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Posted by ブクログ
読み始めはオムニバス形式なのかな?と思ったのですが、関わるメインになっていく人物達をしっかりと立たせ、それぞれの持つ魅力と共にポジションを見せていきながら、『綿津岬』を舞台に溢れる謎と怪異、不思議な『喫茶ニライカナイ』の店主の真相を追っていく、その繋がっていくストーリーは没入感が心地よくて、先を早く読みたいと急ぎたくなるものでした。
読みやすい文章、登場人物と設定が読み進めていく内にするりと頭に入っていき、無理なく定着させてくれます。
個人的に「海に咀嚼されて」とかの表現が好き。
現代都市の中にありながら、自ら閉鎖された異空間に閉じ込もったかのような街。そこで起こる怪現象。余所者を区別するどこか不気味な住民達。異様な祭り。おぞましい存在。秘めたる多くの謎を持っている、喫茶ニライカナイの店主、浅葱。
全体的に漂うぬるりと纏わり覆われるような、負なる海と潮の匂いに浸されていくような感覚の作品。読んでいると空気が冷える。暑い筈なのに底冷えする、あの嫌な冷たさを感じさせられる文章。怪現象描写が一つ一つゾッとさせられます。何かよくわからない、不明確な存在感への描写が、謎を追い、浅葱を救わんとする雨宮さんと共にリンクさせられて、ヒヤッと感が何とも言えない怖さ。
最初は人の弱い心が具現化する街で、そのそれぞれの抱えていた心の問題を取り上げていたんですけれど(幽霊の正体見たり枯れ尾花みたいな)、そこからそもそもこの街はどうしてそんな?と、謎が膨らんでいき、それを追っていくと見えてきた街全体の不可解で不気味なもの、そして浅葱の存在は…といった1巻。
世にも奇妙な物語みたいなのかと思っていたら展開全然違ってきて、ゾクゾクしつつもワクワクもする高揚感に包まれました。
雰囲気と世界観の入りは難解でも複雑でも、分かりづらくもなくとてもお上手だなと思うのですが、ちょっとだけ気になった点と言えば車で襲われるシーン。街の不可解&不気味さで統一と思ってたら、現実的な襲い方が唐突にきたので「うん?」となりました。
まあ後ろから突き飛ばしもありましたけど、ストーリーがあそこまできて車という現代アイテムはちょっと作品雰囲気的に微妙な違和感みたいなのを覚えたり(偉そうですみません)。
でも人間じゃないわけでもないからその手段も普通にありか(どっちだよ)。
ニライカナイの言葉の意味からしてもわかるんですが、海、海、海、とにかく海が絡みつくように離れない作品。こちらの嗅覚まで潮風とぬるい海の水の匂いなどを植え付けられていくが如く、沁みついて離れてくれない。そこにマレビトやら鰓のようなもののついた胎児だとか、伝承のような不気味な儀式、街を牛耳る正体不明な一族の存在など、呪いのような現実離れの恐怖を醸し出している作中の雰囲気は噎せ返るように濃密。怖いけど惹かれ、読み進めてみたくなる。
また登場人物が魅力大。店主浅葱の美貌と秘められた儚さや悲しみを映す存在もさることながら、浅葱に救われた事で繋がっていく雨宮、一ノ瀬、日向がキャラがきちんと出来上がっていて、作品の中に存分に動き彩られてます。
特に雨宮の外見も中身もイケてるカッコ良さと、お調子ものっぽく抜けてる日向の緩和的存在は良い味。日向くんは読んでいくとドンドン三枚目感が出ていて好きです(笑)。
主人公、雨宮志朗さんはもう惚れてまうやろー!的なスペックの高さが出ていて、浅葱を救いたいと必死になるシーン、表情を変えない浅葱が雨宮に見せた感情とその願いを告げる切ないシーンは心刺さりまくりでした!
どうなるんだろう、どうなってるんだろう、何とかしてあげてほしいーっ!!
まだ1巻は謎だらけではあるんですが、未読の2巻がどうなるのか楽しみです。
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