野中邦子のレビュー一覧
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「美術館のある国が、すなわち芸術的な国というわけではない。だが、芸術の魂があれば、美術館には貴重な作品があふれるだろう。さらによいのは、創作の喜びが生まれることだ。芸術は均衡、秩序、相対的な価値観、成長の法則、簡潔な生活に向かおうとする──それは関係するすべての人びとにとって幸せなことである。 芸術を学ぼうとする人びとの苦労は並大抵のものではない。それに向きあう勇気とスタミナをもつ人はめったにいない。いろいろな意味で、孤立することを覚悟しなければいけない。人は共感を求め、仲間をほしがるものである。一人でいるよりも、仲間といるほうがずっと楽だ。だが、一人になって初めて、人は自分をよく知り、成長
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いつだったかにABCでオススメされていてずっと気になってたキッチン・コンフィデンシャル。爽やかなカバーから想像できない、良い意味で暑苦しくてエネルギッシュな著者の人生と料理人の世界が描かれた本だった。
物語のような自叙伝のようなルポのようなビジネス書のような啓発本のような…一言で「こういう本!」って言ったりジャンルでまとめるのが難しい。(語彙がないだけ説)
著者含め料理人たちのはちゃめちゃな生き方働き方が沢山出てくるけど、その中に筋の通った確固たるものが見えて、料理人同士にしか分からない料理への愛情、絆、料理人としての生き方、哲学、世界があるんだろうなと思った。
読めば読むほど著者の料理や -
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なぜ一世紀近くも翻訳されなかったのか。ヘンライ氏の文章はまるで読む絵画である。「自分らしさにおいては誰もが巨匠」と説き、表現への情熱が芸術を生む。塊(マッス)という構図において形体や線、色すべては表現欲求を満たすために疎かにされるものではないと力強く語りかける。
プレゼンの参考のために読んだが、技術を身に付けると表現が巧くなるのではなく、表現したいものがあるからこそ技術を習得するのだ、という言葉はなるほどと思わされた。当たり前だが忘れがちなのはソフトを使いこなしても本当に伝えたいものでなければ何の意味もないということ。
なお本書はヘンライ氏の手紙や講義を集めたもので、全体を通して多少散漫な -
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大分時間がかかったけれど読み終わった。
美術史は全くわからないし、正直著者も知らなかったりする。
美術的な技巧に関する記述については、率直に言って素養がないのでわからなかったが、著者の、世界の見方、あるいは"スピリット"というのは、必ずしも画家ではなくても通じるところがあると思う。
著者自身、「型にはまったものだけが芸術といわれるのはどうか」という疑問を投げかけている。一事が万事、この調子である(笑)
原書の刊行は、1923年。
初の邦訳が2011年。
どうしてこの本が、90年もの間、邦訳で出なかったのか、不思議に感じる。
美術を学ぶ人にとってどうかは正直わからないけれど、 -
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デイビッドリンチの本「大きい魚をつかまえよう」にこの本が出てきて、とても影響を受けたとのことで読んだ。
本人が書いた本ではなく、授業を受けていた生徒とかが書き留めていた彼の言葉集
なので、具体的に「色彩とは〜」「背景とは〜」と話している時もあるし、一文だけの名言のようなのが並べてあるところもある。
「あらゆる人間の中に芸術家がいる」ことがもっと広まるべきである/よき絵は良い人生からとれる果実のようなものである/画家が感じ、思っていることは何らかの形で絵筆にあらわれる。世界の何者もそれを妨げられない/独創性は絶対にあるものであり、むしろ振り払おうと思ってもできない/芸術の源流や動機は個人の思 -
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エリック・ローソン『万博と殺人鬼』ハヤカワ文庫。
2006年に文藝春秋より単行本で刊行された『悪魔と博覧会』を改題、文庫化。660ページ余りの読み応えのある、エドガー賞犯罪実話部門受賞の犯罪実録ノンフィクション。
『万博と殺人鬼』という、アメリカの光と影を連想させるタイトルが興味深い。
シカゴ万博という華やかな大イベントの準備が進められる中、その影で活気に沸くシカゴに仕事を求めてやって来る若い女性たちを巧みに誘い、自身が造った秘密の建物の中で行われる猟奇殺人と遺体の隠蔽を行うシリアルキラー。しかし、彼の残虐な殺人行為は次第に綻びを見せ始める。
1890年代初頭のシカゴ。建築家ダニエル -