、ハンズフリーにより事故率は下がらない。本質は通話であって、操作ではない。
さらに、Siriのような音声 -
Posted by ブクログ
ネタバレ米ユタ州で起きた携帯メールのながら運転での死亡事故について物語風にドキュメンタリー。
事故を起こしたレジーは、初めは自分が事故のときに携帯を触っていたことを否定する。彼の言葉によると審理の途中で自らが携帯電話に触れていて、危険な運転をし、二人の命を奪い、その家族からかけがえのない人を奪ったことを理解した、という。ある意味、本当に彼は運転に集中をしていたと思っていたのかもしれない。そこからのレジ―の危険運転防止への献身的な取り組みがこの本のひとつの主題である。
レジ―がユタ州のモルモン教徒であり、伝導活動に掛ける想いについて実感が湧かないかもしれないが、日本人であれば例えば受験であるとか就職で -
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ネタバレ2006/9/22、ある普通の青年が交通事故、死亡事故を起こす。それは裁判となる。原因は何だったのか?青年は何も原因となることを覚えていないと言う。
これは、携帯メールのながら運転の危険性が、裁判、法整備へ向かった記録である。メールしながらの運転は危険だと誰もが感じながら、やってしまう、そのメカニズムを神経学者・心理学者の解説と歴史的背景を挙げると同時に、事故当事者の苦悩を描いた実録です。個人的には各人の成育歴など、詳細すぎてる点と、注意の科学の歴史的背景は、詳細すぎて、むしろだれてくる感じがありました。科学的知見の蓄積より、個人的体験者の叫びが、社会や政治を動かすのだなと感じました。