河合俊雄のレビュー一覧

  • 村上春樹で出会うこころ

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    『村上春樹で出会うこころ』河合俊雄(朝日新聞出版)を読む。デタッチメントからコミットメントへという村上作品の変化について「出会い」の視点から読み解いている。コミットメントでは「第三のもの」の共有が重要になるという指摘が興味深かった。心だけでなく社会でも見られる現象だと思うのだ。

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    2025年10月28日
  • 別冊NHK100分de名著 集中講義 河合隼雄 こころの深層を探る

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    最近、臨床心理界隈で話題を作り続けている東畑氏の本を読んでいく中で、河合隼雄氏を避けて通ることができず、まずは入門書に触れてみた。
    河合先生の本は読むだけで癒されるなどとも言われているが、それは彼の真っ直ぐな正しさにあるように感じた。ただ優しかったり、憐れんだりしているのではなく、中道を意識しながら、クライエントと同じ場所にまで行って心理療法を行う。これは全ての人にできることではないかもしれない。
    それでも河合氏の遺したもの、ここに出てきた、明恵上人や元暁などの偉人の思想などは今後、心理士としても1人の人間としても大きな糧となるだろう。

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    2024年04月20日
  • ギーゲリッヒ 夢セミナー

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    これは、凄い。
    夢とはこのように扱うべきものだったんだ。そう、思わされる。
    電車と塔が自己中心性のモチーフの一つに捉えられている。だから、僕は高いビルのデパートで何かを探していたり、電車を乗り継いでどこかに向かっていたり、いつもしているのかも知れない。そうだったのか。。


    ・夢を内面の表現やパーソナリティの現れとして捉えることの問題点を指摘しておくと、それは夢をすでにわかっているものから捉えることになってしまいがちなことである。つまり夢見手がどのような問題を持っていて、どのようなパーソナリティであるということから、夢を説明し、そこに還元することで終わってしまいがちなのである。あるいは、家族関

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    2014年01月31日
  • 〈こころ〉とアーティフィシャル・マインド

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    AI:アーティフィシャル・インテリジェンスではなくてアーティフィシャル・マインド。
    こころがなんだか分からないので難しい問題。

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    2025年07月29日
  • 村上春樹で出会うこころ

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    読みやすい。心理療法と村上春樹の主に短編に共通する構造について語っている。

    死とシンクロニシティ。
    出会いの際の共有物【主に芸術】。
    垂直と水平。
    換喩。

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    2025年04月22日
  • 別冊NHK100分de名著 集中講義 河合隼雄 こころの深層を探る

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    放送用のテキストとどう違うかというと「明恵 夢を生きる」という章27ページが増えたことです。
    逆に、この別冊で消えたぺージもあります「ふたつよいことさてないものさ」の1ページです、それに放送用はカラー写真だったのが白黒になりました。
    世俗的な(つまり学問的ではない)感想になりますが、この本の一番の特徴は、河合隼雄の息子さんが書いた本であることです。この本の中に親子間のエピソードの話はないですが、一子相伝的な繋がりを感じながら読むと感慨深いです。

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    2024年03月01日
  • 夢とこころの古層

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    わかりやすい導入で、心理療法のなかで夢をどのように扱うか、また心理療法を進めていくうちに現れる夢をどう考えるかなどについて、日本古来の昔話や神話を交えて解説されている本。
    現実にすぐに沿わせることなく、まずは象徴的に捉える、またクライアントととの夢の共有の仕方、無理に夢を解釈しないなど、夢の取り扱いの面白さと難しさが学べた。
    他の夢を心理療法的に取り扱った書籍と併せて、そのうち再読したい。

    以下備忘録がてら目次をば。

    心理療法と夢
    現代の夢理論ー夢と象徴性
    現代の夢とこころの古層
    夢の歴史性
    こころの古層とイニシエーション
    夢と直接性・共時性
    直接性の両面
    直接性と他者・現実性
    直接性と身

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    2023年11月03日
  • 〈物語と日本人の心〉コレクション Ⅲ 神話と日本人の心

