「やれ! 」と言っても、現場は動かない。人を動かす側の人間にとって『普遍』の悩みを、海外MBAプログラム元統括者である筆者が書き下ろしたものでございます。個人的には『いわくつき』の本ではございますが…。
僕は某所で先日、本書の書評執筆を依頼されて、「いいですよ」と返事はしたものの、待てど暮らせと本が届かず、『ほな、どないせぇいうね!?』となかば町田康氏のように叫び、ですがそれだけでは事態が一向に解決に向かっていかないので、自力で調達し、読み終えてこの時期を執筆しております。時間的には大体2時間程度で読めるような新書です。
内容に関してはMBAの人間がスタンダードで知っているマネジメント論を紹介したもので、“人・組織を動かす仕組みと技術=マネジメントコントロール”を わかりやすく解説したものであります。マネジメントのやり方も部下に対して放任主義で行くのか、それともギチギチの管理主義で『次これやりなさい』と細かいところまで指示していくのがいいのか。そういうところにまで言及しているのが印象にこっております。
個人的な体験として、全く放任する人間と、細かいところまで指示をする人間の2タイプに仕えた経験を基に考えてみると、ある程度放任してくれたほうが、結果は出せるようです。話は横道にそれましたが、例としてマクドナルドに代表される『ファストフード店』ではある程度マニュアルにさえ従えば『誰がやっても』ある程度の『結果』が出せる一方で、『ルールを守ること』自体が目的化していく、という側面がったり、部下にある程度任せるという放任型のマネジメントは「スリエイティブ」な人は結果が出せる一方で、ついていけない人が多い…。そういうことを書いているのが印象に残っております。
ここではそういう『ジレンマ』を解決する『「人を動かす力」を科学的に解明した仕組み』が後半部で紹介されており、『組織にとっての目的』や『短期間である程度の結果を出す人間』を目指しているのか?それとも『じっくりと育てて将来的に幹部として戦力になってくれる人材を育成するのか』そういうところでも「つかいわけ」が必要だ。読み終えた後にそういう印象を持ちました。