関野喜久子のレビュー一覧
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オオカミの子・小狼を飼い始めた陳陣、オオカミについての新たな発見の連続、草原には近代化と農耕文化の波・・・
人間もオオカミも、この美しくも貧しい草原に生きるのがあまりにも大変で、つねに天(タンゴル)に訴えるしかない。もし人生で神様の支えがなければ、生活はあまりにも望みがなくなってしまう。
長いオオカミの物語が終わり、最後の==知的探索・オオカミ・トーテムについての講座と対話== が大変興味深い。
草原民族と農耕民族の違いは、オオカミと羊の違いのようだ。
多くの漢字には中華の祖先である遊牧民から生まれた痕跡がある、「美」と言う漢字は「羊」と「大」が組み合わさったものだ。「大きな羊は美しい -
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朝日新聞、中国出版事情特集の最初に取り上げられたのが本書「狼図騰」(神なるオオカミ)である。「毛択東語録」以降、最も読まれている本と紹介されていた。
文化大革命時代、内モンゴルに下方された陳陣、
遊牧民の最大の敵でありながら、崇拝の対象である「オオカミ」にのめりこんでゆく。
上・下巻1000ページを超える長い長いオオカミの話が続く、
わずか十数万のモンゴル騎兵がなぜユーラシア大陸を席巻したのか?
遊牧民族のオオカミ・トーテムと中華民族の竜トーテムとどのように結びつくのか?
神社で見る竜の顔がオオカミの顔に似ているような気がしてきた・・・
草原の天(タンゴル)の道理は、遊牧民族の側 -
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冒頭、夜間に一人、馬で家路を急ぐ主人公が、うっかりオオカミの群れに遭遇してしまうシーン。手に汗にぎるアクション映画のようなドラマティックかつ緊張感に満ちた場面に、読んでいる私はすっかり魅了されてしまった。
都会育ちの主人公は、乗っている馬が必死で警告を発しているのに気づかず、自ら危険な場所へ入り込んでしまう。震えあがる主人公と対照的に、乗っている馬もオオカミもまるで歴戦の兵士のように肝が据わっている。
野生動物もすごいが、草原の民たちもみんな魅力的。老人から子供まで、誰もが驚くほど身体能力が高く、草原のことを知り尽くしていてとにかくカッコいい。
彼らがオオカミたちと繰り広げる「生存を懸けた戦 -
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生命の真の意味は運動にあるのではなく、戦いにあるのではないか。哺乳類の生命の始まりに、億万個の精子が雌雄を決する精神をもって、一個の卵子をぐるりと取り囲んで攻める。前の者が倒れても後の者がつづき、子宮に精子の死体があふれるほど戦闘を激しく繰り広げる。動くが戦わない、又ぶらぶらして突撃しない精子たちはすべて無情に淘汰され、尿とともに体外に排泄される。もっとも頑強な戦闘力を持つ勇士、一個の精子だけが、億万個の同胞兄弟の死体を踏み、勇猛果敢に奮戦し、卵子に攻め込み、それと結合して、新しい人間の生命の胚胎になる。その間、卵子はたえず液体を分泌し、軟弱無力の精子をすべて殺す。
生命は戦いによってえられ -
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生命の真の意味は運動にあるのではなく、戦いにあるのではないか。哺乳類の生命の始まりに、億万個の精子が雌雄を決する精神をもって、一個の卵子をぐるりと取り囲んで攻める。前の者が倒れても後の者がつづき、子宮に精子の死体があふれるほど戦闘を激しく繰り広げる。動くが戦わない、又ぶらぶらして突撃しない精子たちはすべて無情に淘汰され、尿とともに体外に排泄される。もっとも頑強な戦闘力を持つ勇士、一個の精子だけが、億万個の同胞兄弟の死体を踏み、勇猛果敢に奮戦し、卵子に攻め込み、それと結合して、新しい人間の生命の胚胎になる。その間、卵子はたえず液体を分泌し、軟弱無力の精子をすべて殺す。
生命は戦いによってえられ -
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上巻では草原に生きる野生動物たちの生き生きとした描写や驚くような習性をわくわくしながら読んだが、下巻に入った途端、すべての命運が暗く悲しい行く末を示唆するようになり、読み進めるのが本当に辛かった。
主人公の子オオカミへの愛は、最初は共感できるものだったのに、次第にエゴイスティックな「執着」に変わってしまう。自分の「夢」がどんなに利己的なものかを直視せず、温厚な老人が激怒しても、それでも手放そうとしなかったのには本当に驚いてしまった。
鎖につながれて体中傷だらけの子オオカミが感じていたであろう「痛み」と、老人(ビリグ爺さん)が全人生をかけて守っていたものがすべて失われていき、それを見る老人が