仁木悦子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読者への挑戦、アンソロジー第二弾
好みのシリーズだが全三巻で終わってしまうらしいので残念
今回の7作品は有名なものが多く、著者それぞれの短篇集のタイトルになっているものもいくつかある
中でも中西智明は、絶版文庫の「法月綸太郎の本格ミステリアンソロジー」に収録されている、という事すらよく知られている傑作
・仁木悦子「横丁の名探偵」★⭐︎⭐︎
超短編。トリック1つだけの勝負、やや弱いかな
・石沢英太郎「アリバイ不成立」★★⭐︎
複数の容疑者たちがお互いのアリバイを主張する、と来ればあのパターンだな!
という予想を覆され★ふたつ
・巽昌章「埋もれた悪意」★⭐︎⭐︎
双子のなぞなぞは知っていたが...
選者は特にオススメらしいのだがちょっと合わなかったかな
・泡坂妻夫「ダイヤル7」★★★
同じ創元推理文庫に収録されているのに持ってくるかね...
そちらは積読状態のためスルーしようかと思いつつ読んでしまったが、これが大当たり
たぶんこの先にこれ以上の作品は無いと確信するほど
絶妙なタイトル、見事にやられました
・岡嶋二人「聖バレンタインデーの殺人」★⭐︎⭐︎
掌編。こちらも仁木悦子の作品に似たスタイル
・中西智明「ひとりじゃ死ねない」★★⭐︎
読むのは3回目、いや4回目かな
忘れられない真相、初読なら★★★だけど
・今邑彩「時鐘(とけい)館の殺人」★★★
大好きな作家
このプロローグ、好きだわ
やられました×2回
文庫版はだいぶ修正されているらしいという情報を与えてくれた選者に感謝。未修正版が気になるので探してみよう
(内容を忘れてしまっていたが、死体発見で思い出した。コレはたぶん読んでいるんだよなあ)
7作品総合での評価は★★★⭐︎⭐︎
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Posted by ブクログ
仁木悦子さんのミステリはこれまで読んだことは無かったが、面白かった。
昭和の雰囲気がする、ゆったりとした読み心地で、気負いなく読める。
本作には「赤い猫」「白い部屋」「青い香炉」「子をとろ 子とろ」「うさぎさんは病気」「乳色の朝」の六編が収録されている。
表題作「赤い猫」は、富豪の老婦人の館に住み込みで働くことになった女性の過去の事件の話。主人公の多佳子が仕える老婦人・郁(いく)の安楽椅子探偵ぶりが良かった。多佳子の母が殺された事件の真相を解き明かす鮮やかさも、その後の多佳子との意外なつながりも気持ちよく読めた。
他に、別の本で仁木兄妹シリーズの妹として活躍する仁木悦子さんが、結婚して浅田悦子さんとして登場している話がある。「子をとろ 子とろ」「うさぎさんは病気」の二編だ。
どちらも、殺人は起こるけれど仰々しくなく、昭和の町のご近所の暮らしが描かれていて楽しい。 -
Posted by ブクログ
昭和32年に刊行された作品、ということを知った上で読まないと、なかなかに疑問の沸く部分はあるけれど、探偵役の兄妹の活躍が心地よくて、シリーズで読みたいなぁと思わせる作品でした。
新装版はとても可愛らしい装丁で、女流作家なのもあって文体も柔らかく、それでも江戸川乱歩賞だしなぁという心持ちで読めば、やはりそこは素人探偵といえどコージーミステリとは言えない、それなりの殺人事件が起こります。
それなりの殺人ってなんだって話ですが。
時代背景をイメージしつつ読めると、受け入れやすいかもしれません。
丸く赤いポストだとか。電信柱、という方がしっくり来るような、木製のそれとか。扉を閉めた時に、嵌め込んだガラスが振動でがしゃんと音の立つような古い個人病院だとか、レトロで今は可愛いと人気の赤や黄色、橙の花柄のグラスだとか。
…全部わたしのイメージですけど。しかも別にそんな表現は、作中に出てきません。なんとなくそんな感じかな、っていうだけです。
すみません。大半が本の感想じゃないですね。
作品に戻りましょう。
登場人物が、表で欲しいほどに出てきます。主人公兄妹と、その2人が下宿でお世話になる、少し複雑なお医者さん一家。核家族に加えおばあちゃんや姪っ子、看護婦さんに患者さん。と、猫。
連続殺人となりますので、わたしなどは一旦家系図を書きました。
ボリュームも、容疑者人数も、ちょうど良かったです。初めて読みましたが、とても読みやすかった。
こちらを処女作に、たくさん作品を残された方ですので(しかも作者さまは殆ど学校教育を受けていらっしゃらないそうです)、ぜひ、他の作品も読みたいなと思う一冊でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ仁木悦子と仁木雄太郎の兄弟が下宿をする箱崎医院で殺人事件が起こる。
メインとなる殺人は平坂殺し。箱崎医院の医師、箱崎兼彦が平坂の癌を盲腸炎と誤診したため、治療が遅れてしまう。平坂の性格を知る箱崎は、自身がこの誤診により破滅すると考え、看護婦の家永と協力して平坂を殺害し、その身元が分からないよう細工する計画を立てた。
家永の声の質が平坂に似ていることを利用し、再生速度を遅くした音声を使って平坂が生きているように装うトリックが使われる。また、身元が割れないよう平坂の遺体を水死体として偽装した。
