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【悲報】日本人、恋愛もガラパゴス化していた?! ――西欧の恋愛制度が確立していく歴史を追うとともに、それが日本に輸入され、いかに変質したのかを、気鋭のプルースト研究者が軽妙な筆致で綴る。 古代ギリシャ、古代ローマの恋愛/キリスト教と恋愛/中世宮廷恋愛/ロマンティックラブとは?/明治期から大正期にかけて――日本における「恋愛」の輸入/西欧における恋愛肯定論と否定論、精神分析のヴィジョン/現代日本の恋愛
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Posted by ブクログ
愛とは何か?著者によれば、仏教的にもキリスト教的にも、そこから生まれたロマン主義的にも束縛。その束縛からいかに逃れるのか、考えさせられるた。日本のキャラ論については、まだ消化不良。
今の日本の恋愛制度がいかに西欧の過去の恋愛観に影響され、そのごった煮になっているかということを歴史的に辿った本。 「ロマンティックラブ」「浮気はいけない」「レディーファースト」といった概念は江戸時代までの日本では見られず、明治以降に西欧から輸入された中世宮廷恋愛やロマン主義的な価値観に影響されたも...続きを読むのだ。 それまでの日本は「農村では盆踊りで乱交」「夜這いでできた誰の子かわからん」「できた子どもを村のみんなで育てる」「村にはおばさんが性の指南役をしていて、若者の筆下ろしを手伝う習慣がある」みたいなことが当たり前で、明治以降の文明開花によって「なんて野蛮な。なんて恥ずかしい。これはヨーロッパの人たちにはお見せできない。日本の劣った文化、風習である」と考えるようになったらしい。 こうしたヨーロッパ・コンプレックスの裏返しとして、当時の知識人たちは恋愛宗教の信者になったふりをしていったのだが、古代ギリシャ時代から2000年以上の年月をかけて築かれたヨーロッパ流の恋愛制度をすぐに昇華できるわけもなく…. ーーーーーーー一以下、抜書きーーーーーーーー . 西欧には西欧の歴史があって「恋愛」というものがあるのに、日本はそんな歴史を無視して、西欧の恋愛をごちゃっと輸入してしまった、というのが本書の主張の一つです。 . つまり、日本語に、「ジュ・トゥ・エム(続けて発音し『ジュテーム』となる)」に対応する表現はないと言っていいでしょう。「ジュ・トゥ・エム」は「愛してる」とは訳せない。後に見るように、明治、大正期の知識人は、これが訳せなくて苦しんだわけですが、今でも事情は大して変わっていません。言い換えれば、「ジュテーム(私はあなたを愛してる)」が表現するような「フランス的愛」、さらにはヨーロッパにおける「愛」と、日本における「愛」とは、言葉の用法が違い、使う場面が違うので、必然的にその意味もどこか違ってくる、ということになります。 . 日本人は外来のものが好きで、特に知識人は文化先進国の思想を輸入して、権威づけに利用する、ということをもう 1000年以上続けています。そのように輸入された思想、概念は、古来日本的なものとあまり相性が良くないのですが、日本という文化空間は不思議なもので、それらがあまり反発し合うことなく、自然に同居してしまうのです。 . そんなジェンダー論、クイア論が好んで参照するのが古代ギリシャの愛です。なぜかというと、古代ギリシャでは、愛の形が今とはだいぶ違っていて、現代の人はみんなびっくりするからです。 先回りして言ってしまうと、古代ギリシャのある地域では、立派な成人男性は今でいう「ゲイ」でなければいけませんでした。立派な少年は立派な大人と寝るのが普通だったんですね。そして、大人になれば少年を愛するのが普通だった。立派な男だった。男とはそうあるべきだった。そんな歴史があります。 . 古代ギリシャでは花の代わりに鶏だったんですね。鶏をあげるのは、告白の一般的な形式で、お目当ての少年を口説く時にはよくある贈り物だったのです。 . ローマ研究の権威、ポール・ヴェーヌなどは、ローマ人の「強姦力」なんて言い方をしています。経済力で男の価値を測る、という基準が現在のジェンダーにはありますが、経済力の代わりに「強姦力」だったわけです。 . ヨーロッパにあって、この性的快楽の追求が罪である、という考え方は長らく続く習慣で、長い歴史を通して彼らにとっての「自然な」考え方になっていきました。これは、キリスト教でいきなり出てきたわけではなく、古代ギリシャから、ストア主義の考え方、グノーシス主義、などを経て、キリスト教で総括され、長い間人々の考え方の基礎となった、と言われています。 . 中世宮廷恋愛からは、女性のワガママを聞いてあげてこそ立派な男、というジェンダー観が立ち上がります。逆に女性は、命を賭けて自分の欲望を満たしてくれる男、「本当に」私を愛してくれる男を見つけてこそ、立派な女である、という価値観が持ち上がります。こうして生まれたのが、レディファーストの伝統です。 . 19世紀のロマン主義の出現とともに、恋愛が理性の側から狂気の、情熱恋愛の方にシフトします。そのような経緯から、恋愛に情熱的で狂気に陥るくらいのすごい価値が付与されて、恋愛至上主義が生まれていきます。 . イデア論やギリシャ、ローマ神話、キリスト教の神の次元、そんなものが一体となり、革命を経たロマン主義によって、こうした「崇高さ」ができあがります。この「崇高なもの」ですが、実は当時の日本人にはさっぱりわかりませんでした。 . 性愛のパワーは、とにかくものすごいので、それをコントロールする枠は必要でしょう。だからこそ恋愛の制度は必要だともいえます。同時に、恋愛制度の歴史を見ることは、なんらかの制度から解放の可能性にもつながるはずです。
ロマンティックラブの成立から日本への入り込みの節が白眉。現代日本恋愛の解釈がキャラ論のみで手薄なのがマイナス。熱海のゲストハウスで出会った恋愛カウンセラーのお兄さんの良いオススメ。
読みやすく面白い
日本が恋愛を取り入れるまでの流れが詳しく書かれている。 話し言葉で読みやすい。
「恋愛」に制度!? 現代を生きる自分には、正直ピンとこないタイトル。 古代ギリシャから現代日本に至るまで、「〜だと思わなくちゃいけない」という 心理的束縛が存在し、恋愛の制度化という罠が常にあることに対して著者は警報を鳴らしている。 "正しい"「恋愛」は、人生を豊かにするう...続きを読むえで欠かせないドラマ。 恋愛感の歴史的展開やヨーロッパと日本の比較から、自分なりの「恋愛」の答えを再確認してみては?
恋愛・セックスの文学史。ってな感じ。類書がないのでとてもえらい。 まあこうなるだろうな、っていう並び。オウィディウスやカペラーヌスの内容とか新書レベルで紹介してるのははじめてちゃうかな。どれくらい本気なのかわからんけど、がんばってほしい。小谷野先生とかに対してはリファレンスするべきじゃないかな...続きを読む。文献リストは項目ごとの脚注みたいな形で、リストはなくて見通しがわるい。でもこれでかなりこの分野の理解が進むね。偉い。 検討中。うしろの方はすこし問題があるように思う。 というか、なんでもかんでも「似たようなもの」になってしまう。それでいいのだろうか。
最近ジェンダーや環境の性格形成への影響、その時代変化など知りたいと思ってたので、恋愛制度の変化というより、価値観の違いに興味をもって読んだ。図書室で発掘。 やはり時代、場所によって恋愛、また結婚の制度は様々であり、その「型」にはまって人間は生きている。 恋愛=結婚ではないし、恋愛に肉体的欲望を結び...続きを読むつけなかったり、過去に同性愛が推奨されたりした世界もあった。 戦国時代なのか、貴族社会なのか、政策によって求められる人々の考え方は変わる。 私の価値観は今私が生きている現代日本の「型」である。 他の時代や国の価値観を否定しても、それは自分がその世界に生きていたら当たり前の価値観である。 身近な人々の感覚さえ分からないことがあるのに、その国、時代の人々の感覚は言葉で説明することは難しい。 倫理の教科書で理解出来なかった、恋愛は自分が幼い時の親のイメージを追い求めてするものというフロイトの考えがわかったし、納得した。 これからの恋愛がどうなっていくのかワクワクする。 もしかしたら 結婚制度が無くなるかもしれない。 浮気がいけないことでなくなるかもしれない。 自分の生きる世界の当たり前を、自分を正当化する理由にすることは正しいのか。 相手の価値観とのすり合わせが大切。
日本の「恋愛」は欧米のそれとは異質なものである。欧米恋愛観は歴史の変遷に伴って変化し、今の形があるのに、日本はその土壌を無視して輸入してしまった。らしい。 人を愛する気持ちは人類共通だと思っていたので、恋愛の枠組みさえ文化に決定されているというのは非常に衝撃的だった。
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恋愛制度、束縛の2500年史~古代ギリシャ・ローマから現代日本まで~
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鈴木隆美
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