庶務省総務局KISS室 政策白書

はやせこう

2020年、世界を襲ったSARSインパクトにより国際社会は激変した。庶務省総務局、経済インテグレーション・サステナブル・ソリューション室、通称KISS室の島崎室長と部下の中村君は、地球温暖化問題や働き方改革など、他省庁をたらい回しにされた重要課題に対する、エレガントな政策提言に余念がない。「潜水型流氷カニ運搬計画」「残業パラダイムシフト」「国際原子時（TAI）連動景気対策」などなど、日本を救うショートショート15篇。

• カテゴリ: 小説・文芸
• ジャンル: SF・ファンタジー / SF（国内）
• 出版社: 早川書房
• 掲載誌・レーベル: ハヤカワ文庫JA
• ページ数: 224ページ
• 電子版発売日: 2021年02月26日
• コンテンツ形式: EPUB
• サイズ(目安): 1MB

[ブクログ · ★★★★★]

人を選ぶショートショートでシュールな連作モノ。
題名と裏表紙の説明で刺さる人には、たぶん刺さるんじゃないかな。

[ブクログ · ★★★★★]

庶務省総務局「経済インテグレート・サステナブル・ソリューション室」、通称KISS室。室長の島崎と部下の中村、2人だけの部署。各省庁から回された案件（国際会議の出席やGDP予測値の作成など、意外と重大）を捌いていくが、環境問題、働き方改革、プラごみ問題など時事ネタを扱っているのが面白い。仕事をしない阿呆なキャリア官僚・島崎の元、ボンボンでありながら、そつなくこなしていく中村の生み出す意表を突いたアイデアにニヤリ。2人の掛け合いがコメディタッチで、「この作家さんはこういうのも書くのか！」という新たな発見。次がどんな作品になるのか楽しみです。

[ブクログ · ★★★★☆]

面白かった！ユーモアと皮肉たっぷりのショートショートって感じかな。
サービス残業の新しい可能性をみた！

[ブクログ · ★★★★☆]

軽妙なやりとりでテンポよくブラックジョークを織り交ぜながらすかっと気分にさせてくれる現代＋近未来風ショートショート。とても楽しめた。
森博嗣の短編を思い出す雰囲気。

[ブクログ · ★★★★☆]

左遷された上司とその面倒を見るために配属されたと思われる職員の2人が国際問題への解決策を提示する。あり得ないんだけど、ハッとする記述もある。やりとりが好きで、どうしてもこの上司を嫌いになれないから不思議。

[ブクログ · ★★★☆☆]

なんとも皮肉の効いた、短編。なんとなくですが、星新一さんのショート・ショートみたいかも。

上司が血税を私利私欲のために使っている辺りが許せないし、主人公もカネモの事なかれ主義なので、所詮他人事なんですよね。国のためなんて口が裂けても言わなそうな感じ。なので上司の堂々たるサボリを黙認し、彼女の悪事のフォローまでしている辺りで、どうにもこうにも憤りを感じる訳ですが。実際もお上の元で働く官僚はこんな部署もあるのかなぁと思うと脱力感と厭世観がジワジワと湧きあがって来たり。

アホのようにお金を使ったアベノマスクもこんな感じで、冗談みたいなプレゼンが通って実施されたのかなぁなんて思うとさらにやるせなさ一頻りです…

[ブクログ · ★★★★☆]

――

　ひらがなはやせ。グリフォンズ・ガーデン生まれってことは実体は無いのか？　まさか…



　きっと誰もが目にしたことのある政治ニュースや社会問題を、なんとまぁお洒落に風刺している。裏書きに「エレガントな政策提言」とあるけれどほんとに貴族的で、一種天才的なのにダメキャリア官僚の室長と紛うことなき天才で実家が異常に太い一般職採用の中村くんのコンビはどちらも浮世離れしていて、真面目に不真面目を真面目に追求したような働きぶり。
　そんなふたりの繰り出す痛快な皮肉合戦が、各種トピックをさくさく軽快に切り裂いていくのが痛快であり、ところどころその皮肉が現実に反映されていてヒヤリともする。

　各篇室長の「中村くんさぁ……」から始まる感じも好き。だいたい厄介事って上司の「○○くんさぁ」から始まるよね確かに…

　力が抜けて、お手軽感もあってとてもよかったです。
☆３．６