日本の国益 (講談社現代新書)
by 小原雅博
世界には約二〇〇の国家が存在する(国連加盟国は一九三ヵ国)。そして、これらの国すべてに国益がある。それらの国益は互いに一致したり、対立したり、その関係は複雑である。たとえば、「朝鮮半島の非核化」は周辺諸国を始めとする国際社会にとって共通の利益である。だからこそ、この言葉は、六者会合の共同声明や国連安保理決議の中に盛り込まれた。また、気候変動に関するパリ協定は中国やアメリカも加わって採択された(トランプ政権下で脱退)。この協定には一九六ヵ国が参加しており、国際社会のほぼすべての国家の利益が共有されたと言える。他方、東シナ海や南シナ海では、海洋権益や領有権をめぐって激しい対立があり、国益が衝突している。