本田靖春のレビュー一覧

  • 複眼で見よ
    気骨あるジャーナリストとして最近知った本田靖春という方。その人の論稿を集めたもの。「拗ね者」を自認していたようだけど、一冊読んだ印象としてはそうでもないなあという感じ。まあ、「拗ね者」を判官びいきととるか反骨ととるかでも変わってくるだろうけど、おおむね正論の展開だった。しごくもっともなことをおっしゃ...続きを読む
  • 誘拐
    苦労して読んだ。

    ノンフィクションなのだから正しいのだと思うが、事実がただ小説風に書かれているだけのような印象。
    かと言って淡々と進むわけではなく、盛り上がっているような雰囲気を見せる。が、見せるだけ。

    この事件を解決するために、多くの人たちの努力があったのだなということはすごく伝わった。
  • 誘拐
    よく調べあげられている。著者自身、捜査員とジャーナリストの役割の違いをよく理解し、同業者が捜査員の務めと混合している事を冷静に観察している。
    が、しかし、この『誘拐』は、ノンフィクション上の傑作として評価されているのだが、刊行当時の1977年に、良い作品として評価されるならまだしも、21世紀の現代に...続きを読む
  • 誘拐
    事件の背景、前後、理由、全て気になるので、ノンフィクションはつい読んでしまう。
    客観的で、時系列も分かりやすく、淡々としていて読みやすかった。
    お金に困っての犯行だったが、その事件に至るまでの保の生い立ちや生き方、社会の中での立場にやるせなさを感じる。
    当時、逆探知もなければ、身代金のナンバーも控え...続きを読む
  • 誘拐
    刑事が入念な再捜査で得た情報を犯人にぶつけ、犯人が自白に至る経過は迫力があった。
    情報がうまく上層部に上がらないのは、どこの組織でもあることだろうと感じた。
  • 誘拐
    1963年に起こった吉展ちゃん事件について、ルポタージュ風に書かれたもの。
    事件の流れだけでなく、犯人の生育環境とか捜査の内容まで生々しく書かれていて、読み応えはあった。
    時代背景をうまく理解できないところがあって、ところどころ消化不良。
    どちらかというと加害者側の視点で書かれていて、事件の悲惨さは...続きを読む
  • 複眼で見よ
    戦後を代表するジャーナリストが遺した、傑作ジャーナリズム論。権力と差別と慣例に抗い続けた孤高のジャーナリストのモノの見方とは!
  • 誘拐
    日本のノンフィクションの歴史に刻まれる名作なんです。現代の目で見て物足りなくても、それは無いものねだりというものだ。神の視点で書かれた「小説仕立て」であるところとか。
  • 誘拐
    私が生まれた年に起きた事件にも関わらずその名を何故か知っていた、当時、戦後最大の誘拐事件といわれた「吉展ちゃん事件」。今はもう知る人も少ないかもしれない、この事件の詳細をこの作品を読んで初めて知った。

    逆探知、通話記録の提出、報道協定・・・今なら当然のように行われている捜査手法が当時は一般的でなく...続きを読む
  • 誘拐
    幼児誘拐事件の犯人、被害者家族、刑事を均等に描くノンフィクション。
    「犯罪者というのは、社会的に追いつめられてしまった弱者の代名詞なのではないか」――という一文に、ほんの少し前なら共感したかもしれない。でも『殺人犯はそこにいる』を読んでまもない今は、そう思えない。
    理不尽なことに塗りこめられてしまう...続きを読む
  • 誘拐
    事件の名称だけは知っていただけで読んだため、被害者の結末も犯人も分からない状態であり、まっさらの状態で読むと確かに犯人が犯人たりうるかは特定できない。疑わしきは罰せずであれば見逃してしまったのも仕方がないと思える。ただ、どう考えてみても初動捜査が悪い。本文中にもあるが、ここで番号でも控えていれば犯人...続きを読む
  • 誘拐
    東京オリンピックを翌年にひかえた1963年、東京の下町・入谷で起きた幼児誘拐、吉展ちゃん事件は、警察の失態による犯人取逃がしと被害者の死亡によって世間の注目を集めた。迷宮入りと思われながらも、刑事たちの執念により結着を見た。犯人を凶行に走らせた背景とは?貧困と高度成長が交錯する都会の片隅に生きた人間...続きを読む