寒川旭のレビュー一覧
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文献史学や考古学の研究から、過去の大地震の周期的な発生状況や発生時の被害の大きさなどがかなり詳細に解明されていることがよくわかった。同時に、もう遠くない時期に大津波を伴った南海・東南海・東海の大地震が発生するであろうことが素人目にも認識され、恐怖を覚えた。
日本は地震列島の上に歴史を刻んできた国である。私達の先祖は地震の被害に恐怖し、また現実に大きな被害を受け、家を壊されあるいは家族を亡くしながらも、たくましく生きてきた。そのことは本来は人間の幸福を目指す科学が発達した現代においても何も変わるものではなく、かえって文明が発達し道路や建造物などの構造が高層化・複雑化したからこそより被害も大きな -
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[ 内容 ]
天下統一の前後、豊臣秀吉は大地震に襲われた。
大坂に逃げ帰った天正地震、城が倒壊した伏見地震―。
しかしこれは遠い昔のことではない。
大地震が続いた秀吉の時代と同じく、私たちも、活断層が活発な「内陸地震の時代」に生きているのだ。
「地震考古学」で読み解く、大地に刻まれた「地震」と「人間」の歴史。
[ 目次 ]
第1章 天正地震と武将たち
第2章 大地が語る天正地震
第3章 地震のはざまの天下統一
第4章 伏見城の鯰、暴れる
第5章 伏見地震を引き起こした活断層
第6章 液状化現象の痕跡を読む
第7章 遺跡に残る地割れと地滑りの跡
第8章 地震後の秀吉と豊臣家
第9章 連動する大 -
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日本のどこにいようが、日本に住んでいる以上、地震にあわずに済むということはあり得ない…ということは、東日本大震災以降特に肝に銘じていたつもりだが、この本を読んでだめを押されたように思った。
自分はずっと東日本に住んでいるので、関東大震災のことや、これから起こるとされる東海地震のことについては子供のころから聞かされたり考えたりしているが、この本を読んで自分の認識不足を痛感したことと言えば、琵琶湖の周りに多くの断層が存在し地震も頻発していたということ、それから天正地震について、とても大きな地震でありながら、意外と詳細がわかっていないこと。また、近現代の地震は、地元の人は別として、一般にはあまり知ら -
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ネタバレ前から気になっていた一冊。3.11を期に最後の章が追加されたので購入してみた。恐怖を煽るような文面が多い今日、地震研究者の史実だけを淡々と語る姿勢に心魅かれた。引用される文献の記述に被災者の悲鳴を感じ、今まで読んだどんな地震の本よりも胸に刺さった。
京都は地震が少ないからお寺がたくさん残ってるんだよ、という話を聞いたことがあるが、この本を読むとどうやらそれは嘘のようだ。関東大震災の際、東京に火の嵐が吹き荒れたというが、それが国技館と江戸東京博物館の敷地にあった広場だったと分かり、何度も歩いていた道にそっと祈りを込める。
この本で「津波てんでんこ」という言葉を知った数日後、その言葉を広めた張 -
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地震のメカニズムはかなり解明されてきたが、今のところその発生を予知するまでには至っていない。昔から行われてきたのが、過去の地震を調べて将来起こりうる地震を予測するという統計的手法である。著者はそのような調査を繰り返すうち、考古学的手法を取り入れた「地震考古学」なる分野を開拓したという。歴史的出来事と地震の関係をみるとそれぞれ面白いことがある。
例えば、秀吉に成敗された佐々成政の後釜に、大河ドラマでは妻の千代が南部駒を買う金をヘソクリから出してもらった山内一豊が長浜城主となる。しかしわずか三カ月後、天正地震のため愛娘を亡くしている。
また、地震の原因はナマズではないかという話は、秀吉か