小山恭平のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本作は今年の 3/20 に発売された VR ミステリーアドベンチャー、「東京クロノス」に登場する神谷才というキャラクターのスピンオフ作品です。
スピンオフではありますが、本作から東京クロノスのストーリーに触れても問題の無い構造となっており、本作単体でエピソードとしては完結しているのでゲーム未プレイでも大丈夫です。
本レビューは先にゲーム本編を体験してから本作を読んでの内容になります。
本作のストーリーはあらすじ通り非常にダークで刺激的な内容ですが、とても丁寧な説明で状況が分かりやすく、とても読みやすかったです。
ミステリーサスペンスとしてゲーム本編を超える内容だと私は思いました。
物語の途中で様々な伏線が張られますが、綺麗に回収されるので読んでいてとても気持ちが良いですし、多くの驚きが詰め込まれていてストーリーに引き込まれます。
本作が好きになった方には是非、ゲーム本編も体験して頂きたいです。テイストは異なりますがお話の仕掛けが面白く、そちらも楽しめると思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレもしかしたら本シリーズは主人を王者にするために奔走する暗躍モノと捉えるよりも、変則的なヒロイン攻略ストーリーとして見た方が良いのかもしれない
様々な少女をラライの為に籠絡し利用するが、将来まで面倒見て幸福にさせるつもりでカイトが居るならば、それはヒロイン攻略以外の何物でも無い
やはりラライというキャラは恐ろしい存在だね。第一巻の感想でも言及したけど、ラライは努力はしないし才能もない。周囲が彼女のために奔走していても何もしない姿はこちらを不快な気分にさせる。しかし、それは人の尺度に当てはめて捉えた場合で有り、彼女を傲慢な神として見たならばその行いは妥当なものと感じられ、神である彼女が人を誑かし運命を歪ませてしまうのは当たり前の行いだと思えてしまうのだから面白い。
ラライは好きになれないキャラでは有るけれど、彼女がどのような高みまで昇り詰めることが出来るのか気になってしまう
第一巻では3人のヒロインを攻略したカイトだけど、今回は1人だけ。第一巻で登場したファナ達はどこかしら脆い部分があった。だからカイトもそこを狙えばあっさり籠絡することが出来た。
しかし、今回ターゲットとなるイヴは脆い部分はあってもそれは他人を想うために生じた脆さであるために、イヴだけを攻めても籠絡することは出来ない。
だからイヴを籠絡するために彼女が隠す部分を少しずつ明らかにしていく今回の構成は面白かった
読み進める中でイヴに対する印象は何度も変わっていく。第一印象は物語や本に対して狂った人物、執筆狂と表現しても良い。それが推理小説をカイトに献上される中では普通の女の子のような一面も見せ、カイトが接近すれば少女漫画のヒロインのような反応を見せる。しかし、イヴの奥底に眠るのは妹への贖罪の気持ち。だから単純な脆さだけでなく、姉としての強さも持ち合わせる
たった一冊の中でこれ程までに様々な顔を見せてくれるヒロインってなかなか居ない
又、イヴ攻略の中でリリィについての追加攻略もあった。第一巻でのリリィ籠絡はあっさりし過ぎていて、ファナやヤムニャムに比べて少しキャラが弱いように感じられた。そんな反動が有ったからこそ、本当の籠絡はこの時の為に取っておいたのかと感嘆させられた。
憧れのイヴに自分を認めさせるために幾つもの作品を書き上げ、そしてラライ派における目標まで示したリリィ。第二巻における彼女の成長は目を見張るものがあった。……その分、心身がボロボロになったようだけど。いや、半分はカイトに因るものだから逆に彼女にとってはご褒美なのか?
