笠原嘉のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
10年ほど前に発行された本だが、内容的には援助者、当事者双方にとって、あるいは当事者の家族や職場の人にとって現在においても非常に参考になるものと思う。文体もやさしく、文章が読みやすい点も評価できる。
タイトルは「うつ」であるが、内因性の気分障害全般にわたって記述がなされており、非常に対象範囲は広い。また、「原因を突き止めようとしない」「深層心理に切り込まない」治療者のスタンスについても詳細に言及されており、大変納得させられるものがあった。
自分はこれまで、内因性気分障害の当事者としてさまざまな形で情報収集をしてきたが、主治医の自分に対するスタンスについても、本書を通じてよく理解できたよ -
Posted by ブクログ
ポリクリ実習で精神科をまわり、頭も心もガツンとやられて、4年間本棚で眠っていたこの本をようやく繙いた。実際に患者さんの予診を取らせていただく前に第一章(「予診」)を読めて本当に良かったと思っている。
ポリクリで先生が、予診の際の心得として配ってくださったまとめ、あるいは実習の中で教えていただいたことと、この本に書かれている内容とは、多くの部分で重なっている。初版が1980年というから、DSMが生まれたばかりの頃である。それから精神医学も、特に客観的な評価基準という面で多くの進歩を遂げてきたはずだが、専門家でも何でもない身からすると、古くさささえ感じない。この本が「使えな」くなることは決してな -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
生真面で心やさしい人々をおそうゆううつ、不安、おっくう感。
軽症化しつつふえている理由なき現代的うつ状態への対処法と立ち直りの道筋を明快に説く。
[ 目次 ]
第1章 現代の「うつ病」
第2章 三種類の「ゆううつ」
第3章 身体と心の「一定の症状」
第4章 どういう人におこりやすいか
第5章 急性期治療の七原則
第6章 うつ病が少し長引くとき
第7章 職場のメンタルヘルスのために
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個 -
Posted by ブクログ
新書ながらこの分野で大きな影響力を持つ本で、医師や研究者にもよく読まれている。著者はR.D.レインの日本への紹介者としても知られている。
統合失調症、そううつ病の二大精神病は、近年重篤な症状が減少し、逆に軽度のものが急増しているという現象が明らかである。とりわけうつはすでに非常に身近な病となってしまった感があるが、そのほとんどがこの本にいう、内因性の軽症例であると推測され、治療法にも一定のパターンが用いられるようになっている。しかしまだまだ研究途上であることも確かで、この周縁には様々のタイプが存在しその境界は一概には定められない。重複例や変移可能性も少なくない。
いま職場では、仕事になると抑う