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1915年12月北海道苫前村。開拓地を襲い、死者8名を出した巨羆。熊害史上世界にも例を見ないこの惨劇の戦慄のドキュメント。
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Posted by ブクログ
吉村昭さんの「羆嵐」を読んだ時には凄~く恐い((( ;゚Д゚)))と思ったけれど、ドキュメントになると、そんなに恐くは感じなかった(・_・?)事件より寧ろ事件前の不思議な事象(虫の知らせ?)が恐ろしかった(´・(ェ)・`)
家の壁からぬっとヒグマが顔を出す。「今晩は。お腹が空いたので あなたを食べてもいいですか?」「いいえ、私は餌ではありません」 「でも、お腹が空いていて我慢が出来ないんです。カプッ」 こんな悠長な展開ではない。でも、突然、家に乱入して来たヒグマ に噛みつかれるどころか食われるって。ギャー。 事件が...続きを読む起こったのは大正4年(1915年)12月。場所は北海道の開拓 地である苫前村六線沢。死者8人を出した日本史上最悪の獣害事件。 この事件を題材にしたのが吉村昭『羆嵐』なのだが、元々の資料は 本書の著者が記した『獣害史上最大の惨劇苫前羆事件』である。 林務官として営林所に勤務する傍ら、事件当時の生存者や関係者を 訪ねて証言を集め、昭和39年に旭川営林局誌上に掲載された。 怖いです。ヒグマの執念深さがとことん怖い。一度襲った家に3度も 来ているんだもの。しかも、最初の犠牲者の通夜の晩に「食べ残し 忘れてた」って戻って来るんだもの。 大正時代の事件なので今より遥かに伝達方法も少ないし、情報も 混乱していた。当時の新聞の見出しなども掲載されているのだが、 犠牲者の人数や襲撃の模様などは誤報だらけ。 そして、「クマは火を怖がる」等の言い伝えを信じいたのも、被害が 拡大した原因でもあるんだね。 福岡大学のワンダーフォーゲル部が日高山脈でヒグマに執拗に 追い回された事件も怖かったけど、この苫前の事件も野生動物の 持つ怖さを教えている。 可愛いだけじゃやってられないんだよね、動物って。それにしても、 生きたままクマさんに齧られるのは嫌だぞ。せめて、息の根を止め てからにしてくれないだろうか。 いかんっ!妄想が暴走しそうだ。朝、家のドアを開けたらヒグマが いたらどうしよう。怖いよ~。美味しくないから食べないでね~。
日本最大の獣害事件と言われる、1915年に北海道苫前村六線沢の開拓小村で起こった「三毛別羆事件」。わずか数日間の間に死者8名を出し、人々を恐怖のどん底に叩き落とした恐ろしい事件である。 が、実は、その詳細が公の場で発表された形跡は極めて少ない。当時、いくつかの新聞がニュースとしてこの事件に言及した...続きを読むが、曖昧な部分が多くあまりハッキリしていない。その後、この事件をもとにした吉村昭の『羆嵐』がメジャーになってしまったため、人々の印象は次第にその小説の内容に移ってしまい、オリジナルとしての事件の詳細はより一層茫漠としたものになってしまった。 この本は、昭和36年に林務官として事件地に赴任した著者が、事件当時の資料を丁寧に調べ、存命者にインタビューを行い、可能な限り正確さを求めてまとめあげた一大ルポである。実際に現地に赴いて跡地を確認し、写真も撮り、地図上で家屋の位置を示したりと、かなり綿密に調査が行われていることが分かる。(とは言え、著者がこの調査を始めた時点で事件後46年が経過しており、存命者が多く残っていたことは幸いではあるものの、もう少し早くにこのようなルポが生まれていてくれればと思わずにはいられない。) 小説ではないので、具体的な事実を列挙していく形式だ。だが、そこが良い。無駄な装飾がないので、良くも悪くも恐ろしい事実が淡々と読み手に伝わってくる。また、起こった出来事から分かる特徴というか、反省点についても筆者の視点で指摘してくれているので、北海道の風土に馴染みが薄い読者でも考えを巡らしてなるほどと後追いすることができる。 読み終わった後は、ついつい、いまこの部屋に件の羆が入ってきたらどう逃げよう、などと、無意識のうちにシュミレーションをしてしまう自分がいた。それほどにインパクトの大きい一冊である。
