平岡昭利のレビュー一覧
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離島を巡っていると、どうしてこんなところに人が住み着いたのだろうかと思うような島がある。断崖絶壁に囲まれ舟を着けることもできない島、台風や高潮に襲われ定住できそうもない島、伝染病や寄生虫が蔓延している島、、様々なところになぜ我々の先祖たちはリスクを冒して進出したのだろうか。
江戸時代から明治時代に替わる頃、日本という国の境界が形成されていった。その時代に帆船で太平洋を駆け巡った人々がいた。玉置半右衛門、八丈島で大工をしていた人が江戸幕府の小笠原諸島開拓に参加し、その後に南方諸島の開発に人生を捧げるようになった。
別にチャレンジ精神や使命感があったわけではない。そこにお宝が眠っていたからだ。 -
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日本近代史における南洋進出の中に潜むのは、
アホウドリで一攫千金を目論む者たち。
将来の国境問題にも絡む、歴史の一面を探る。
プロローグ 絶海の無人島に、なぜ、日本人は進出したのか
第1章 アホウドリを追って-「海の時代」の到来
第2章 鳥類輸出大国「帝国」日本と無人島獲得競争
第3章 糞を求めるアメリカ人・鳥を求める日本人
第4章 アホウドリからリン鉱へ
-肥料・マッチ・兵器の原料を求めて
エピローグ アホウドリから始まった
カラー口絵2ページ。参考文献、アホウドリ関連年表有り。
明治から大正への激動の時代。
鎖国から放たれた冒険者が持て囃された時代・・・憧れの南洋。
国民の関 -
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非常に興味深かった。今まで浅くしってはいたものの、目を背けていた”アホウドリ撲殺事業”と南洋進出について、色々と資料をまとめてくれていて、簡潔に学ぶことができた。ただ、naive(日本語のナイーブとは意味が違う)に、忌避するのではなく、時代背景や色々な要因を総合的客観的に読むというのは必要であると思う。複雑な心境ではあるが、冷静に受け止めねばならぬよ。
アホウドリ、というと小学生の頃に吉村昭の『漂流』を読んで、ものすごく衝撃を受けたのがいまだに鮮やかな記憶があるんだが、『漂流』のあとの時代とはいえ、そんなに年数の離れていない時期ということを考えると、本当に激動。 -
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日本が近代国家を目指していた明治時代、日本人は太平洋や東シナ海の無人島へ進出していた。その多くは、国家主導の領土拡大ではなく、民間人がアホウドリの捕獲を目的とするものだった。
無人島に生息するアホウドリは人間を知らないため、人を見ても逃げることがないし、飛び立つには長い助走を要する。そのため、人間は地表で歩いているアホウドリを棍棒で撲殺することができ、その羽毛は高値で取引された。当時の日本人は南洋の小島でアホウドリを乱獲し、その島でアホウドリが絶滅するや、次の島を探すことを繰り返した。その露骨な活動はやがて、アメリカや清国との領土問題にまで発展する。
ルール、ルールで縛られている現在社会に -
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夢と富を南洋の島々に追い、小舟に身を預け大洋を押し渡り、無人島を占拠し独立国の紛い物をでっち上げて(無許可♪)帝国政府を引きずり回して平然と、外交問題に発展し後始末を祖国に押しつけ右往左往させても本人は1ミリも動じない、そんな戦前日本人の強めなバイタリティに圧倒される本書です。
この手の厨ニ病な活動は欧米肉食系イケイケ民族の独壇場なはずが、我らが御先祖様もどうやら超イケイケで、思えば大日本帝国は正真正銘の列強だった訳で、むしろ誇大妄想スレスレの壮図を企てる特別に危険な連中こそが我々のお仲間な訳だな。
温厚な令和日本と地続きな時代とは信じ難い、ヤバめキワモノ系の行動原理はもはや異星人的なほど。