日本国憲法のメッセージをわかりやすく説いてくれるいい入門書だと思う。
諸外国から日本は立憲主義でなく立憲君主制だと思われている。日本国憲法は国民の権利ではなく、天皇を守る為に立憲したものになっている。日本は天皇制をどうするという議論をしないままの「慣性の天皇制」になっている。日本は国体に固執したし
...続きを読む、他の国は反対はしたもののアメリカは天皇制を維持する方が、日本を制御しやすいと見抜きこのような形になった。
ただ、日本国憲法がGHQからの押し付け憲法かといえばそうとも言えない。日本側の意見も反映されている。
奥平氏は立憲主義とは国家の問題、民主主義というのは社会の問題。ジョン・ロールズは「民主主義的な立憲主義」を気に入って使っている。
「すべての人間を尊重することこそが民主主義であっての根幹であって、全員が政治決定に参加することが民主主義ではない。」p.87ということはまず第一に国民一人一人の基本的人権の尊重があって、次に憲法は国家を縛るものという順番になる。
少なくとも今の日本国憲法は平和な国をつくるというメッセージがある。自民党の憲法改正案はどのような国にしたいというメッセージが無く、改憲することが目的となってしまっている。また集団的自衛権についても、独自の平和憲法をもつ日本が常任理事国すること貢献していこうという考え方ではなく。軍備を強くして常任理事国に認めてもらおうという他国に合わせた思考になってしまっている。
憲法は国がどうありたいかを国の内外にそれを示すものだ。憲法くらいの文章でなら日本の理念はしっかりと語れる。憲法はそこ向かっていく為の大きな目標なのだから、理想でいい。ただ「美しい国」というようなあまりにも詩的な言葉で語ることは意味が無い。集団的自衛権はどう結びつくのかわからない。