堤朝子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ナディーン・マティソン『ジグソー・キラー』ハーパーBOOKS。
原題は『THE JIGSAW MAN』。もしかしたら、先に扶桑社ミステリーから刊行されたゴード・ロロの『THE JIGSAW MAN』という原題の作品が『ジグソーマン』という邦題を使ったので『ジグソー・キラー』というタイトルにしたのかも知れない。
有りがちな設定の英国ミステリー。逮捕したはずの猟奇連続殺人犯と同じ手口の猟奇連続殺人事件が再び発生し、殺人犯逮捕の過程で犯人により傷付けられた主人公の刑事が復帰したばかりで再発した事件に臨むという、過去に何度か読んだことのある設定だ。
そして、服役中の殺人犯に刑事がサジェスチョンを仰ぐが、その殺人犯が脱走するという何度も使い古された設定には呆れるばかり。過去の経験からすれば、これは絶対に面白くない小説のパターンであるのだが……
一言で言うならば、パトリシア・コーンウェルが書いた『羊たちの沈黙』という感じの作品だ。終盤にこそ手に汗握るハラハラする山場があるのだが、この結末ではシリーズ第2作に続くではないか。
連続犯罪捜査班の黒人女性警部補アンジェリカ・ヘンリーが復帰したその日にテムズ川の河岸で人体の一部が相次ぎ見付かる。検死の結果、遺体は異なる男女のものであると判明。さらに遺体には2年半前に逮捕され、服役中の連続殺人犯『ジグソー・キラー』ことピーター・オリヴィエが自らの犯行を示す印が残されていた。新たな遺体が見付かる中、ヘンリーは見習い刑事のサリム・ラムーターと共に真犯人を追う。
定価1,480円
★★★ -
Posted by ブクログ
後半になってやっと理解できたのは、これは猟奇ミステリーなどではなく、姉妹と家族の物語ということです。
ある日突然娘を失って崩壊してしまった家族が、20年以上の歳月を経て、再び危機に曝され、残されたなけなしの勇気を振り絞って立ち向かう、そういうお話。
そういう視点で思い返せばよく練られていて読後感も悪くないと感じました。
ただ、文章から脳内へのビジュアル変換がうまくできないというか、テンポよくすんなり入ってくる部分とそうでない部分があり、なかなか時間がかかりました。
これは翻訳もののせいなのかそれともアメリカの生活習慣やライフスタイルを知らないせいなのかは判然としません。
あとで「あ、あれはどうなったの?」と読み返す部分もしばしばで集中して一気読みとはいきませんでしたね。
あとがきに作者のユーモアが溢れていて素敵な作家さんだなと思いました。
どうやら娘がいなくなる最後の一日を描いた「彼女が消えた日」という短編も存在するようで、そちらと会わせて読むともっといろいろ感じられるのかもしれません。
読んでみたい。 -
Posted by ブクログ
これで去年の感想も最後。
年末って本当にドタバタしますね。
ここから感想
物語自体は面白かった。
上巻で亡くなった夫の秘密を知り、驚きと戸惑いに混乱する妻とはじまり、下巻でも意外な展開もあり楽しませる。
残念なことは、翻訳がおかしいのか作家の文章自体がおかしいのかわからないけれど、とにかく読みにくい。感じ方はそれぞれなので、違和感なく読めるかたも多いのだと思うけれど、わたしには合わなかった。
物語と直接関係あるようなないようなことが、気になったことのひとつとしてある。
それは、日本とアメリカの違い。
物語中、裕福な家庭の妻である主人公が、傷害事件で保護観察中という設定になっているのだが、裕福な家庭の奥さんと犯罪者ということがすんなり結びつかない。
日本でも勿論裕福だろうが貧しかろうが犯罪を犯すひとは犯すのだけれど、日本なら物語の主人公、それも気の毒な妻の位置に前科者という設定は余り想像できない。
主人公が傷害事件を起こすにはそれなりに理由もあり、物語にも関わってくると言えるのだけれど、多分日本なら警察に捕まるレベルの暴力には至らないのではと思う。
また、逮捕歴があるひとが少なくないとか麻薬が身近に溢れているとか、保護観察中の人物の足首にGPS装置を取り付けるといったことなどに、アメリカってそうなんだと驚く。
婦女や幼女暴行犯といった再犯性の高い加害者にGPSは理解できるし、日本でも導入してもいいのではとも思うけれど、初犯である傷害事件の加害者にもGPSってやり過ぎじゃないかと思う。そんなに犯罪者全ての行動を把握する労力のほうが勿体無いというか。
アメリカには犯罪者に人権などないのかもしれない。
日本のように犯罪者の人権を護ることに躍起になって、被害者ほったらかしというのも如何なものかと思うけれど。
女性に暴力を加えることによって性的興奮を得る犯人が出てくるため、痛々しい描写があり、そういったものを不快とされるかたは読まないほうが良いと思う。
逆に、そういった描写が好物なかたには物足りないだろうと思う。
この作家さんは、今アメリカでは注目の女流作家さんらしいので、他の作品にも興味はあるが、また読みにくかったらどうしようという不安もある。
良くも悪くもドキドキする。