悪魔の細菌 超多剤耐性菌から夫を救った科学者の戦い

悪魔の細菌 超多剤耐性菌から夫を救った科学者の戦い

か弱い細菌ごときの策略に引っかかるなんて、思ってもみなかった。
私は大陸を股にかけて殺人ウイルスを追跡し、AIDSに対する戦争を仕掛けてきた。ある時は戦いの最前線に立ち、ある時は世界規模での政策立案に携わる人々と議論のテーブルを囲みながら。そう、ウイルスは恐るべき存在だった。では、細菌は? 大した敵ではない。少なくとも、この細菌は恐れるに値しない相手のはずだった。
私は感染症を専門とする疫学者だ。アメリカの大きな大学で国際保健研究所の所長も務めている。他の誰でもなく私こそ、この細菌から自分の夫を守ることができてしかるべきだった。最後にこの細菌を見たのは、大学院に入る前の学部生時代のことだ。私たち学生は、研究室での初歩的な実験で、この細菌を気軽に扱っていた。いつの日か、この細菌の変異体がお前たちを死の淵に追いやり、お前はそのうち、殺し屋ウイルスの大群を注射して夫を救おうとする……。当時、誰かにそう言われていたら、私は相手の頭がおかしくなったのかと思っただろう。だが今、私たちはまさにその言葉通りの状況を迎えていた。 ――本書より

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悪魔の細菌 超多剤耐性菌から夫を救った科学者の戦い のユーザーレビュー

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    Posted by ブクログ 2022年08月19日

    夫婦愛に泣ける「悪魔の細菌」-超多剤耐性菌 VS ファージ

    「パターソン症例」(2016)という感染症分野で有名な症例があるらしいのですが、本書の共著者、トーマス・パターソン氏がまさにその「パターソン症例」その人です。

    パターソン氏は抗生物質が効かない超多剤耐性菌のひとつアシネトバクター・バウ...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2021年11月14日

    世界がウイルスで苦しんでいるが、この本は多剤耐性菌で死の淵を彷徨った夫を、細菌を殺すウイルス(ファージ療法)によって救った妻の物語

    まさに「敵の敵は味方」である
    人類はウイルスとも細菌とも共存していくしか道はないのかも

    ノンフィクションの面白さが凝縮した一冊

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