アルベルト・アンジェラのレビュー一覧
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ローマ帝国がその繁栄の絶頂期にあったトラヤヌス帝治世下の首都ローマの人々の一日の生活を24時間著者がレポートするといった非常に興味深い趣向の本。
当時のローマ人の生活が衣食住から始まり、裁判、教育、娯楽、果ては公衆トイレや性生活に至るまで事細かく描写されている。
それらの描写は、最新の考古学的研究の成果に基づく知識に裏打ちされており、古代ローマを題材とした小説を読むのでは得られない種類のリアリティーを感じさせる。
史料でしか知ることのできない古代ローマ人たちに血肉を与え、当時の生活の匂いまで感じられそうな程に彼らの生活を活写して見せる著者の学識とイマジネーションには驚くばかりである。 -
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ネタバレ古代ローマ人の生き生きとした描写を用いて描かれたシリーズの一冊。
高く評価する点が3つ、一つだけ低く評価する点が1つあるため、星4つとした。
高く評価するのは、次の点。
1.オウィディウスの『恋愛指南』など、当時の道徳教訓詩をパロディ展開した作品からも史料を引いているが、全体としては信頼のおける史料だ、と思われる点。
2.貴族や中流階級だけにとどまらず、貧困層の事なども調べて書いてある点。
3.当時の社会、文化における価値観を紹介し、一方で『現代の道徳』による価値判断をさしはさまないよう気をつけて書いてある点。
一つだけ低く評価する点については、紹介前に前提となる筆写の事情がある。
まず -
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Posted by ブクログ
古代ローマの全盛期(トラヤヌス帝治下、紀元115年)のある一日に焦点を当て、当時のローマ人がどのような一日を送っていたかを追うドキュメンタリー調の歴史読み物。
一日の時系列を追って、起床から就寝(または深夜の活動)までを、視点や立場を巧みに変えながら、淡々と追っていく。
ローマの歴史を扱う本は多いが、多くは歴史的な偉人や大事件に焦点を当てたもの。
それに対し、ローマの一般的な人々はいったいどのような生活を送っていたのかを、細かく細か~く丁寧に再現するのが新鮮。
名もなき人々のなんでもない一日を追うことで、当時のローマの雰囲気や文化がとても分かりやすい。
若干叙述が淡々としすぎていて退屈な -
Posted by ブクログ
ローマ帝国、トラヤヌス帝治世下。反映の絶頂期を迎えた首都ローマの人々の一日の生活を著者が24時間密着レポート!という趣向で綴られた本書。企画の勝利、というのは簡単だが、最新の考古学的研究の成果を基にした実に綿密な考証で、今の我々が得られる最大級の古代ローマのリアルをここに出現させている。
衣食住はもちろんのこと、裁判、教育、娯楽、果ては公衆トイレや性生活まで、時に現代社会と照らしあわせて語られる古代ローマ人の姿は、人々の匂い、体温まで感じられそうなまでのリアリティーをもって迫ってくる。
中でもP.207から始まる奴隷についての著述には考えさせられた。古代ローマと現代を照らしあわせて考 -
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