竹信三恵子のレビュー一覧
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読むべき本というと『カラマーゾフの兄弟』とか『七つの習慣』とかが挙がると思うのですが、資本主義社会で生きる我々日本人にとって本当に必要なのは本書のような本だと思います。本書を全世帯に配布しましょう(笑)。
内容としては、それこそ小学生から知っておいて損はないと思いますが、難しいので高校生・大学生からが現実的ですかね。仕事に不安を抱いていたり、過度な期待をしている学生は絶対に読むべきです。基本的な知識の羅列ですが、全てを網羅している方はそうそういないと思います。逆に簡単な知識ばかりだと思って手に取るとなかなかのボリュームにたじろぐのではないでしょうか。細かい法律の数々までフォローできていますか? -
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■「我が国の労働市場においては,正社員とパートタイム労働者との間に「職務」と「賃金」の連結を認めるための社会的基盤が成立していない」「その最大の要因は,正社員が企業に対して負っている拘束の大きさにある」(水町勇一郎の「同一義務同一賃金」論)
■水町によれば日本の正社員はパートにはない様々な
義務を負っているとされる。残業命令・配転命令に従う義務,退職後に元の会社と競合関係にある会社に就職してはならない競業避止義務,業務命令への服従義務などがそれ。ドイツやフランスでは正社員に相当するフルタイム社員は,パートと同じくそうした義務がない。日本の正社員の賃金の高さは,そんな思い義務からくる高負担の見返 -
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衝撃的なタイトルにひかれて購入しました。
いまや、日本で働く人の4割が非正規雇用(福祉現場も同様)であることは知っていたつもりですが、丁寧な取材のもとに語られる実態に改めて驚きました。グローバル経済と新自由主義に基づく経済政策のもと、一億総活躍社会の実現や「働き方改革」などを打ち出しながら、大企業優先で働き手を守る政策を国がとっていない事実も解明されていました。もっと私たちは、怒らないといけないですね。「正社員」とは何かと問われると確かにはっきりしないわけですが、その意味をとらえ直すことが必要だと思いました。
「働く」ことの本質的な意味(労働が人間の発達にとっていかに大事なことであるか) -
購入済み
正社員は目指すものなのか?
私は大学の教員です。大学生が「一部上場企業の正社員」という「勝ち組」を卒業時のゴールとし、就活を大学生活における最重要課題と位置付けるため、大学教育に大きな弊害が出ています。
しかし、そこまでして得た正社員はそれだけの価値があるものなのか、この本を読んで、就活中、あるいは、これから就活する大学生の皆さんにはよく考えてほしい。
「よらば大樹の陰」という発想で「一部上場企業の正社員」を目指すのではなく、一生ものの本当の実力を大学の学問で身につけてしっかり生きてほしいと思います。「一部上場企業の正社員」の方が安楽で安定している(様に見える)かもしれませんが、それが皆さんが定年を迎えるまで続くかは -
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元新聞記者で大学教授の著者が、労働関連に対する学生からの質問をもとにした30の疑問に答える本。ちくまプリマー新書ですから中高生や大学生らバイトをしていたりこれから社会に出ていくことになる人たちが主だって想定されている読者ですが、若い働き手や非正規就業の中高年の人たちまで、労働問題に詳しい知り合いを得たかのように知見を得られる内容になっています。
根拠のない希望的観測のようなものはまったくありません。労働法などの理想通りにはコトが運んでいない労働の現実の姿から現況をあぶりだし、それにどう対処するかの方法を提示してくれています。
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「労働法などを知ってしまうと、現実との落差に -
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このブックレットって何だろう。新書にすればよいのに。最近、氷河期世代を公務員に採用するとかやっているけど、応募者数に対して採用数少なすぎて氷河期の就活デジャヴなだけだから、この本で問題になっている会計年度任用職員制度のほうを何とかしたほうが良い。なぜ民間では合理的な理由のない雇止めが違法なのに、非常勤公務員では公然と「更新は2回目まで、3回目以降は公募」などということがまかり通っているのだろう。定数内職員が自治体の予算で減って、定数外職員で補っているとのことだが、現場を知らない上からの制度ではなく、働く人の立場に立った制度に改めるべき。