勝山海百合のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
初めての作家だが、なかなかいい味わいの小説を書くなあ。中国・明時代の江南常松の何とも言えないというか、じわっと怖いというか、えぐいというか、不思議というか、そんな物語を淡々と描いている。権力を握っている地方高官・書家の陳遷が自分勝手で傲慢で、その息子の陳鋼が無茶苦茶な乱暴者で、なんとも胸糞悪い。幼いころに仙人に攫われて修行させられ、歳を取らなくなった斑娘が陳家のもとから曰くのある手紙を手に入れるために、陳遷の娘を誘拐する。それやらなんやら、いろいろな人物が入り乱れて物語は展開する。若い女性の手紙を偏愛する変な趣味の男なども出てくる。視点人物もしょっちゅう変わるし、そんなごちゃごちゃ感がかえって
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Posted by ブクログ
何とも味のある、中華幻想譚。表紙もいい味出していますよね。
厨師(料理人)の斉鎌は、何でも美味しく仕上げるけれど、長く使わないと腹を減らして人等を襲うという、便利だけど乱暴すぎる不思議な“鍋”を借り受けます。この鍋を持ち主の男に返す為、図らずも流浪の厨師になってしまった斉鎌。
彼が行く先々で起こる、不思議な出来事に関わったり、関わらなかったりする展開です。
淡々とした文体も、この作品の独特の“味わい”に一役買っているように思います。肝心と思われる部分を敢えて端折ったり、ぼかしたりしているのも読者側の妄想に任せているのかなと(多分、“敢えて”だと思います。多分・・)。
そして、“鍋”関係なく、斉 -
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