事件を目撃した桑田老婦人が殺害され、その孫ユリは指輪と現金を盗まれる。犯人は箱崎兼彦の次男、敬二。敬二は滞納していた家賃を払うため現金を使用し、指輪は換金できず隠した。この盗難事件が平坂と桑田老婦人の間で取引されようとしていた茶壷に関する話と絡み合い、事件が複雑化する。登場人物の嘘や隠し事がクリスティ的な要素を思わせる。
悦子が偶然にも抜け穴の入口を封鎖してしまったことで、家永殺しが外部犯ではあり得なくなる。さらに工藤夫人がかつての平坂の悪行を恨み、平坂を毒殺しようとしていたというミスディレクションがサスペンスの緊張感を高める。
箱崎兼彦の長男英一が平坂の妻清子と恋仲だった過去も、英一を犯人に見せかけるためのミスディレクションとして機能している。最後に、動機が巧妙に隠されていた箱崎兼彦が真犯人であると明かされる展開は、オーソドックスながら見事である。
仁木雄太郎と仁木悦子が探偵として活動しやすくするための登場人物として、老警部というあだ名の峰岸周作という人物が登場する。そこまでキャラクターが立っているわけではないが、この人物がいることで仁木雄太郎、悦子に情報が入り、変死体の調査をしてもらうなど、筋が進む。このキャラクターの存在が御都合主義的ではあるが、許容範囲内
家永殺しでは、猫を利用した物理トリックが使用される。「蛇の毒を塗ったナイフを眠らせていた猫が動かすことで発射される」という仕組みは古典的ながらユニークで印象的だ。タイトルの『猫は知っていた』はこのトリックを象徴している。
ひと昔前のミステリらしいトリックといえる。家永が「ネコ、ネコが…」といって死ぬが、これが何かという謎ではなく、ネコがトリックに使われているという、そのままの意味というのが、逆に新鮮でもある。
箱崎兼彦が犯人だということを示す伏線は結構張られている。チミではないネコが気絶していたり、幸子が寝小便をしていたことから、母が行方不明であり、とても寝れそうにないはずの敏枝夫人が熟睡していた=睡眠薬を飲まされた=箱崎兼彦が飲ませた、など。
入院患者の一人の付添人である桐野夫人は、「もう一本はどうします」という旨の証言を聞く。決定的なことを思い出す前に…という意図で殺害されかけるが未遂に終わる。
まとめると以下のとおり
● 平坂殺人→メインの殺人誤診を隠すために殺害。
● 桑田老婦人殺害→目撃したため殺害
● 家永殺人→猫を利用したトリック。共犯殺害
● 桐野夫人殺人未遂→証拠隠滅
トータルの感想は、古い作品ながら、クリスティ的な作風のよくできたミステリ。箱崎兼彦が、医療ミスを隠すために、身元が分からないような形で平坂を殺害。このシンプルなスジに、箱崎兼彦の次男、敬二がユリが持つ指輪と現金を盗むという犯行が重なり、結果として平坂と桑田老婦人が取引をしようとしたことが重なる。これを利用して、箱崎兼彦が平坂を殺害しようとするが、結果として犯行を目撃した桑田老婦人も殺害される。
家永殺しは、ネコを利用した物理トリック。最後の桐野殺しはトリックらしいトリックはないが、読者が箱崎兼彦が犯人と推理できるようにするための犯行ともとれる。
古い作品ながら、伏線もそれなりに張られており、軽いミステリのお手本のような作品となっている。今、読んでもそれなりに面白く、★4とまではいかないが、★3で。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「有栖川ファンならきっと好きですよ」とお勧めしていただいて初めて手に取った仁木悦子。
なるほど文章に品があって読みやすくて、読後感も良くて、お勧めいただいた訳がわかった。文の流れる美しさに連城三紀彦っぽさも感じたけど、的外れな感想かな。あの、美文にうっとりしてる間に謎が解かれて「いつの間に!?」ってびっくりする感じが近い。
「金ぴかの鹿」 読後感良いと書いた直後だけど読後感悪い!笑
「暗い日曜日」 はじめての仁木兄妹。可愛いけど、悦子すごい行動力!自分でスカートを縫ったりしている描写に時代を感じたな。最後、舘岡博士のために喜ぶ悦子に爽やかな気持ちにさせてもらった。
「一日先の男」 これは、小説のジャンルとしては何になるのだろう? ミステリかと思いきや……ドグラ・マグラ的な感じもするけど。こんなものも書いたのか!という作者への驚き。
「ねむい季節」 SF!1960年代に描かれた21世紀かと思うと、とても興味深かった。でもここまでで1番ミステリっぽいミステリというか、私はこれが1番好きかも。
「隠された手紙」 母子の間の秘密。爽やかでよかったな。すごくいい話だった。
「遠い絵図」 これも、母子の間の秘密の話。母子家庭の話が多い感じがするのは、時代的にそういう家庭がままあったということなのかなあ。戦後の混乱期過ぎて、夫の居なくなってしまった家庭は多かったんだろうな。「隠された手紙」といい、母子家庭の親子への暖かな眼差し、幸せになってね、という気持ちが感じられて、好き。
「死の花の咲く家」 ダイイングメッセージはちょっとなぁ…。でも面白かった。なるほど。
「穴」 子ども大活躍!これは、もう、設定が好み過ぎて、どんぴしゃり。しかも面白い。仁木さんは、子どもの気持ちがよくわかる作者なんだな。ひろきくん好みの。笑
ショートショートはどれも毒が良く効いてて面白かった。