伊勢英子のレビュー一覧
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(あっ…)
と、心をつかまれた瞬間、
人は誰もが画家になっているんだと思う。
ただ、
そのときめきを白いキャンバスの上に描くだけの技量があるか、どうか。
それがある人は『絵描き』と呼ばれ、
形にも、言葉にもならない天使達を捉える使命を担っている。
本書の中の絵描きを、
私は良く知っている。
パリを旅するその絵描きの心を捉えた天使達とは、
以前にも彼(?)の画集の中で見かけた様な気がするからだ。
古い窓越しに見たその風景。
美しい本が並べられたその奥で、
一心に本をかがっている白髪の老人。
アカシアの樹の絵、
三本足の黒い犬。
何を美しい、と感じるのかは、
人それぞれであるが、
私は -
Posted by ブクログ
大好きな伊勢さんのエッセイ風物語。登場する主人公は男性の想定になっていますが、伊勢さんそのものでしょう。絵本になっていないスケッチも多数掲載されています。手紙の相手Yとは誰か?
伊勢さんはフランスの街並みを舞台に、多くの作品を描かれています。「ルリユールおじさん」「大きな木のような人」「あの路」これら作品の背景が旅人の物語として、絵本のシーンとともに描かれている。
伊勢さんを魅了したアカシアの木はどんな姿なのだろう。街角に佇む3本足は実際に伊勢さんが出会った存在なのだ。「にいさん」で描かれるゴッホの暮らした世界もそこかしこに見えてきます。
Relieurおじさんから言われた「いつか君もこ -
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パリの路地裏にある小さな工房で何十年もこつこつと手作業で本を作って来た老人。その製本職人を描いた絵本『ルリユールおじさん』で今年の講談社出版文化賞を受賞した画家がパリでの生活とルリユールおじさんのモデルになった老人との心の交流を語る。「ぼく」という日本人の若者の手紙の形をとっている。
絵を描く「ぼく」はパリの家々の窓に惹(ひ)かれている。ある日、小さな路地を歩いてたらひとつの窓が目にとまった。窓から中を見ると美しい本がたくさん並べられている。それが老人との出会いだった。
「ぼく」は家具付きアパルトマンに滞在して絵を描く。パリの町を歩く。はなやかな大通りよりも路地や工房など小さなものに惹 -
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「ルリユールおじさん」の作者の伊勢英子さんのエッセイのようですが、主語は「ぼく」であり、Yへの「パリからの手紙」の形式になっています。
直接的な語り口調ではないからか、実体験が元になっているとはいえフィクション的な感覚でこの本を愉しむことができます。(ノンフィクションに近いフィクションということです。ややこしくてすみません。笑)
画家ドラクロアの「ヤコブと天使の闘い」、その作品と同じテーマで描いたゴーガンの作品に対し「観察がない」と怒ったゴッホ。ショパンや画材屋のおやじのタンギーじいさん、画家の視点で切り取られたパリの空気が便りにのって届いてくるようです。
巻末の「ルリユールおじさん」のエ -
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ネタバレパリを旅して、モチーフは向こうからやってくるように、窓(正確には、窓から見える
製本屋のおじさんの佇まい)に心奪われる。
毎日、おじさんのもとに通い、
おじさんの人柄や、仕事ぶりから、
創造する1冊1冊に、冒険やひらめき、
出会いがある事を学ぶ。
出会いと言えば、サン、シュルピス教会にある
ドラクロアの[ヤコブと天使の闘い]壁画
ドラクロアは、ゴッホが尊敬した画家で、
二人とも未知の土地へ赴く度に、
新しい色、タッチを発見。亡命したショパンも。
彼らに共通するのは、旅の連続だった事。
僕(主人公)は、絵を描き続ける理由を
自分の欠けたものを埋める作業だと思っていたが、パリの旅での出会いを通