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根源なる「歌」をもとめて。現代日本を代表する詩人が語る魂の軌跡!戦時下に多感な幼年期を過ごした「非常時の子供」が、傷を抱いたまま詩人となるまで。詩壇へのデビュー。アメリカ、ブラジルなどの海外体験。内外の芸術家、哲学者、小説家たちとの交流。そして、言葉の限界を極限まで突き詰めた詩作活動の根源に至るまで。世界的評価も高い現代日本最高の詩人が、自ら内面の軌跡を縦横無尽に語り尽くした驚きの「詩的自伝」!!
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Posted by ブクログ
吉増剛造を知らなかったことを後悔した。 こんな自伝は空前絶後だ。 言葉を求める詩人の呻くような自伝であり、 ブラジル人の夫人に出会わなければ自死していたであろう男の極限の叫びが響き渡る。 詩人というのは、魂の表現者なのだ。 心の底、海の底、夢の底まで潜り、始原としての言葉を紡ぎ出し、それを表現(読...続きを読むみ、叫び、叩き、色彩)するのだ。 彼の、哲学者と共振する姿が凄い。 哲学書を読むことの本質を教えてくれる。 知性ではなく、心(魂)で触れること。 哲学者が望むのは、こうした魂の伝達なのかもしれない。 キュルケゴール、ニーチェ、ハイデガーそしてヘーゲルとの魂の共振を楽しむ。 吉本隆明の読み方に至っては、筆写し、仮名書にし、そこから霊感を得る、という。 (この自伝を読んで、難解な本は筆写することにした。それを「写経」と読んでいる。しばらく、「写経」していると著者の魂が憑依してくるのか、次にどう展開するか分かるようになってくる) ブラジル人の夫人マリリア、島尾ミホ、荒木陽子という女性性、巫女性の根元に触れることで、この魂の表現者は、益荒男からメタモルフォーゼする。
すごくおちゃめな人。根底に流れているのが人間肯定の気持ちだから、この人の詩は心に明るく残りつづけるのだと思う。
借りたもの。 詩人・吉増剛造氏が語る、自身の半生と、生まれた詩作が織り成す本。 大戦が始まり、敗戦と戦後復興の空気を生々しく語っている。時代の暗い雰囲気が自身の創作(変人気質の性格?生きづらさの正体?)の根幹にあることを強調する。 それを払拭するかのように?欧米の文化――聖書体験と洗礼が節目として語...続きを読むられ、そこから得たインスピレーションが、暗い雰囲気に紅一点のような、花を添えたのかも知れない。 ナルシズムと思える、自身の根暗な部分?を気取って語り、酒と女と声へのフェティシズムを惜しげも無く詩と言葉で語る。(アーティストとは皆そういう者なのかもしれない……) インターネットの網・その弱い繋がりの無い時代、精力的に人と関わる詩人や周りの人々の活力に圧倒された。今を生きている私には未だ得られていない感覚だった。 詩というもの―― 言葉から得られる音・響きと表記の形状が織り成す象徴的・抽象的な世界は、詩人の個人的な体験と、それに触れた人々が想起する、集合的無意識のようなものかもしれない。
大学で教わっている先生いわく、マラルメ以来の狂人という吉増剛造の語り下ろし自伝。戦中の体験、非常時の思考から現在の破格の活動の謎に至るまで語り尽くす。しかし、語っていることを読んでも理解し尽くせないというのがまた計り知れないんだよなぁ。
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