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Posted by ブクログ
高校時代、田中芳樹さんの作品にのめり込み、読みあさりました。『創竜伝』、『銀河英雄伝説』、『アルスラーン戦記』、『アップフェルラント物語』、『風よ、万里を翔けよ』、『夏の魔術』シリーズ、『タイタニア』、『マヴァール年代記』、などなど。すべての作品が、魅力あふれる登場人物たち、手に汗にぎる冒険とミステリーに満ちていて、とにかく実におもしろいのです。
そして、本書もやっぱりおもしろかった!
舞台は19世紀ヴィクトリア朝のイギリス、クリミア戦争から帰還したエドモンド・ニーダムは、本の仕事をしたいという姪のメープルとともに、ミューザー良書倶楽部(セレクト・ライブラリー)で働くことになった。仕事に慣れてきたころ、ミューザー社長から〈世界の二大文豪〉チャールズ・ディケンズとハンス・クリスチァン・アンデルセンの世話をしに行ってほしいと依頼される。ディケンズは、このところ世を騒がせている、月蝕島(ルナ・イクリプス・アイランド)に漂着した、一隻の帆船が封じ込められている氷山を見に行くと言い出した。
本が大好きなメープルが、「本を読むということは、机の前にすわったまま、あるいはソファーに寝ころんだままで、時間と空間をこえて旅をすることなんです」と語るのですが、私はまさに本書でこれを体験しました。ほんっとに楽しいひとときでした。
「ヴィクトリア朝怪奇冒険譚(ヴィクトリアン・ホラー・アドベンチャー)」三部作の第一部であるこの作品には、実話がたくさん織り込まれており、イギリス史上の有名人がわんさか出てきます。フローレンス・ナイチンゲール、アルフレッド・テニスン、ウィルキー・コリンズ、ウィリアム・メイクピース・サッカレー、アンソニー・トロロープ、そしてディズレーリやグラッドストーンといった政治家も。こんな方々と会えちゃうなんて、読書ってすばらしい!
この作品は、主に児童書を扱う理論社から刊行されていた、ヤングアダルト向けのミステリー小説の叢書「ミステリーYA!」のうちの一冊として、2007年7月に刊行されたものです。その後、2011年7月に東京創元社から刊行され、それが今回(2020年11月)文庫化されたのでした。理論社版を持っていたはずなのですが、引っ越しのタイミングで手放してしまったのか見当たらなかったので、今、これが文庫で読めるのは本当にうれしい。東京創元社さま、心から、ありがとうございます。第二部、第三部の発売を、心待ちにしております!
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