飯野亮一のレビュー一覧
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遥か昔から飲まれた酒。直会や集団での飲みに独り飲み。
その後、江戸時代に晩酌が始まり、市井に広まっていった。
晩酌誕生と江戸時代の晩酌文化を主体に、多くの史料を探り、
その情景を写した図版を添えて、詳細に解説する。
・はじめに
序章 酒は百薬の長 第一章 万葉集に詠まれた独り酒
第二章 中世の独り酒 第三章 晩酌の始まり
第四章 明かりの灯る生活 第五章 灯火のもとでの外食
第六章 江戸庶民の夜間の暮らし
第七章 江戸で花開いた晩酌文化 第八章 晩酌の習慣が始まる
第九章 多彩な晩酌の肴 第十章 長くなった夜の時間
・おわりに
参考資料・文献一覧有り。
その始まりは灯火の普及だった。 -
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酒屋は古くからあったが、居酒(酒屋で酒を飲む)という行為が盛んになってきたのは元禄時代になってから。といっても今でいう角打ちみたいなものだったらしいが、神田に現在もある豊島屋が元文元年(一七三六年)、豆腐の田楽を肴に酒を飲ませることを始めたりと、次第に居酒屋に近い業態が現れる。幕府の度重なる禁止令もすり抜けて、居酒屋は拡大していく。店内の飾りつけや接客の仕方、使用する食器、酒や肴の種類も、時代と共に移り変わっていく。「おわりに」で著者は「一日の仕事を終えて居酒屋で一息つき、仲間同士で和気あいあいに、あるいは口角泡を飛ばして議論しながら酒を酌み交わし、家路につく人は多い」(p305)と書いている
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丼物の歴史を知ることで、日頃お世話になっている食べ物を見直す機会ができた.鰻丼だが、江戸には白米が豊富にあったこと、鰻の蒲焼にご飯を添えて提供していた背景から、丼にご飯を盛ってその上に蒲焼を置き、少し蒸らすことで味が良くなることを知って、鰻丼が誕生.丼物のスタートとなる.箸を洗うことを止める形で割箸も登場した由.天丼は、蕎麦の屋台があり、天麩羅も屋台で揚げていて、隣り合うことが多く、お客は蕎麦と天麩羅を注文し、蕎麦に天麩羅を載せて食べた.天麩羅蕎麦だ.蕎麦がご飯に変わって天丼が登場.鳥肉は以前から食べられていたが、鴨や雁が上物で、鶏はランクが低かった.一方鶏卵は上物だったが、明治維新でランクが
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ネタバレ晩酌の誕生
著者:飯野亮一(食文化史研究家)
発行:2023年11月10日
ちくま学芸文庫
晩酌とは、自宅での夕食時に一杯やることをイメージするが、昔はそれがなく、どうやって今日の晩酌形式が生まれていったのか、という点について歴史をたどる書物だと思って読んだ。そうではなかった。万葉の歌に独り酒が詠まれ、鎌倉時代には執権北条氏により酒の売買や独り酒が禁止になり(もちろん守られるわけがない)、といったことがさらりと書かれていて、江戸時代が始まって100年ほどした中期になると、すでに晩酌が定着していた、というような話にいきなりなる。
ただし、晩酌とは呼ばれず、寝酒と呼ばれていた。それは明治時代