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殺人鬼の母親を告発した少女ミリーは、里親のもとで新たな生活を送ることになったが……少女の葛藤を描く異色の青春×法廷ミステリ。
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Posted by ブクログ
イギリスの作家「アリ・ランド」の長篇ミステリ作品『善いミリー、悪いアニー(原題:GOOD ME BAD ME)』を読みました。 「P・D・ジェイムズ」に続き、イギリス作家の作品です。 -----story------------- 連続殺人犯「ルース・トンプスン」が逮捕されたのは、その実娘「アニー...続きを読む」が警察に密告したからだった。 臨床心理士の「マイク」の家に里子として引き取られた「アニー」は「ミリー」という名前で素性を隠し、新たな人生を歩むことに。 だが、「ミリー」の精神に「ルース」が落とした影は色濃く、さらに里親の娘に疎まれたことで転入先の学校でも孤立を深めていく。 そして事件の裁判で彼女は母親との過去と向き合うことになり……。 殺人鬼の娘の心理に極限まで追る破格の心理スリラー ----------------------- 2017年(平成29年)に発表された「アリ・ランド」のデビュー作です、、、 殺人鬼の母親から虐げられて育った15歳の少女「アニー」の一人称で語られるずっしりと思い心理スリラーですが、リーガル・サスペンスとしての一面も持ち合わせており、母子の心理戦や駆け引きも含め、じっくりと愉しめる一冊に仕上がっていましたね。 15歳の少女「アニー」は実の母親「ルース・トンプソン」を警察に告発した… 小さな子供ばかり9人を殺害した罪で―― その後「アニー」は「ミリー」と名前を変え、ロンドンに住む臨床心理士「マイク・ニューモント」が里親となり引き取られます… その娘「フィービ」は「ミリー」と同い年だが、何も事情を知らされておらず、突然自宅にやってきた邪魔者の「ミリー」を疎んじ、嫌悪の念を隠さない、、、 「マイク」の妻「サスキア」は退屈な生活に倦み、また思春期の「フィービ」とうまく付き合えず、母娘のぎくしゃくした関係が一家に重苦しい影を落としており、「ミリー」は新たな生活に馴染もうと懸命に努力するが、事はそう簡単には運ばず、学校では転入生として手荒な洗礼を受け、家では「フィービ」に敵視され、どんなに自分を抑えても家族に一員にはなれない… そのうえ過去が「ミリー」につきまとい、夜になると、母親の幻影のみならず、守ってあげられなかった小さな者たちの亡霊にも苦しめられる。 何より母親の“悪い”遺伝子が自分に受け継がれているのではないか… と「ミリー」はつねに怯えて生きていかなくてはならない、、、 やがて母親の裁判が近づき、「ミリー」は母親を裁く法廷に証人として出廷することを決意する… 法廷では弁護側と検察側の思惑が入り乱れ、そこで彼女は母親との過去に向き合うことになる。 15年のあいだ、殺人鬼の母親とどんなふうに暮らしてきたのか、母は娘にどのような躾をし、娘をどう変えたのか、母娘の秘密とは? 果たして新しい暮らしのなかで、「ミリー」は自分の居場所を見つけられるのか―― 凄絶な生活を強いられてきたはずの「ミリー」だったが、母親のことを“あなた“と呼んで恋しく思ってしまう… 相反する感情が同居する「ミリー」の心理が巧く描かれていまいしたね、、、 「ミリー」は新しく生まれ変わって“善い自分“になるべく葛藤しますが、凄絶な過去を経てきた彼女は周囲の人間を内心で蔑み、自身に向けられる悪意にさえもどこか醒めて受け留めるが、人間関係からまったく影響を受けないほどに超然とは振舞えない… 善と悪との境界で揺れ動く「ミリー」の不安定な心理を追う文体に、どんどん引き込まれていきました。 本作品の魅力のひとつは、生き抜こうとする子供のしたたかさが描かれているところだと感じましたね… 邪悪さと純粋さをあわせ持つ矛盾した人間の性が浮き彫りにされます、、、 そして、連続殺人事件の最後の被害者「ダニエル・キャリントン」の死に関する真相と、「ニューモント家」における悲惨な事件の真相… まっ、ある程度、想定内ではありましたが、最後まで愉しませてもらえましたね。面白かったです。 以下、主な登場人物です。 「ミリー(アニー)」 ニューモント家が引き取った里子 「ルース・トンプソン」 ミリーの実母。連続監禁殺人犯 「マイク・ニューモント」 臨床心理士 「サスキア」 マイクの妻 「フィービ」 マイクの娘 「イジー」 フィービの友人 「クロンディーン」 フィービの友人 「モーガン」 ニューモント家の近隣に住む少女 「ジョー」 ブルックミア・カレッジ校の生徒 「ジューン」 証人担当官 「ケンプ(MK)」 ウェザーブリッジ校の教師 「ダニエル・キャリントン」 連続殺人の犠牲者
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