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Posted by ブクログ
著者は横浜在住の作家。生まれは京都府だが、成人して後、横浜に住み、横浜を舞台にした小説(『花園の迷宮』)で江戸川乱歩賞をとっている。横浜を描くノンフィクションの著作(『天使はブルースを歌う』)もある。
本作は、戦後の横浜の光と影を追うノンフィクション。
港、ヨコハマ。
外国の人や文化が多く流入し、華やかな顔もある反面、その反動のように、陰もある。
横浜では維新の頃から外国人への遊女の斡旋があった。
敗戦後には特殊慰安施設協会(RAA:Recreation & Amusement Association)の施設が横浜にも設けられた。名前からはいささかわかりにくいが、「占領軍から善良な婦女子の貞操を護るため」、つまり占領軍兵の性のはけ口をあてがうための施設である。
男女の交流があれば、ときには子供が生まれる。だが、そうして生まれた子供たちは、当然、見た目も違う。「混血」と呼ばれ、ひどい差別に遭うこともある。それ以前に、水子とされてしまった例も多いという。
一方で、こうした混血児たちの支援に力を尽くした人もいた。
時代が下り、「ハーフ・ブーム」に乗って、恵まれた容姿や芸術的才能を武器にして、華やかな青春を謳歌したものもいた。
港に集まってきたものは、アメリカ人兵士ばかりではない。
横浜は日本で最大級の中華街を擁する街でもある。韓国系・北朝鮮系の人も多い。
繁華街の暗闇には、麻薬取引や売春もはびこる。
かつて黄金町に存在した「ちょんの間」には、女性1人では近づきにくい雰囲気があったというが、著者はこうしたところで働く女性たちにも取材している。
この地は、かつてヒロポンと呼ばれた覚醒剤のメッカでもあった。ここを流れる大岡川には、使い古しの注射器が投げ捨てられるばかりか、ふらふらになった中毒者が落ちてくることすらあったという。
GIベビーたちが密かに埋葬されたという根岸外国人墓地。
三菱財閥出身の篤志家で、混血児たちのための養護施設を作った澤田美喜。
故国での争いの余波で、台湾派と大陸派に分裂したが、また1つになろうとしている中華街。
「ちょんの間」の老娼婦。そしてヒロポンのかつての売人。
著者はさまざまな地を訪れ、さまざまな人に話を聞く。
その中から立ち上がってくる横浜の複雑な横顔。
光がまばゆければまばゆいほど、闇もまた深い。
魔を秘めた港・ヨコハマのポートレートである。
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