仁木悦子のレビュー一覧
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仁木悦子さんのミステリはこれまで読んだことは無かったが、面白かった。
昭和の雰囲気がする、ゆったりとした読み心地で、気負いなく読める。
本作には「赤い猫」「白い部屋」「青い香炉」「子をとろ 子とろ」「うさぎさんは病気」「乳色の朝」の六編が収録されている。
表題作「赤い猫」は、富豪の老婦人の館に住み込みで働くことになった女性の過去の事件の話。主人公の多佳子が仕える老婦人・郁(いく)の安楽椅子探偵ぶりが良かった。多佳子の母が殺された事件の真相を解き明かす鮮やかさも、その後の多佳子との意外なつながりも気持ちよく読めた。
他に、別の本で仁木兄妹シリーズの妹として活躍する仁木悦子さんが、結婚して浅田悦 -
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昭和32年に刊行された作品、ということを知った上で読まないと、なかなかに疑問の沸く部分はあるけれど、探偵役の兄妹の活躍が心地よくて、シリーズで読みたいなぁと思わせる作品でした。
新装版はとても可愛らしい装丁で、女流作家なのもあって文体も柔らかく、それでも江戸川乱歩賞だしなぁという心持ちで読めば、やはりそこは素人探偵といえどコージーミステリとは言えない、それなりの殺人事件が起こります。
それなりの殺人ってなんだって話ですが。
時代背景をイメージしつつ読めると、受け入れやすいかもしれません。
丸く赤いポストだとか。電信柱、という方がしっくり来るような、木製のそれとか。扉を閉めた時に、嵌め込んだガ -
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ネタバレ仁木悦子と仁木雄太郎の兄弟が下宿をする箱崎医院で殺人事件が起こる。
メインとなる殺人は平坂殺し。箱崎医院の医師、箱崎兼彦が平坂の癌を盲腸炎と誤診したため、治療が遅れてしまう。平坂の性格を知る箱崎は、自身がこの誤診により破滅すると考え、看護婦の家永と協力して平坂を殺害し、その身元が分からないよう細工する計画を立てた。
家永の声の質が平坂に似ていることを利用し、再生速度を遅くした音声を使って平坂が生きているように装うトリックが使われる。また、身元が割れないよう平坂の遺体を水死体として偽装した。
事件を目撃した桑田老婦人が殺害され、その孫ユリは指輪と現金を盗まれる。犯人は箱崎兼彦の次男、敬二 -
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ネタバレ「有栖川ファンならきっと好きですよ」とお勧めしていただいて初めて手に取った仁木悦子。
なるほど文章に品があって読みやすくて、読後感も良くて、お勧めいただいた訳がわかった。文の流れる美しさに連城三紀彦っぽさも感じたけど、的外れな感想かな。あの、美文にうっとりしてる間に謎が解かれて「いつの間に!?」ってびっくりする感じが近い。
「金ぴかの鹿」 読後感良いと書いた直後だけど読後感悪い!笑
「暗い日曜日」 はじめての仁木兄妹。可愛いけど、悦子すごい行動力!自分でスカートを縫ったりしている描写に時代を感じたな。最後、舘岡博士のために喜ぶ悦子に爽やかな気持ちにさせてもらった。
「一日先の男」 これは -
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仁木悦子氏は時に「日本のクリスティ」と言われる。これってひどいよなぁ~。
例えなんか使わないでほしいものだ。
日本にだってこんなに上質な本格推理を書く女流作家がいるのに!と私はいつも思う。
昨今、ミステリも文学だと堂々と言えるわけなのですが、身近なところで起こる事件、いや事件に限らず庶民の生活の中で起きる謎(ほのぼのミステリと私は定義しておりますが)を題材にしたミステリが、認められたのはこの仁木氏のお陰ではないだろうか。
古い作品になると舞台も背景もどうしても古くなってしまい、その当時だからあり得る犯罪なんかもあり、今読むとう~ん?と思ってしまう作品もあります。
でも、仁木作品は背景的には古く -
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ネタバレ仁木兄妹の2作目?
ある夜、家にかかってきた不穏な電話に呼ばれて、仁木兄妹は林の中の家に出向く。そこには血まみれの遺体が。
相変わらず、からりとしたミステリ。
登場人物もそんなに多いわけでもないのに、最後までどうなるのか謎が謎を呼ぶ。
登場する女性が、ことごとく友人とか知り合いなのが気になるけど、女学校の数も多くないしそういうものかな。
「全く雄太郎兄貴は、せくということを知らない人間だ。急ぐことはあっても、絶対にせこうとはしない。落ちつきはらって知らん顔をしているくせに、おしまいまで来てみると、終始せかせかやってきた私を、ちゃんと出し抜いている。やはり、ノッポとチビという宿命的な相違のせい