Posted by ブクログ
2020年12月22日
ミシュランのなんか賞を取った店のご自慢ディナーコースみたいな一冊。2020の個人的ベスト。有能な人が優れた手法で人生の多くを失ってまでの執念を持って結論を導き出した、あらゆる沖縄問題のバイブルになりうる一冊。社会問題系の本でありながら、暴露本に近い内容なので文春とかフライデーとかゴシップネタが大好き...続きを読むな女子大生が読んでも、本当にすっと内容が頭に入ってくる。
今後の具体的な策がないので結局何の解決にもならんなどと言う人いるのかもしれないけど、ここまで深く沖縄を掘り下げて問題の本質にスコップの先をカチンと当てた人が過去に1人でもいたのか?この本を世に出したことが社会の功績と言い切れる。是非ともなんか賞とって欲しいな。
・なんくるないさ〜で社会が回るのは、なんくるなくないことを絶対に許さない閉鎖的すぎる空気がそこにあるからってのは、鳥肌が立った。
・守られた経済ではお金の価値が低くなり、事業性よりも人間関係が、創造性よりも序列が、個性よりも協調性が経済合理的になる……うーん耳が痛い
・対症療法に反対する理由が存在しないことが最大の問題。麻酔みたいなもので根本の解決に至ることはない。むしろ体自体が痛みに無自覚になってしまう分、なおさらタチが悪い。
・目立つことを恐れて昇進を断ったり、真面目に仕事をしながら低賃金に甘んじたり、周りからどう思われるかを恐れて言うべき意見を控えたり、張り切る上司に無意識にサボタージュをしてみたり、派手だと思われそうな消費を控えたり、どんなに質が悪い物でも一言も文句を言わずに知り合いの店から買い続けたり、業界の序列を尊重して新規事業を控えたり、ここまで述べてきたすべての事例が、いずれも人を愛せない人の行動原理として説明できるように思われる(146項)
・人に対して関心を示すことと、人の関心に関心を示すことは全く異なる。人に対して関心を示すのは結局自分の関心ごとにすぎない。
まぁ沖縄に限らず農家もこうだわな。場所の移動に制限がかかって土地に縛られたらもうそうするしかない。限りなくマイナス方向の経済合理性。厳しい現実を突きつけられました。どうすりゃいいのかはわからん。けど見えないものにスポットライト当たっただけで大きな進歩でしょう。