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本書はこれからレーザーの基礎を学ぼうという学生だけでなく,すでにレーザーを使用している技術者・研究者が,レーザーの実用的価値と物理的基礎との関係を理解するための入門書です。
本書は4つの章から構成されています。第1章では,レーザーが活用されている具体的な事例を紹介し,その活用例とレーザー光の特徴との関係を提示しています。第2章では,レーザー光の特徴である指向性,集束性,単色性,高速性について,主に波動光学に従って定式化して解説しています。第3章では,レーザー光の動作原理を,特に誘導放出による光増幅という観点から定式化して解説しています。第4章では,レーザー光の高いエネルギー密度という特徴によって容易に観測できるようになった非線形光学効果について,基本から概説しています。実用上きわめて重要な現象である非線形光学効果について,レーザーを使う技術者・研究者にぜひ知っておいていただきたい内容を厳選しています。定式化が増える部分ですが,基本となる考え方や物理的イメージが理解できるように説明を加えています。
本書は,「より少ない基本的な考え方で,いかに多くの現象が説明できるかということ自体を学んでもらう」ことを目的とし,レーザー光の最大の特徴である「可干渉性(コヒーレンス)」という概念に焦点を絞って,多くの現象を統一的に説明しています。類似の定式化と説明文で埋め尽くされているような印象を受ける読者もいるかもしれませんが,結果を端的に示すことよりも,その結果を導出するまでの前提と過程を本当に理解できるまでじっくり深く考えることができるように意図しました。
長きにわたり、手元に置いておける座右の書となるはずです。ぜひご一読ください。
【目次】
第1章 レーザー光の応用
1.1 計測への応用 1.2 加工への応用 1.3 情報通信分野での応用
1.4 基礎科学のツールとしての応用 1.5 実際のレーザー装置 1.6 レーザー光の特徴とコヒーレンス
第2章 レーザー光の性質
2.1 光の波の数学的な表し方 2.2 指向性 2.3 集束性
2.4 導波路 2.5 レーザー共振器 2.6 高速性
第3章 レーザーの原理
3.1 吸収と放出 3.2 正帰還と発振 3.3 レート方程式 3.4 レーザーのしきい値特性
3.5 レーザーの原理を理解する上での量子論の重要性
3.6 吸収と放出の量子論 3.7 モード同期パルスレーザー
第4章 媒質中の光の伝搬と非線形光学効果
4.1 非線形光学効果のあらまし 4.2 線形媒質中の光の伝搬
4.3 非線形媒質中での光の伝搬 4.4 電気感受率のテンソル表現
4.5 2次非線形光学効果と周波数変換 4.6 3次非線形光学効果とその応用
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