北陸の勝野市、田園地帯の集落で火葬場から老夫婦の焼死体が見つかる。警察は老老介護の末の心中と結論付ける。事件から半年後、東京で週刊誌記者をしている伊能は取材ため勝野市を訪れる。近隣住民の口は重く難航する取材のなか伊能は、地域の雑貨屋の駐車場に残る濃いタイヤ痕、焼死した夫婦が事件の半年前に車を買い替えたこと、挙動不審な小学生という三つの『不自然』に気付く。それは事件の深淵へ至る第一歩であった。
Posted by ブクログ 2019年12月16日
老老介護に疲れた夫婦の無理心中で処理された事件を取材するため、限界集落にとんだ記者が見たものとは。
誰かが言っているが、たしかにファンタジーでありフィクションである。本人、または身近に介護者や被介護者がいる者が汚い面を全く描いてない、美化していると憤慨するのも理解はできるが、この作者と作品に関して...続きを読む
Posted by ブクログ 2016年07月30日
老老介護の末の覚悟の焼身自殺・・・という事件を取材に限界集落を訪れた若い記者は、その背後に隠された真実を知ることになる。一種のミステリー。小説ならば長編ではなく短編になるだろう。介護の現場、虐待、そして良くも悪くもそれに対応するムラ意識などが描かれる。丁寧なつくりの佳作であるが、自死のありかたがテー...続きを読む
Posted by ブクログ 2016年10月16日
ネット広告が気になって電子書籍で珍しく購入。
夫婦が火葬場で音楽を流しながら心中していたという実際に起きた事件をもとに、筆者がバックストーリーを膨らませていったという作品。
夫婦が心中へと向かっていく過程が丁寧に描かれている。独特のコントラストの濃いイラスト、夫婦の優しい表情などの描かれ方が温かい...続きを読む
Posted by ブクログ 2016年07月30日
老夫婦が焼身自殺をする話なんだが、夫婦がずっと穏やかに思い合って、死ぬ瞬間まで、互いを思いやっているのが深い。これはこれで幸せな最期だった、と真相を追いかける記者が呟くが、確かにそう。
老老介護の果てに、と世間は言うのだが、繰り広げられる光景に、奥さんは確かに認知症と糖尿病と、足が悪くなって歩けな...続きを読む
Posted by ブクログ 2017年07月19日
アイディアは悪くないけれど、結局人を殺めた罪悪感の果てに、ふたりだけの世界に閉じこもって自死を選ぶ、という感じがちょっと好きじゃないな、と思った。裁かれていないんですよね。善人と悪人、という恣意的な概念がある物語だと思う。地獄の業火をモチーフにしているのは、その中でいえば、すこし救いだ。/なので満足...続きを読む
Posted by ブクログ 2017年04月25日
ある村で夫婦が自死を選んだらしい。老々介護の果て、焼身自殺、などなどニュースでバッと放映され、世間的には焼身自殺と言うことで話題にはなれど、それらはすぐに風化する。
しかしある一人の記者が、上司の命令ということもあるけれどその自死について踏み込まなければならなくなった。
そこでその自死について...続きを読む