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恐ろしいほどツイている伝説の女・「幸運の女神」は恐ろしくバカだった――! 世界一運が良く、運の良さだけで世界中の戦争を終わらせてきた女・「幸運の女神」。彼女の残る願いは「全人類を幸せにする事」。しかし、そんな彼女に驚きの報せが!! それは「今日中に月が地球に落ちてくる」というとんでもない情報で!? 幸運の女神VS疫病神!! 70億人VS2人!! 世界の明日を賭けたノンストップ・異能力バトル!!
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Posted by ブクログ
殿堂入りしてくれそうな匂いが、(1)の時点で既にプンプンとしています 好きですねぇ、私、この手のスケールがデカい話 多くの漫画の中で、何度も地球は滅んでいるけど、やっぱ、その理由の中でも一番にインパクトがあるのは、月が落ちてくる、だと私は思いますね 表紙を見ても分かると思いますが、絵が少し、クドいで...続きを読むす。この時点で、読もうか、と迷ってしまう人はいたでしょう。けど、いざ、中身を読んでみると、ストーリーが骨太で、なおかつ、肉もそこにしっかりくっついているので、絵柄がこれくらい、ギットリめでないと支えられない、と判りました ざっくり、内容を説明すると、一人の少女が地球と人類を救おうと本気で足掻く話ですかね そんな目標を持って行動するだけあって、このヒロインは普通の一般人じゃない。理屈じゃ説明できない、リアルに神がかった幸運に愛され、なおかつ、最良の事態を引き起こしてしまえる性質持ちであります しかし、能力が起因しているのかは定かじゃないんですが、性格に少し難ありですね、女神様は 使い古された言い方ですけど、純粋すぎる善人は極悪人より迷惑、って感じです。身も蓋もなく、希望も絶望も押しなべた言い方をしますと、ハッキリ言って、世界平和やら人類全員が平等に幸せになるなんて、どだい、無理ですわ。この世に「絶対、ありえない」ってコトはないにしろ、世界中の人間を全て救済するなんて、今日びの小学生だって不可能だ、と知っています。もし、仮に、それを実現できる方法があるとしても、それを実行に移したら、そいつは救世主なんかじゃなく、人間から人間らしさを奪う魔王でしょうね しかも、この女神様の厄介なトコは、どんな攻撃やアクシデントからも自分や周囲の人間を守り抜けてしまう、完全防御的な幸運なんかじゃなく、自分が万能であっても全能じゃない、と理解している点、そして、その上で最後まで諦めないトコでしょうね 良くも悪くも、人間が善なる存在と信じて、無垢な気持ちで世界を救おうとする彼女は、無自覚に破滅の道を歩んでいる気がするのは、私だけでしょうか? 月が落ちてくるのに、原因となる少年はいるんですけど、彼が諸悪の根源じゃないってトコが、これまた面白いです 地球を滅ぼす存在になってしまいかけている少年の能力(と言っても、発動はほぼ自動的なのでうが)は、シンプルに不運。自分に近づいた者、悪意を向ける物に最悪の事態を引き起こす、それだけなんですけど、シンプルだからこそ不可避であり、最悪と位置付けられるのも当然 ある意味、世界と人間の敵意に絶望し、自殺願望に囚われている少年の方が、女神様より、人間らしいですね もちろん、彼もまた、人間なので、女神様にとっちゃ幸せにすべき対象 地球を月から守るための方法は、たった一つ、彼を殺す事 勿論、女神様は殺しなんかしません 全人類-1の命と、たった一人の素直じゃない男の子の命、彼女の中では天秤にすらかける必要がありません 月が落ちてくるなら、それを手で受け止めればいい、と本気で考え、実行しようとしているのですから、もう、呆れも通り越して、笑うしかありませんわ ここで怖いのが、自分も含めて誰かを疑う事を知らずに生きてきてしまった彼女なら、それが出来てしまうかも、と読み手にすら思わせるトコでしょう 当たり前ですが、世界を動かしているトップ陣は、そんな女神様の優しさに賭けるほど、温くありません あの手この手で、世界の不運を一身に負う少年を屠ろう、と遠慮のない策を発動し、政治家の思惑など知ったこっちゃない女神様は、持ち前の真っ直ぐさで、それを跳ね返していきます ちょっとばかし、同意を得辛いかもしれませんけど、私がこの『疫病神とバカ女神』で面白いな、と思ったトコは、善玉も悪玉もおらず、ただ、人間だけがいるって所ですね。37pの1コマ目なんか、それが実に判り易く表現されている気がします。自分では何の努力もせず、人頼みで幸せになりたい、楽な生き方をさせてもらいたい、他人から恵まれるだけの立場を恥じない、そんな人間の、時代が変わろうと、場所を変えようとも、決して変わってくれない愚かさを、よくぞ描きましたね、森先生 最強にして、時に周りにとっちゃ最悪にもなりうる幸運でも、救いたい人間一人救えなかった女神様は、このまま、泣き続けて、心を萎らせてしまうのか? いや、そんな訳がない。これくらいでめげるようじゃ、バカ女神って呼び方はされませんって。バカだからこそ、挫折を経験しても突っ走っちゃうんですよ 少しズレ気味な、ラブコメって感じもするので、そこも楽しめるのも、『疫病神とバカ女神』の魅力です 私がお勧めするのは、当然、掴みとして、バッチリな第1話「幸運の女神」です。ここまで、ブワッと毛穴がブチ開いたのは、それこそ、クール教信者先生の『小林さんちのメイドラゴン』を、月刊アクションで読んだ時以来です。こういう時、ホント、しみじみと漫画読みとして生きていてよかった、と安堵しますね この台詞を引用に選んだのは、「惚れてまうわぁ」と悶えたので。ホント、何も考えずに発現する美少女って厄介だわ(笑)
幸運に恵まれた女子高生女神が全ての生きとし生けるものに「幸せ」を与える…なんて偽善で綺麗ごとを…と思わせない個性的な画力。ダークファンタジーの雰囲気もあり、疫病神を背負った少年と「運」と「不運」が相殺されながらタッグを組む妙技が単純に面白い。
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森拓也
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