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Posted by ブクログ
60年近く前の作品なので所々古さを感じるところはあるが今のミステリーファンにも耐えられる傑作だと思う。当時直木賞候補になっており、松本清張がその選評で人間が描かれてないという主旨の評を残している。この作品に限らずミステリー作品で度々こういった批評を目にすることがある。それほど謎解き、トリックと人物を同じバランスで描くのは難しいのだろうが、どちらも必要不可欠な要素なのだろう。実際、伏線を複雑に張り巡らせ、トリックのアイデアも斬新で豊富なのだが、技巧に走りすぎるあまり肝心の人間描写に深みが足りず惜しいなと思う作品がしばしばある。その点、この作品に関して言えば松本清張の言うこともわからないではないが、私はそれよりも終盤犯人の予想がついてしまい、真実が明らかになった時の驚きが今ひとつ弱かったことにやや不満が残った。それでも本田一郎が徐々に見えない犯人に追い詰められていく過程には引き込まれたし、60年近く経った今でも色褪せないミステリーの傑作の一つとして楽しんで読むことができた。
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