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    ネタバレ

    ・科学の知は「私は何か、どこから来てどこへ行くのか」という根源的な問いに対して答えてくれるものではない。 
    ・人間は「物語」なしには生きていけず、神話が信じられているところでは人々は安心して死を迎えることができる。
    この部分から非常に納得。あまりにも様々な事を知りすぎてしまって、神話や伝承を信じられるわけではなく、けれどもぼんやりと不安で孤独なのが現代人の苦悩なのだろうな、と思う。

    ・各個人が自分の生活に関わりのある神話的な様相をみつけ、生きる中で自分の物語を作ること。
    ナラティブセラピーの物語る事の重要性にもつながるように感じた。

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    2023年02月25日
  • 〈物語と日本人の心〉コレクション Ⅲ 神話と日本人の心

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    ゲームやマンガでよく使われる日本神話の神々。彼らに興味を持ち手に取った一冊。日本人たるものストーリーを知ることは大事だと考え、またそれがどのように日本人の心を形成してきたか知りたかった。他国の神話とも対比させ、比較しながらも多くの類似点があったりと興味深かった。

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    2019年07月30日
  • ギーゲリッヒ 夢セミナー

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    ギーゲリッヒ

    P09
     心理療法の方法とは、主体の内面を探り、自己関係によって問題や症状を解決していこうとする。その際に、実体的なものとしては存在しないはずの主体は、何かに映されることで治療的に扱えるようになる。その内面をなにに映し出すかによって、技法や学派が異なってくる。

    P16
     イメージの内容ではなくて、形式の崩れなどに夢セミナーでも注目することがある。これは特に、精神病圏のクライエントについて有効であると思われる。これはイメージの内に入っていき、その意味を明らかにするだけでは十分でない場合の一つの例であろう。逆にユングの「赤の書」のようにん、内容的には奇妙でも、構造的に崩れていない

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    2018年12月22日
  • 〈物語と日本人の心〉コレクション Ⅲ 神話と日本人の心

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    ネタバレ

    「中空構造」「揺り戻し」など、なるほどなぁと頷かされる部分がかなりある。すべて納得! とはいかないけれど、他文化に対するときは(ことに、中核のまったく異なるものをみるときは)命がけの姿勢で学ばねばならないという部分は、個人同士の理解においても適応されるように思うし、他の国の神話との対比も面白い。
    また、『民話が、普遍的な心のありようを示すものであるのに対し、神話が、土地と国、つまり民族のありようを決定するもの(うろ覚えですが)』という、著者のほかの本のの文を、いま連想的に思い出した。
    『命がけで学ぶ』、『民話と神話』。ここに、私がまだ掴みきれてはいないなにかのとっかかりがあるような気がしている

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    2018年09月15日
  • 〈物語と日本人の心〉コレクション Ⅲ 神話と日本人の心

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    日本神話を丁寧にたどって図式的に説明。
    古事記、日本書紀を読みなれている人からすれば、真新しいこともない指摘もある。結論がやや早急すぎて強引な気がする。他国の神話も豊富に引用して比較分析されているのはいいが、話が飛んでしまって読みづらい面も。

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    2018年06月02日
  • 〈物語と日本人の心〉コレクション Ⅲ 神話と日本人の心

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    日本神話の中に古代から通底する日本人の心のあり方を探った著者晩年の集大成。深層心理学に基づいた視点により神話のそこかしこに調和を第一に重んじる日本的精神が息づいていることが本書では明らかにされていく。一人の日本人として自分のルーツがどんどん鮮明になっていくようで感慨深かった。日本神話に表れている心性が私個人の中でも中心的な地位を占めていることをいたく実感した。科学は分解する力だと言い、それと対比して神話は統合する力であるとして現代における神話の力の重要性を指摘しているのは、現代人の一人として深く同感するところである。ただし著者が序章で言っているように、現代を生きる私たちは日本神話の物語にそのま

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    2017年01月14日
  • 〈子どもとファンタジー〉コレクションⅡ ファンタジーを読む

