ブッツァーティのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ブッツァーティは、『タタール人の砂漠』と『待っていたのは』を以前に読んだ。
あまりにも『タタール人の砂漠』が名作で、ブッツァーティの深い思索の集積をみた気がした。
『待っていたのは』は、河出書房新社から出ている短編集で、光文社から出ている本書と重複している短篇もいくつかある。
本書はブッツァーティの残した膨大な短篇のなかから代表的なものを選び二十二篇を編んでいるもの。
そのうち、十篇は未邦訳である。
『タタール人の砂漠』は、いつ攻めてくるやもしれぬタタール人の襲撃に備え、辺境の砦でそのときを待ち続ける兵士を細かい筆致で丹念に描く。
兵士とともに読み手をこれでもかこれでもかと待たされ、、 -
Posted by ブクログ
ネタバレイタリアの作家ブッツァーティの短編集。「タタール人の砂漠」が非常に良かったので読んだ。「タタール人の砂漠」ほどは揺さぶられなかった。
幻想的な雰囲気が漂う作品が多い。時代設定が少し昔だったり、物語の舞台が田舎がだったりすることで、今自分がいる世界とは地続きのようだが実際に見たことはない世界のストーリーとして感じられるからだと思う。
特に「護送大隊襲撃」は、ヘミングウェイの「敗れざる者」を彷彿とさせる佳作だと感じた。
護送大隊襲撃
捕らえられた山賊の首領プラネッタが(微罪のみしか問われなかったことから)3年後に釈放される。しかし刑期に衰えた彼を昔の仲間が迎えることはなかった。一人過ごしてい -
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はじめの2作は軽快で、ピウミーニの『キスの運び屋』みたいだな、と思った。聖人が天から人の世界を見下ろして…という設定は、私はピウミーニで初めて読んだのだが、勿論ブッツァーティの方が古いので、ピウミーニが真似したのかもしれない。しかし、そもそもイタリア人は、こうしたことをしょっちゅう考えているのでは、とも思った。幼い頃から、「聖人さまがご覧になっていますよ」と戒められて育つ、とか。
告解のシーンも多く、カトリックの国の作家だなぁ、とも思う。
ロダーリやピウミーニほど明るくないし、カルヴィーノほど寓話的でもナンセンスでもないが、やはりイタリアの作家らしく、解説にあるカフカなんかとは全く違う。
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