岩村暢子のレビュー一覧
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「自主性」を育てるために、好きな食べ物を子供自身に選ばせて出していた家庭は、その後どうなったか。
調査対象は首都圏在住家庭、240件。家庭の主婦へ、家庭内の食事についてのインタビューをしたものである。家族一緒に食事をするのか、各々がバラバラに食事をするのか。そしてその食事はどのようなものなのか。10年後、20年後と継続して同じ家庭に調査を入れているため、調査のたびに数は減るし、数が少なすぎて統計学的な評価はできないものの、こういった年月をかけての調査という点だけ取っても、稀有で貴重な調査結果である。
仲がいいとは言えない家族の様子がリアル過ぎて、読み進めていくにつれ気持ちが萎えてくる。子供の自 -
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衝撃の書であり、傑作と言われるディストピア小説より恐ろしいのは間違いない、けど、待って待って我が子にこんな底辺な生活させてるママ達よくこんなに見つけて来たね!?とも思う…。
十年前との変化などの考察を読むと、確かに時代の流れと合わさった変化であろうと察せられるけれど、これを「現代家族の真の姿」と言い切るのは大袈裟すぎない…??
「限界家族」の話だよね?やっぱり?
だって私も、おそらく友人たちも朝ごはんから我が子にしっかり食べさせてるし(子のムラ食いに手を焼きながら)昼も夜も何食べさせよう〜ってずっと考えてるし、それが当たり前だと思ってますよ。もちろんそんな胸を張れる食卓ではないけれど…。
と -
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食事が家族関係、社会性に大きく関わることを改めて考えさせられました。
子どもが大きくなると塾や部活、朝の出発時間の関係で食事を一緒にすることが容易ではありませんが、意識して一緒に食べること、親が手をかけることの大切さがわかりました。
最後に関係の良い家族の食事が書かれているのが、とても参考になりました。
家でバランスの良い食事をしていなければ、給食だけで補うのは無理ですね。食べ慣れていないものには手を付けません。そして、学校では食べることを強制することはできません。
身体的な栄養だけでなく、心の栄養も不足することを親が知っていなければならないですね。 -
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この本を読み終えて、私は、背筋が寒くなる思いをした。これは、食事の記録の書というよりは、家族の崩壊を記した書ではないか?
著者は、1998年から、家族の食卓風景を調査している。今回、同じ家庭の10年後、20年後を調査して考察している。調査地域、サンプル数など少ないし、著者のバイアスのかかったような見方により、こんな家庭ばかりでは無いだろうと思う部分もあるが、ショッキングな内容であった。
食事も「個」が優先。一人一人が食べたいものを、食べたい時に食べる、そういう家庭が増えているという。まるで家族バラバラ。「家族で食卓を囲む」なんて死語になっているかのようだ。
そのような家庭で育った子供達 -
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食卓を定点観測の場として、1998年〜2009年にかけての第1回、その10年後の2回目、さらにその10年後の3回目と同一対象家庭に、アンケート、写真入りの日記調査、詳細インタビューなどを行った結果の分析、考察をまとめた本。
この調査結果自体見れたら興味深いだろうなと感じたし、分析、考察をまとめた本書も非常にインパクトが強いものだった。
家族内であっても、「個人の意思を尊重する(自分のやりたいこと、自由、好みを優先する)」という親の気持ちのもとで、結果それが食卓に反映し、親子関係(対象者の子どもだけでなく、親、義親含め)、夫婦関係などにどう反映していたのか。
自分自身まさにこの調査対象年代に -
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自分を大切にして、自由で好きな時間を過ごすことは、必要なことだと思う。外に目を向けることも大切だ。が、この本を読んでとても怖くなった。家庭の食事にもこの考え方をもちこみ、食事は時間も内容も個別、自分の子どもの食事に対しても、面倒くさいから自己責任の道筋を作っていく。嫌いなものを与えると機嫌が悪くなるからとか、残されると嫌だからとか。それを言ったらおしまいと思うようなことが、多くの家庭で見られた。1998年から2009年まで、食卓を定点観測の場として、同一家庭の10年後、20年後の変化を追跡調査した結果だ。ちなみに、初回は240家庭、10年後は89家庭、20年後は8家庭の有効サンプルの結果だそう
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とてもこわい本。淡々するすると読める。
日本の食卓と家族、個人個人の意識の変化(その裏に隠れているのは社会全体の様々な空気感)
定点観測された地道な食卓調査のアンケート結果や発言がページをめくる度に淡々と綴られていく。対象者の発言と実態が乖離することも多数、驚愕する。
自分と年代の違う調査対象者の発言を「恐ろしい」と感じつつもその考えを完全に否定できず、自分の中にも潜んでいることを実感しぞっとする。
ただただこわいが(興味深い面白さと読みやすさはある)、これはたぶん個人個人の意識の変容の中に、世界と日本の社会のムードがどろどろ音も立てず忍び込んでいる、その結果を表した貴重な本だと思う。 -
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長い年月をかけて採取した家族のあり方が圧巻でした。
妻との関係、子との関係を見つめ直すための必読書です。読み進めていくと、ほとんどホラーに近いような恐ろしい状況が展開されていきます。そこに登場する方々に「本当にそれでいいの?」と心の中で問い続ける読書でした。
家族という関係性を作り上げるのは、日々の瑣末なことの積み重ねであると感じました。良好な関係性が維持できている家族は、当たり前のように互いを気遣い、それを瑣末なこと、当たり前のことと捉えて気遣いを繰り返す。完全に崩壊している家族は、各々が個人を優先ことが何よりも先決で、瑣末なこと大切にすることができずに、目に見えないほどの距離が毎日離れてい -
Posted by ブクログ
p.59 家の仕事を手伝う子どもたちもいたが、そのほとんどが父親が日常的に家事をする家の子どもたちであったのも見逃せない。父親が子ども時代から(家業が忙しかったり、ひとり親であったり、親が病弱だったりして)日常的に家の手伝いをして育ち、結婚後も「黙っていても自ら(家のことを)する」人、そして「自分の子どもにも当然のこととしてさせる」人たちであった。理屈抜きで、ほかの人を思い、ほかの人のことをする(助け合う)暮らしがその家庭にはあるに違いない。
近年、「ヤングケアラー」の問題がしきりに語られるようになってきたが、彼らの対極にあって、家族も人も「助け合わなければ暮らしていけない」ことなど考えもせ -
Posted by ブクログ
かなり大上段のタイトルで興味を引く。1960年に大きな変化が断層として横たわり、その前後で人はさっぱり変わるのだ、という話。きっちり60年で線が引ける問題、というよりも、60年頃に変化が現れた、ということが多いように思う。60年以降であれば皆同じ、とまでは言わないが、まあ共通である、といわれるのだけど、僕(70年代)だって、80年代以降の人とは断層があると思うけどなあ。ただ、いま僕よりさらにオッサンな人たちの幼いころはこうだった、という背景をいくつもいくつも説明されるので、なんとなくオッサンのバックボーンがわかるような気がする…わけないか。あえていうなら、家庭が家庭ならではの役割から、カネでサ