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    海外ファンタジー(主に児童文学に分類されているもの)の名作を河合隼雄が紹介。ここに紹介されている本はどれも有名だがまだ未読だった。しかもあらすじ知ってますます読みたくなった。

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    2013年11月09日
  • 謎とき村上春樹―「夢分析」から見える物語の世界―(新潮選書)

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    導入に「村上春樹の作品は読んでいる時はすらすら読めたけど、読み終わってからなんだろうと思い始めた」という感想は正しいとある。私の素直な感想をまずは肯定してくれたので、まずは安心して読み始められたのは大きい。
    村上春樹の作品は、一見すると謎のようであっても、物語としては意味をなしている。そして、決してナンセンスではないが、作者によっても読者によっても明らかな意味もない。この辺りが夢と似ている。ユング派の心理療法では夢が何を意味しているのかを分析する。本書は、ユング派心理学者が、村上春樹の作品を夢のように内在的に理解し、謎解きをするという試みだ。

    ユング心理学×村上春樹なので、私的には読まずには

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    2025年11月16日
  • ジオサイコロジー 聖地の層構造とこころの古層

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    ジオ、サイコロジー
    心理学と地理学、人が生きてきた道を辿るとそこには宗教観や生きてきた人類学的なことが関わってくる。
    そういったことがよく分かる本でした。
    何かがすぐにこの本から得られるかということではなくて、人とはどういったものなのかな。ということを滲ませながら人は生きているということがわかる本なのかなと感じます。

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    2023年11月27日
  • 別冊NHK100分de名著 集中講義 河合隼雄 こころの深層を探る

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    以前から興味があった河合隼雄。いきなり著書を読むのは挫折する可能性があると思い、入門書である本書を手に取った。

    前提知識がないせいか、読み進めるのに少し時間がかかってしまった。一読しただけだと全て理解できたとは言い難い。内容が興味深いのは間違いないのでもう少し理解できるまで読むとします。

    その後は本書に読みやすいと書かれていた河合隼雄の著書、「ユング心理学と仏教」を読もうと思う。

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    2022年07月12日
  • 別冊NHK100分de名著 集中講義 河合隼雄 こころの深層を探る

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    西洋と東洋で、自我や自己の考え方が違う、のがとても興味深く、確かに日本人としてそうだな、と思い、それはどう醸成されてくるのか、文化、というものの捉え方がおもしろい、と思った。

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    2021年08月20日
  • 別冊NHK100分de名著 集中講義 河合隼雄 こころの深層を探る

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    河合隼雄先生の息子さんによる、河合隼雄先生の著書5冊をベースにした解説。
    数学の教師だった河合隼雄が心理学の勉強を始め、ユング心理学に出会い、それまで嫌っていた仏教を心理学と結びつけ、ユング心理学を日本に落とし込んだ。

    ユングの解説をする河合隼雄の解説…という内容なのでユングの話をしてるのか河合隼雄の話をしてるのか分かりづらい部分がある。あと単純に河合隼雄の書く内容が難しい。
    河合隼雄の、明恵の夢の解説や神話における心理性の見解は目を見張るものがあるが、トンデモ理論では?と感じてしまうこともしばしば。。科学的解明が難しいのでなんとでも言えてしまう気もする。

    やはりこの内容だけだと分からない

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    2021年08月17日
  • 発達障害への心理療法的アプローチ

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    題名に惹かれて購入したが、開いて一読、京都大学のユング派の人の本であったので、難解さを予想したが、意外と読みやすかった。発達障害の本質を「主体の欠如」より捉えている。そのために、発達障害の人はさまざまな症状を身に付けやすい。しかし「本物」の症状に比べて粘りと必然性のないのが鑑別になる。心理療法の方法としては、主体の存在を前提とした従来の方法ではなく、主体が立ち上がってくるような方法が必要である。留意点として、「深層」というファンタジーの放棄、「中立性」のスタンスの放棄、「適応」という目標の放棄があげられている。また境界例、解離性障害、発達障害と時代に応じて目立ってきた病理や症状について、我が国

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    2012年06月28日