ジャン=リュック・ナンシーのレビュー一覧

  • 遠くの都市

    Posted by ブクログ

    上京して間もない頃だった。神楽坂の毛細血管のような街で迷子になった。
    歩いても歩いても、目的地らしいものは見当たらず、ケバケバしいパチンコ屋のネオンと音に溢れている通りの前で、ため息を吐くことしか出来なかった。彷徨うほどに街は拡大し、その場に住む人を置き去りにする。
    細い路地を昇ったり降りたりを繰り返すうちに、僕は、神楽坂に嫌われているような気になったのを覚えている。かつての街の名残を微かに残していると言えばそうかもしれない。けれど、それらの景色は、もはや街の抜け殻でしかない。


    「年はあらゆる方向へ向かう。交通網の中にと、それによって追いやられ、汚染によってと、それによって追いやられ、都市

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    2009年10月04日