それにしてもカイトは絵に描いたような万能キャラだね。イヴを籠絡する中で幾つものハードルが有った筈だけど、彼の持ち前のスキルと知識によってどのハードルだって軽々と越えてしまう。
小説の作り方を知っていたり、声量の操り方を完璧にマスターしていたりと「ハワイで親父に習った」よろしく「親父の側近に仕込まれた」と主張されればどのような超常スキルが示されても許せてしまいそうになる
そして今後不安材料となって来そうなのはカイトが思わずラライと約束してしまったラライ派メンバーの行く末か。これがいずれ思わぬ落とし穴とならなければ良いのだけど -
Posted by ブクログ
王になろうと突き進む主人公を描いた物語、王になる英傑を支える従者を描いた物語は幾つも読んできたつもりだが、そのどれもが共通していた点は王になろうとする人物は必ず王の器を有していた点だ。特別な運命の下に生まれていたり、誰もを惹きつける素養が有る等々、その人物が将来王者になったとしても違和感が無い人間性を持っていた。
けれど、本作はそういったタイプに含まれないかなり異色の物語
本作の特徴として主人公のカイトが支えることになるラライには王の器は無いし、特別な才能もない。人望もないし何かしら努力しているわけでもない。親に甘やかされ、ただひたすらに自分は大器晩成型であると信じ切っているだけの空っぽの人間
普通ならこんな人間が主人公によって持ち上げられる展開なんて無いし、何者かになる展開すら無い。けれど、カイトが有能な人間であり且つ病的なまでに王を支える行為に生き甲斐を見出してしまうタイプであったこと、そしてラライが悪魔よりも恐ろしい誘い文句を使えた為に二人の境遇は変わっていく。
ラライは本当に空っぽだから、自動的に王位につける道なんて無い。従者のカイトが何か何までしないとまともな評価を受けることすら有り得ない最低の人物。
相性は最悪の筈の二人がこんな形でぴったり結びついてしまうなんて予想外にも程がある
本作のもう一つの特徴はカイトはラライを勝たせるために何人も罠にかけるのだが、その結果として誰かを不幸にはしない点。
前述したようにカイトは無能でやる気のないラライを王位につけるためにはあらゆる裏方を担当しなければならない。普通なら陥れた相手のことなんて気に掛ける必要なんて無いし、標的があくどい行為をしていると嘘の告発をして退場させてしまう手段だって有る。けれど、カイトは転生前の人生で誰かを不幸にすればその報いは返ってくると身を持って知り、新しい人生では誰かを不幸にすることは辞めようと決意する。
だから本作で罠にかけられた3人の少女も、その結果不幸になどなっていないしむしろカイトに出逢う以前よりも諸問題が解決されたことで幸福そうに見える。これはかなり特徴的な点であるように思える。
脳筋剣士で非常にストイックな生活を送っていた為に孤独だったファナが八百長負けを目的として籠絡された結果、堕落した人間になってしまうのではなくカイトとの語らいを楽しみ、我慢していたスイーツを美味しそうに食べる幸福な人間に変わってしまう。カイトとラライだけが得することだけを目的とした罠なら有り得ない変化は特筆すべき点なのではないかと思える
これらの要素だけでも充分楽しめるのに、ラストに驚愕の真実が明かされる。ああ、あのような背景があるなら納得だわ。確かにラライは無能でやる気がなくて空っぽな人間だけど、必ず王になって更にもっと上を目指さなければならない存在だと納得できる
カイトとラライ、二人のダーティープレイがどこまで辿り着けるのか今後の展開も楽しみで仕方ない -
Posted by ブクログ
ネタバレ――
はてさて。どう読んだものか。ゲームやったほうがいいのかなぁ。
アンソロジーというか、ひとつのゲームをモチーフに何人かが短編を寄せているんだけれど、作り上げたひとたちということもあって世界観に大きな齟齬はなくて。
ただキャラクタ解釈、みたいのにはどうしようもなく差が出るから、それは面白いところでもあるのだけれど、やっぱり本編未プレイからするとちょっとズレが気になるかな、というのが正直なところ。
巨大ロボが二人乗りの理由付けは気に入りました! まぁ高度になればなるほど複座というのはやっぱり真っ当な流れなのかなぁ。
とはいえ、真っ更な都市の上にARを被せる、という発想には少し疑問。どちらかというと混沌としたものや猥雑なものの上を、美麗なARが覆っている、という例えばpsycho-passのスラムみたいなイメージのほうが、個人的には腑に落ちる。果たして現在の都市が全壊したそのあとに、また同じものを形だけでも取り戻そうとするだろうか。もっと、よりよいものを作れると思ってる。そのほうが良くなる、とまではいかないけれど。
あるいは拡張現実なら、常により良くアップデートしていけるのかしら。郷愁? 里心? みたいのはどうしょうもないと思うけど。うーむ。
やっぱさ、シナリオライターと作家の間にはちょっと差があるのかな。好みの問題なんだと思うけど。
言葉遣いの好き嫌い。
ワーディングに少し引っ掛かりを感じるけれど、Blue Bird Lostが展開的にはいちばん好きかな。けれどジュリー像は高島さんのが好き。間で本格的に歪んだと思っておいた。総合☆2.6