サブタイトルは「品質を決定づけるテスト工程の基本と実践」です。
テストを初めて学ぼうとする人に対して、目次・構成としてはとても良い本なのですが、大変惜しいことにいくつか問題点があります。
たとえば、69ページの同値クラスです。
GUIがあって、パスワードを設定する機能に対する問題です。
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<仕様>
パスワードの文字数:4文字以上、15文字以下であること
このうち、4~15文字の同値クラスはパスワードとして設定可能な文字数であることから「有効同値クラス」と呼ばれます。また、3文字以下または16文字以上の同値クラスは、パスワードとして設定できない文字数なので「無効同値クラス」と呼ばれます。
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同値クラステストでは、各同値クラスから最低1つの代表値を選んでテストを行います。上記のパスワードの文字数のテストであれば次の2つの代表値をテストします。
・有効同値クラス(4~15文字)の中から代表値を1つ選出する
→9文字(設定完了メッセージが表示される)
・無効同値クラス(3文字以下または16文字以上)の中から代表値を1つ選出する
→2文字(エラーメッセージが表示される)
このケースで無効同値クラスを1つと認識するのは、初学者には非常にまずいと思います。
やはり、ここでは基本セオリーに則って、無効同値クラスは、0~3文字、16文字以上の2つあることを説明すべきです。
この後に、「内部構造と同値クラスの関係」という節があり、そこで3つに分ける話がでてくるのですが、上記については内部構造によらず3つのクラスにすべきです。
★★★
99ページの、デシジョンテーブルのところでも、ジェットコースターの乗車制限に対するデシジョンテーブルという例題に対して、 3列と4列の「-」のところは、Yでテストする必要があるのでYを埋めないとだめです。
★★★
等々、他にも細かい点で問題があります。
それから、例題があまりによく聞くものばかりだったり、参考文献が一冊も示されていなかったり、これは、ゆもつよだろうという表にテスト観点一覧表という名前がついていたり、、、。
なぜ、このテストをするかについて丁寧に書いてある点など、良いところも多い本なのですが、うーん。あまり、おすすめできないなー。