アチェベのレビュー一覧

  • 崩れゆく絆
    「アフリカ文学の父」と言われるチヌア・アチェベの作。
    アチェベはナイジェリア・イボ族出身で、ロンドン大学のカレッジにあたるイバダン大学(ナイジェリア最古の大学)で学んでいる。
    アチェベはコンラッドの『闇の奥』を批判したことで知られる。アフリカの人間性に目を向けず「ヨーロッパすなわち文明のアンチテーゼ...続きを読む
  • 崩れゆく絆
    19世紀のアフリカを舞台とした、欧州の植民地支配によって分断されていく家族と共同体の物語。あらすじはシンプルだけど、実際にはとても重層的な意図の込められた、にもかかわらず単純に物語としても面白く読めてしまう本だった。語り口の変化は近代化のメタファーとして機能しているし、支配の過程も単純な二元論では収...続きを読む
  • 崩れゆく絆
    アフリカ伝統社会が西欧文明の流入により壊れてゆく様子を描いた小説。前半は伝統社会の描写で入り込むまで時間がかかるが、それでも読み進むねうちはある。映画「セデック・バレ」や、明治日本の近代化、さらには高度経済成長以後の日本の変化にも重ね合わせて読んでみたい。
  • 崩れゆく絆
    小説の前半に描かれる、呪術と迷信が跋扈する19世紀のアフリカ社会を描く筆致、その異様な迫力に圧倒される。年代的にはアチェベはそれら時代から少し隔たっており、本書を読むことは、作者が自らの拠り所としてのアフリカ社会の伝統を手繰り寄せる行為に立ち会う作業とも云えそう。
    旧社会を代表するオコンクォの破滅を...続きを読む
  • 崩れゆく絆
    アフリカの作家は初。昔ながらの部族のしきたりを守って暮らしている村の英雄が、ふとした事故で7年間の追放の憂き目にあう。戻ってきた頃にはイギリスの宣教師が入り込み、村の様子は一変している。ストーリーとしては、二つの面があると感じた。一つは植民地化する前、その過程の両方で、住民、特に部族内で虐げられてい...続きを読む
  • 崩れゆく絆
    「アフリカ文学」なるジャンルは初めて読んだ。使用言語は英語で、「英米文学」の欄に並んでた。
    西洋文明への批判でありながら、宗主国の言語で書かないと伝えることができない、というのが「弱者」の立場を象徴しているような。
    「宗教は脳の副作用である」(ジャレド ダイアモンドだったか)、「神は妄想である」(リ...続きを読む
  • 崩れゆく絆
    ナイジェリア出身のイボ人作家 Chinua Achebe (1930-2013)による、アフリカ文学の金字塔と言われる作品です。

    前半は、19世紀後半の植民地化前のイボ族の共同体が、複雑かつ精緻な統治、信仰、慣習システムにより運営されている様子が、主人公であるオコンクウオを中心に描かれています。後...続きを読む
  • 崩れゆく絆
    植民地をめぐる黒人と白人の闘い!はそれほどメインではなく、一族の血気溢れる父親を中心に物語は進んでいく。部族の中では自分中心に家族を捉える考え方が基本であり、息子は部族の生き方に疑問を持ち、いち早く異教の宗教を受け入れ家族から離れることを決意。いずれ母や兄弟にもわかってほしい。そこに父親の存在はない...続きを読む