奥平康弘のレビュー一覧

  • 未完の憲法

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    202112/

    私は、日本国憲法には三つの顔--言い換えれば三つの性質があると考えています。/
    第一に、「法技術的文書としての性質」です。公法(個人と国家の関係を規律する法律)の一番の基礎となる法ではあるけれど、憲法もまた法技術的文書の一つであり、国内法典の一つであるということです。/
    第二に、憲法には諸外国に向けた「外交宣言」としての性質もあります。「サンフランシスコ講和条約」に連なる戦後の国際秩序の中で、「日本もそれに沿った行動をしいます」という宣言としての性質ですね。憲法九条や前文についていえば、法的な意味よりもそちらのほうがむしろ重要なのかもしれません。/
    第三に、日本神話に象徴され

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    2021年12月27日
  • 未完の憲法

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    集団的自衛権と憲法解釈、改憲の議論が持ち上がる中で、もっと勉強しなければと思い、まず手っ取り早く、私と同じ年で若手の憲法学者として活躍中の木村草太さんの本を読んだ。奥平康弘さんとの対談本で、第一章は立憲主義について、第二章は改憲論議について、第三章は現代の憲法をめぐる状況と課題、第四章は憲法の可能性と日本の進路についてまとめられている。

    いくつか個人的に面白いと感じた箇所について。
    なぜ日本人は天皇制に強く惹き付けられるのか?という問いに答えている部分。
    日本では、多くの人が今ある事象や体制に対して消極的肯定、消極的賛同とでも言える態度を示していて、それを変えようという人たちは、説得力のある

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    2014年11月25日
  • 未完の憲法

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    憲法改正は並大抵のことではないし、これを支配層が簡単に考えられるような時代ではもはやない。それよりも、日本国民が日本国を憲法貫く普遍的な原理を突きつめ、掘り下げ、そのことによって世界の平和に貢献していくべき時期ではないか。

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    2014年05月02日
  • 未完の憲法

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    これは大変に示唆に富む内容にあふれている。ふだん本には付箋はたくさんつけないのだが、この本は20本以上、立った。ほかに傍線でたくさん汚した。それだけ記憶にとどめたい言葉にあふれていたわけだ。
    「近視眼的な改憲論議を越えて」というオビ文句に、内容がよくあらわされている。どのくらい「越えて」いるかといえば、2レベル以上は上をいっている(これには、それだけ“近視眼的”な論議の、レベルが低すぎるということも寄与している)。
    改憲を含め、憲法や民主主義、日本のあり方、いまの日本の社会、等々を考えるうえで、必読の書といえる。

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    2014年05月01日
  • 未完の憲法

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    「憲法」の本を学生時代ぶりに手にとって読みました。いちおう、法学部出身だったので勉強したことはありますが、社会に出てからというものニュースや各種メディア媒体で「憲法」「合憲・違憲」という言葉を目にし、耳にしても、どことなく意識の外だったように思います。
    それが意識の中に入ってきたのは本書の中でも触れられている「9条」「96条」の問題で改憲論争が出てきた頃でしょうか。それでも学生時代のように勉強して、この問題について考察してみようとまでにはならなかった。今では悔いの残る出来事ではあります。
    あとがきで奥平さんが言われているように「憲法の入門書」という位置づけでとても分かりやすく、読みやすく、それ

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    2023年11月08日
  • 未完の憲法

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    刺激的でいろいろなことを考えたくなる本だった。面白かったねぇ。そもそも憲法にそんな関心はなかったんだけどさ。本書を読むと、憲法について考えることが、社会生活を営むうえでの大きな手掛かりになるような気さえしてくる。いや、実際にそうなのかもしれない。そこまで憲法の存在意義を知らせてくれる一方で、国や個人の衝突は、文化の力で解決しましょう、というあたり。基準、補助線としての法はあるものの、実際に解決するのは自分自身ですよ、と、これは大人としての基本であるようにも思える。

    この本は、繰り返し読みたいな。

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    2018年07月15日
  • 未完の憲法

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    「「憲法は主権者たる国民が国家権力を管理するための法である」というのが、立憲主義の大原則です。ところが、自民党の憲法改正草案をくわしく読むと、その原則に逆行する記述が随所に目につきます。つまり、本来は主権者としての国民に管理される側の国家権力が、逆に憲法を「国民を管理するための法律」にしようとする姿勢が透けて見えるのです。」これは、恐ろしいことです。気を付けなければいけません。

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    2014年07月27日
  • 未完の憲法

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    日本国憲法のメッセージをわかりやすく説いてくれるいい入門書だと思う。

    諸外国から日本は立憲主義でなく立憲君主制だと思われている。日本国憲法は国民の権利ではなく、天皇を守る為に立憲したものになっている。日本は天皇制をどうするという議論をしないままの「慣性の天皇制」になっている。日本は国体に固執したし、他の国は反対はしたもののアメリカは天皇制を維持する方が、日本を制御しやすいと見抜きこのような形になった。
    ただ、日本国憲法がGHQからの押し付け憲法かといえばそうとも言えない。日本側の意見も反映されている。

    奥平氏は立憲主義とは国家の問題、民主主義というのは社会の問題。ジョン・ロールズは「民主主

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    2014年05月04日