1915年12月北海道苫前村。俗に『三毛別事件』と呼ばれるヒグマによる食害事件のを記録したドキュメンタリーです。開拓地を襲い、死者8名を出した巨羆の恐ろしさが存分に描かれていて、残酷な場面が多いです。 実を言うと、北海道では札幌の都市圏でも郊外に行くと時々熊が出没したと言うニュースがローカルのニ...続きを読むュース番組で時々流れることがあります。僕も先日、別な用事があって博物館に行った際、そこに展示されているヒグマの剥製を見る機会があったので、いい機会だからとじっくり見てみることにしました。 そこにあるのはまさに動物の世界の『王』にふさわしい存在で、その巨大な体躯に始まって、大きな爪や最大の武器である前脚の爪の一本一本が鋭利な刃物のようで、それが片方の手につき5本。これで思い切り振り回されたらスパッと行くんだろうなぁ、と思いながらしばらくの間その剥製をまじまじと眺めておりました。 本書は「ヒグマによる史上最大の食害事件」と後に記録されることによる1915年12月北海道苫前村で起こった『三毛別事件』の発生から収束までの様子を克明に記録したドキュメンタリーです。僕は以前この本を読んだまましばらく放って置いて、今回再読でこれを読みましたが、いやはや…正直ここに挙げておいてこういうことを書くのはなんなんですけれど、残酷な描写がかなり多いのでそちらの方面が苦手だと言う方は読むことを控えられた方がよろしいのではないかと思われます。 それにしても読み返して思ったことは熊の持つ残虐性と獲物に対する執拗なまでの執着を見せる姿でした。隠しておいた『獲物』を村の人びとが回収して葬式をしているところに押し入って奪い返しに来るところを見ると、つくづくそう思います。さらに、一度人間の味を覚えた熊というのは次々と人間を襲うので、なにが何でも見つけ出して討ち取らなければならないらしいのですが、本当にそう思います。 やがて、この熊を仕留めるために『プロ』が立ち上がって仕留めにかかります。そのときの描写は本当に淡々と事実を書いておりますが、しとめた魔獣を郷に下ろしてきたときに恨みを持った人びとが熊を滅多打ちにしたり、中には肛門に棒を差し込んだりしたものもいたそうで、愛するものを突然うばわれたものの憎しみが伝わってくるようでございました。 熊を解体する際に、胃の中から出てきたものは喰らった人間の『名残』とも言うべきもので、それが次々と村人たちの『予言』どおりに出てくる場面が本当に生々しかったことをここに付け加えておきます。 僕は現地に行ったことはありませんが、今でも現場に葉そのときの悲劇を忘れないために、熊が民家に押し入っていく場面や、事件の被害者を悼むための石碑が建立されているようで、機会があればぜひ、一度足を運んでみたいと思っております。
三毛別羆事件のノンフィクション。 自身も学生時の実習で起きた熊害事件で友人を失う体験をもつ著者。 三毛別羆事件の調査には生存者や遺族、関係者へのインタビューと僅かばかりの新聞資料を求め4年以上を費やしたという。 非力な農作民たちが身の丈2.7メートルに及ぶ巨大な羆に突如襲撃され一方的に繰り返し蹂躙...続きを読むされる凄惨な描写はただただ恐ろしく、身の毛がよだつ。 随所に挿入された現地の地図や生存者の写真、家屋の見取り図は事件の現実味と読者の想像を一層膨らませる。 本作の元となる「獣害史最大の惨劇苫前羆事件」が木村氏により発表されたのは事件発生から50年を経た昭和39年。 三毛別羆事件はようやく注目を浴び、小説化されドラマラジオ演劇化されて大衆に広く知られるようになり、また現地に資料館が建ち観光地となり今日に至るまで事件や羆の恐ろしさを伝聞する切欠となった。 木村氏が三毛別羆事件を調査し発表していなければ事件は風化し忘れ去られていたかもしれず、その功績に敬意を表したい。
およそ100年前の日本で本当にあったヒグマ食害事件のノンフィクション。エゾヒグマ百科の著者が執念で調べた三毛別羆事件。 事件生存者や当時を知る人の生々しい声。 吉村 昭が「羆嵐」の参考資料にしている。
小説より怖い事実を検証 小説"羆嵐"でも有名な三毛別事件の検証本。事実であることを色々な資料、聞き取りを並べ、再確認する構成になっている。小説は怖がらせるが、こちらは怖くなる。 人間の方が野生より怖いが、野生が怖いのは結構大事なことだと思う。
1915年、小さな開拓村をヒグマが襲った。その被害はどんどん拡大し、死体はあさられ、村人はクマの食料として殺害される。
1915年、北海道苫前にて熊が農家を次々と襲い、7名が死亡した事件ルポ。著者は北海道の林務官に勤めながら、事件現場や被害者、遺族を取材し、本書にまとめた。 正直、著者はアマチュアの物書きなので、文章力、構成力、取材力はイマイチ。事件の悲惨さ、熊の恐ろしさがあまり伝わらない。熊に襲われた一家はどのよ...続きを読むうな生活だったのか、討伐隊員にどのような者が含まれていたのか、プロのライターならもっと突っ込んでいくであろう、事件背景への取材が物足りない。吉村昭の小説「熊嵐」を読み、事件の真実をもっと知りたくなった読者向けだ。 電気も電話も車もない時代、熊討伐隊がいかに切羽詰っていたことを示すエピソードに、殺された遺体を民家に放置して熊をおびき寄せる作戦があった。もちろん、この作戦には遺族の承諾をもらっている。人間対獣の争いには、ルールはない。殺るか殺られるか、ただそれだけ。
資料用① 熱意ゆえ、事件のことを資料付きでことこまかに語ってくれたのは嬉しかった。ただ、期待よりはうすっぺらい気がしちゃったかな。
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木村盛武
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